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女の愛と生涯 [音楽]

ヒルデガルド・ベーレンスの新アルバム。2枚組で、1枚目はワーグナーのオペラから、2枚目はサロメ以外は歌曲です。シューマンの歌曲集「女の愛と生涯」は全曲収録されています。この歌曲集の内容は現代女性にとっては前時代的かもしれません。私も歌詞は抜きで聴いていますね。

ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ氏が、『若い人たちはこの曲集(=女の愛と生涯)での女性の役割の描かれ方はけしからんと反感を持っているのです。あるいは今日ではもはやありえない形で描かれていると考えています。ところが、この曲を聴くと卓越した音楽が聴く人を納得させ、すべての世界観の違いは突然消えうせてしまう。本当に偉大な作用が起こるのです。人々は19世紀半ばの女性が感じたことを理解するのです・・・』とインタビューで話したという記事を見つけました。

プッチーニのオペラ「マノン・レスコー」、同じ題材でマスネ作曲の「マノン」というのもあります。こちらの女はシューマンの歌曲集の女性とは対極でしょうか。こちらに登場のデ・グリュー、なんとも一途で純粋な愛を女性に対して示すことか。原作を読むとさらにこの感を強くします。優男なんかじゃない、たいした男性というべき?!息子が同じことをやったら、絶対受け入れたくないと思いますけども。
オペラ「マノン・レスコー」の映像

原作:アベ・プレヴォ(岩波文庫、河盛好蔵役)
以下、岩波文庫版の表紙に書かれた解説です。

『シュヴァリエ・デ・グリューがようやく17歳になったとき、マノンという美しい少女に会う。彼が犯した幾多の恐ろしい行為はただこの恋人の愛を捉えていたいためであった。マノンがカナダに追放される日、彼もまたその後を追い、恐ろしい冒険の数々を経て、ついにアメリカの大草原の中に愛する女の屍を埋める。この小説はプレヴォ(1697-1763)の自叙伝ともいわれ、18世紀を代表するフランス文学の一つ。』


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トリスタンとイゾルデの聴きどころ [音楽]

バーンスタイン指揮:トリスタンとイゾルデの聴きどころ
 今では全曲、初めから終りまで好きですけど、 キース・ウォーナー演出の「リング」ではないけど、 実はジグゾーパズルのような聴き方をしました。 最後の一片がはまってから、もう相当経ちます。

はっきり記憶していることだけですが、列記してみます。

1)二幕 so stuerben wir, um ungetrennt とトリスタンが歌いはじめる少し前から ブランゲーネの警告まで

この部分は、ヴィスコンティ監督の映画「ルートヴィッヒ」で、 場面と音楽が一致して、非常に印象的でした。 ルートヴィッヒの別荘をエリーザベトが訪問する場面です。 歌なしでこの部分が流れています。ワーグナーのオペラを全く 知らない頃で、この部分をCDで見つけるのに苦労しました。
相当期間、ここばかり聴いていました^^;

2)一幕 イゾルデに呼ばれたトリスタンがやっと船室に姿を 見せるところ。あの管楽器(えっと?何でしたかしら)の響きが たまりません。期待と不安、恐れの入り交じった複雑な感情そのもの です。

3)一幕 ブランゲーネとトリスタンの対話。なにしろ、 やっとトリスタンの声が聞けるところですし。今風にしかも下品に言えば、 半端でなくつっぱっているトリスタンの心が痛々しいというか・・・
(バーンスタイン盤のこの部分に関して、吉田秀和氏が詳細に書いていらっしゃるのを 後に読みました。納得の内容でしたが、上手く書くものだと感心しました)

(余談ですが、女声は、特にこの曲を聴きはじめのころ、聴くだけでは区別がむずかしかったです。 で、いいなあと思ったところ、調べてみると、意外にブランゲーネの歌が多いことに 気がつきました)

4)一幕 媚薬を飲む直前から、一幕の終りまで。 声の変化がはっきり感じられて、表現力のすごさに圧倒されます。 声と言えば、クルベナールと合唱の完全な部外者の脳天気ぶりと 完全に別世界に入っている恋人二人、ただ一人事情を知るブランゲーネ これらの断絶が声とオーケストラの演奏だけではっきり伝わってきます。 こういうの、もの凄い快感です。

5)一幕 トリスタンとイゾルデの対話。攻撃的で皮肉なイゾルデに、 徐々に煽られていき、抑え切れなくなり、ついには切れるトリスタン、 この両者の絡み合いが非常におもしろいです。

6)二幕 逢い引きの場。激しく求めあったあとの、 durch des Todes Tor, ではじまるトリスタンの美しい旋律 (よくカットされるようで、ここがないとがっかりします)

この前の激しい求め合い、はじめは強烈すぎて、ついていけないような 感じでしたが、ここも今は好きです。

(余談ですが、「ブリキの太鼓」という映画を昔見たのを思い出したり・・・  恋いする男女がやっとの思いで会ったとき、着ているものを一枚一枚、 引きちぎるように放り投げながら駆け寄り、裸で抱き合うというシーンがありました・・・ 映画とは言え、あっけにとられました・・・)

7)二幕 マルケ王の嘆きに続く、トリスタンの歌とイゾルデの答えから 二幕終りまで。実に悲しく美しいです。今は、一番好きなところかもしれません。

8)二幕 マルケ王の嘆き。はじめのころはやはりちょっと退屈でしたけど、 これを黙ってきいている二人の心情も併せて、聞くと、非常に劇的です。

9)三幕 トリスタンの譫妄状態。こときれるまで全部いいですが、 Ach, Isold, Isolde! Wie schoen bist du! に至る穏やかな旋律が 息をのむほど美しいと思いませんか。

10)三幕 息をひきとったトリスタンを(たぶん)抱えて嘆くイゾルデ。 フィナーレももちろん好きですが、ここがもっと好きです。

(前奏曲とあのいわゆる愛の死だけという聴き方をする人もいる~いない?~らしいのが 信じられません・・・ そういうコンサートもあるし、CDもありますが、予告編としても あんまりおもしろいとは思いません。)

まだまだ、ありますが、10箇所で切りがいいので、とりあえずここで終了します。


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Robert Schumann LEIDERKREIS op.39 Mitsuko Shirai [音楽]

シューマン歌曲集  SCHUMANN, Robert(1810-1856)

 収録曲:Liederkreis op.39/
 4 Lieder der Mignon op.98a/
 5 Lieder der Maria Stuart op.135/
 5 Lieder nach Justinus Kerner op.35

 レーベル:CAPRICCIO 1986
 メゾソプラノ:白井光子
 ピアノ:Hartmut Höll

気に入ってよく聴いた歌曲CDの一枚です。
特に好きなのは、
In der Fremde Liederkreis op.39
5 Lieder der Maria Stuart op.135

冬の旅を久しぶりに聴いたのをきっかけに、
思い出して棚から取り出しました。
ここ数年歌曲からごぶさたでしたが、
これまでに好きだった物をここにまとめておこうかと
思います。


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ルネ・コロの冬の旅 [音楽]

 HMVに注文したところ、あっという間に届きました。
 2004年2月 ブランデンブルク・ベルリン放送第4スタジオでの録音
 ピアノはOliver Pohl オリヴァー・ポール(もちろん知りませんけど^^)

 Deutsche Kinderhilfe のチャリティー企画CDだそうです。

 最初の曲、Gute Nacht 仰天するほどのスピードですけど、
 耳が慣れてくるのか、実際ゆっくりになってくるのか、
 徐々にに落ち着きます・・
 (しばらくは、はやく仕事片付けたいのかな^^;なんて
 邪推しちゃいます〜〜^^;)
 いい声です。気に入りました。

なんというかかなり乱暴な歌い方に聞こえますが、声はいいし、かえってしんきくさくなくていいかもしれないと、感じました。歌曲は概して抑えた歌い方をするもののようですが、私はオペラ的というか、劇的な歌い方のほうが好きです。コロのは「劇的」ではないと思いますが、豪快に歌い飛ばしているのも、なかなかいいものです。
なんて思っていたら、HMVの注文ページにレビューと本人のコメントが載っていることをお友だちが教えてくれました。ここから注文したくせに、今まで気がつきませんでした。


HMV レビュー

あのルネ・コロが帰って来た! 演目はなんとびっくり『冬の旅』 この曲の通常のイメージを大きくくつがえす、ルネ・コロ独自解釈の世界! このアルバムについて、ルネ・コロ自身が以下のように語っています。

「私は、この曲について新しい観点からの解釈を皆様に提供します。私の考えは、この詩は「送別」とか「死への切望」ではありません。彼は階級格差の現実に悩まされ、そこから逃避しようとしているだけのことです。彼は謙遜で彼の運命に屈するより、むしろ大急ぎで逃れようとして、激怒を示しています。彼はこの詩の中で様々な自分の生き方について探っています。そして最後に彼と同様な旅をしてきたライアー廻しに出会い、彼と共に自分の歌を歌い上げます。その感情は非常に軽く、楽天主義的な傾向を感ずることができます。私は決して憂鬱な送別感として歌いません。基本的にテノールという声質は”悲しみ”ではありません。 私は、このCDの売上の一部が、ドイツの体の不自由な子供たちへの基金に当てられることに喜びを感じます。(私とピアノのオリバー・ポールは、チャリティーとしてこの録音に参加しています。) またリスナーの皆様に、私のこの”冬の旅”の解釈を聴き入れていただければ、私は更なる喜びを感じることができましょう。」

HMV Kollo Winterreise


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久しぶりの新しい「冬の旅」 [音楽]

*新しい「冬の旅」は何年ぶりでしょうか。
新国立劇場の「神々の黄昏」で魅力全開のグンターだったローマン・トレケル(Br)の冬の旅を聴きました。
はじめは意外に軽いと感じましたが、なかなかいいです。聴くたびによくなります^^

*ヘルマン・プライ(Br)、カール・エンゲル(piano)
高校生のとき、はじめて買った歌曲のレコード。それこそ音が出なくなるほど聴きました。演奏者には全く興味なしで、オペラでプライを見てから、はじめての冬の旅は彼が歌っていたのだと認識しました。

*以下はずっと後になって、手当たり次第聴いたもの。
手元に残してないものがほとんどですから、忘れているものも多々ありそうです。

ハンス・ホッター(Br)、ハンス・ドコウピル(piano)
ピーター・ピアーズ(T)、ピーター・ブリテン(piano)
ディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウ(Br)

*ペーター・シュライヤー(T)
プライの次に気にいりました。

*テオ・アダム(Br)
八ヶ岳高原音楽堂で生演奏を聴きました。ピアノはイョルク・デームス。舞台の後ろが大きな窓で、真後ろに白樺が一本、ライトアップされ、たまたま雪が降りしきり、雰囲気満点でした。終了後は宿泊した八ヶ岳高原ロッジでレセプションがあり、最高でした。

ハンス・ペーター・プロホヴィッツ(T)
ジークフリート・イェルザレム(T)
フランシスコ・アライサ(T)
クリストフ・プレガルディエン(T)
アンドレアス・シュミット(Br)
岡村喬生(Bs)

クリスタ・ルートヴィッヒ(Ms)
マーガレット・プライス(S)

*ブリギッテ・ファースベンダー(Ms)
Petr Weiglの映像。意外におもしろくて、やみつきになりました。ファースベンダーが修道女に扮しているんですよ。女声の冬の旅もなかなかいいです。
特にこれ、とても劇的で、私好みです。

*ルネ・コロ(T) もこの歌曲集を録音したそうです。
聴いてみるつもりです。


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