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ワルキューレ2007年エクサンプロヴァンス [オペラ映像]

テレビ録画をネットで視聴したものです。ごく最近のものですから、画質音質ともかなり良いです。久しぶりのわくわくするところのある、なかなかおもしろいワルキューレ映像です。かのユーチューブでも視聴できます。walkure rattle で検索するとたくさん出ます。

フンディングが、この間聴いたメトのワルキューレと同じ歌手です。その時、名前を見て、以前この歌手のフンディングを映像視聴したことを思い出しました。視覚効果があがる体格と容貌を備えたバス歌手ですから、音だけよりも、見ながらのほうがいいのではないかと思ったものです。

ブリュンヒルデは、マイスタージンガーの映像でエヴァを視聴した記憶がありますし、新国立劇場のフィデリオとサロメでした。サロメの三段腹はいただけませんでしたけど、歌はどちらも迫力でした・・ ちょっといかつい感じで、あんまり可愛くないエヴァ、いかにも女傑のレオノーレでした。ブリュンヒルデ、似合ってると思います。ちょっとスリムになったような気もします。
ヴォータンも良い感じ。ジークリンデははじめての歌手だと思います。容姿と雰囲気は私好みのタイプではないですが、最近評判のワーグナー・ソプラノのようです。オランダ人だそうです。
全体的に好みの演奏なんですけど、やっぱり・・、一番のへっこみというか苦手はジークムント、どうにも好みじゃないのは仕方ないですね・・(けっこうまともなカツラ使用なのが救い・・です・・;;) 

1幕。アクリル板のようなもので囲われた無機的な室内。全体的に青っぽい灰色。テーブルと椅子2脚。いかにもの閉鎖空間で、ちまちました室内劇。ちょっと音楽と合わない感じ。ドアの外に男が常駐みたいですが、途中で画面にはうつらなくなりますので、実際のところはわかりません。ヴォータン役だけが黒人だから、多分ヴォータンだろうと思いますが、知らなければわかりませんね。フンディング、ワイシャツにネクタイ、黒のロングコートという、きちんとした服装が似合って、決まってます。見事な紳士です。(こっちにホウレンソウ・・そういえば、ベンベヌート・チェリーニでふざけた教皇役でした)それにしては、妻に普段着とはいえボロを着せてますねぇ・・ 下女扱いか? 中世風のごっつい剣を振り回すのは、まあ劇画調ということで・・ 立派に絵になってることですし。
ジークムントはどこから見てもメタボ腹のおっさん浮浪者・・兄妹であることを確認後、ジークリンデに着せかけられた、せっかくの純白のロングコートが・・ふと似合って一瞬、おっ!精悍・・なんですけど、お腹が見えたとたんに、さめちゃいますのよ。1幕フィナーレ、ゆっくりと抱き合うというのもそれはそれでいいとは思いますが、それが音楽に合って納得というところまではいかず、残念・・でした。心ははやれど身体は・・的スローモーションの雰囲気が感じられればよかったのでしょうけど・・。

2幕。やはり1幕とほぼ同じ雰囲気の室内。ヴォータンはテーブルに小さなフィギュアを並べて遊んでいる・・わけではなくて、おそらくは指環奪還作戦を練っております。ブリュンヒルデは元気いっぱいの少女。この間見た「二人のロッテ」のロッテの雰囲気。アップになると年齢がありありで、おばさんになっちゃいますけど、劇場なら大丈夫でしょう。ヴォータン夫妻、良いです。ジークムントとジークリンデの逃避行は舞台転換なし、同じ室内でテーブルと椅子が転がってます。フィナーレは写実的決闘シーンはなしでちょっとがっかりではありますが、まあ、ああいう簡略化というか、様式化のやり方もおもしろいです。

3幕。中央に白い壁で囲まれた白い階段。上り詰めた所に半開きのドア。ワルキューレたちが、死体(戦闘服姿の等身大の人形)を引きずり上げていく。けっこう頻繁にひとりひとりアップで映されるワルキューレたち、若くて可愛い。ブリュンヒルデも張り合って、大丈夫負けないです。やっぱりなかなか素敵なブリュンヒルデです。ブリュンヒルデがジークリンデに妊娠を告げるところ、好きな場面ですが、いいです。ぞくぞくします。ヴォータンもまっすぐで張りのある声でけっこう好み。「ファウストの劫罰」のメフィストとか、「エルニーニョ」とかけっこう視聴してますが、ヴォータン、似合います。「ポギーとベス」のLDを見逃しているのがちょっと残念。ともすると退屈になりがちなヴォータンとブリュンヒルデだけの場面になってからも、フィナーレに向かって盛り上がる緊張が維持されて感動的です。期待過剰が災いしたのか、映像で投影される炎のフィナーレはそれほどでもなかったです。

ワーグナー:ワルキューレ
サイモン・ラトル指揮
ステファン・ブラウンシュヴァイ演出
エクサンブロヴァンス音楽祭2007年7月5日

ジークムント:ロバート・ギャンビル
フンディング:ミハイル・ペトレンコ
ヴォータン:ウィラード・ホワイト
ジークリンデ:エヴァマリア・ウェストブレーク
ブリュンヒルデ:エヴァ・ヨハンソン
フリッカ:リリー・パーシキヴィ

☆音声クリップ:父は私に剣を約束した・・1幕から 

★おまけ:父は私に剣を約束した・・1幕から 
P.ホフマン@サンフランシスコ1985年

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コメント 8

yokochan

こんにちは。昼休みにちょろ見させていただきました。
情報ありがとうございます。
それにしてもギャンビル君の腹はいいですね。死んで横たわってもぷっくりです。いかついブリュンヒルデに、以外やカツコいいウィラーズのウォータン。
ラトルは、ガーシュインでもなんでもいつもウィラーズなんです。
そして、フンディングが見栄えがいいです。
あと、もろにベルリン・フィルのスーパーキャスト!有名人がピットにギッシリ詰まってました。

それと、ギャンビル君とホフマンをまともに聞き比べますと、あまりの違いに・・・・。おまけの方が何十倍もおいしかったです(笑)

by yokochan (2008-03-06 13:04) 

オデュッセウス

このプロダクション、日本で上演するという噂がありますね。目玉が飛び出るような値段になるんでしょうね、きっと……。
エヴァマリア・ウェストブレークは今夏バイロイトでもジークリンデを担当しますね。

by オデュッセウス (2008-03-06 22:48) 

ななこ

ペトレンコというのですか!
かっこいいですね。
倒れ方もシャープで印象的で。

ギャンビル、私も苦手です。
シュトゥットガルトの「フィデリオ」の映像で強制収容所のようなところで廃人みたいになったフロレスタンのいっちゃった感じの眼がこのジークムントでもそのままで「ああ、この歌手の素の眼なんだ」と。
メタボのお腹よりその方が私は気になります。
声はのっぺらぼうで芯がないというか・・
他の歌手が声があるだけに残念です。

>ふと似合って
ほんとに^^
後ろ姿は一瞬ときめきました。
by ななこ (2008-03-06 23:40) 

euridice

yokochanさん
どうも・・ありがとうございます^^!
>もろにベルリン・フィルのスーパーキャスト!有名人がピットにギッシリ
そうらしいですね。器楽奏者のことを知らないので残念です。ベルリン・フィルがオペラの伴奏(失礼!)はカラヤンがよくやってたぐらいしか知りませんけど、やはりめずらしいのでしょうか。力のある指揮者じゃないとできないとか・・ オーケストラはすばらしい・・ような気がします。
by euridice (2008-03-07 10:56) 

euridice

オデュッセウスさん
新聞でウィーン国立歌劇場来日公演の広告を見ましたが、65000円。
ちょっとねぇ・・です。あっと眺めたところでは、まあ見送りです・・
by euridice (2008-03-07 11:00) 

euridice

ななこさn
>ペトレンコ
かっこいいでしょ? 昨夏、ネットで見つけて1幕だけ見たのですけど、
名前もチェックして、しかも今まで、覚えていました。
サンクトペテルスブルグ出身のロシア人で、マリンスキー劇場で勉強とデビュー、2001年からメンバーだそうです。

>ギャンビル
目下ワーグナーとなると避けて通れないテノールのひとりですけど・・
>眼
同感です。お腹はともかくすらりとした長身だし、とりあえず整った容貌にしてはちょっと・・なのは、目つきというか、視線に原因があるのかもしれません。目の演技がだめなのかも・・
はじめての映像「アルジェのイタリア女」でもなんというかぽわんとした雰囲気で、存在感が薄かったのはやはり目の力の弱さだったかもしれない・・なんて^^;;

>芯
声にこれがないと感じると、好きになれません。
by euridice (2008-03-07 11:01) 

立花

遅くなりましたが、お礼に伺いました。
こちらからも、成功すれば…ですが、TBさせてください。

メタボ腹のおっさんではなく、
ホフマン様に酔いしれました(笑)。

>ワルキューレ

本当に、可愛い人もいたし、衣裳もよかったし、
全員が歌も演技も良くて、とてもレベルが高かったです。
バックはBPOで、言うことなしですね。

ヴォータン夫妻にはとても感情移入できました。
フンディングにしても、フリッカにしても、
自分は愛されていないのか?という切なさがほのかに漂っていて、
それがヴォータンと双子の関係と対照的でした。

炎のフィナーレ

「死者の島」のインパクトに比べると、予算が足りないかもしれません(笑)

by 立花 (2008-03-10 10:06) 

euridice

立花さん
TB、受け取り、表示しました。ありがとうございます。

>フンディングにしても、フリッカにしても、
自分は愛されていないのか?という切なさがほのかに漂っていて、

そうでした。微妙な表情がけっこう効いてました。


by euridice (2008-03-11 07:53) 

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