SSブログ

1976年12月パリでの「ワルキューレ」 [PH]

ホームページのゲストブックに情報を寄せてくださったお陰で入手。ラジオ放送録音ではなく、いわゆるインハウス。入手先はこちら。音質と録音状態は、良いとは言えませんが、まあ許容範囲でしょうか。追加:サウンドクリップ

この公演については竹原正三著「パリ・オペラ座―フランス音楽史を飾る栄光と変遷」芸術現代社 (1994/04)に批評、鑑賞記かな?があります。著者はバリトン歌手でパリ在住の評論家、昨年78歳で逝去だそうです。かなり批判的。

「演技の構成と指導に無力だったため、不統一さを現わした。あるいは、慣習化した古い演技しか出来ぬ歌手を前にして、手の施しようがなかったのかも知れない」と書いています。シェローの演出であれだけの演技力を示した歌手も含まれているわけで、著者の批判を肯定するとして、これは前者が原因じゃないかしら。歌手の歌に関しては、ホフマンに対して否定的。

この本には写真はありませんが、伝記にあった右下の写真に関する記述は「ジークムント、フンディング、いずれも鎧姿で古めかしく、」でしょう。そして、左上の入手したCD-Rのケースに使われていた写真は、不鮮明でよくわからないところが多いですが、この本の記述では「第二幕の装置は更に奇抜で、奥、左右側面を天井まで砂のうで積み上げた。中央には三つのピラミッド型砂のうの山を築き、頂上附近にそれぞれ鹿の群れを配した。天井は鉄条網を張りつめ、ホリゾントの砂のうの壁面には銃眼まであき、全く戦場の塹壕のよう。舞台はなにはクリスマスの飾り電球のようなコードが散らばり、中央附近には六,七個の金属性の大きな自動搾乳機と酸素ボンベが置いてある。感情同化を阻害するためだろうが、異様としか言いようがない。 」

この演出の衣装がOrfeoさんのところで「純白のえらくかっこいい衣裳」と話題になったことがあります。この写真の衣装ということでしょう。再演時(ジークムントはロベルト・シェンク)のおもしろい話もあります。



冬の嵐は〜あなたこそ春. .

ワーグナー:ワルキューレ
ゲオルグ・ショルティ指揮
クラウス=ミカエル・グリューバー演出    
パリ・オペラ座1976年12月18日       
      
ジークムント: ペーター・ホフマン  
ジークリンデ:ヘルガ・デルネシュ
フンディング:クルト・モル
ブリュンヒルデ :ギネス・ジョーンズ
ヴォータン:テオ・アダム
フリッカ:クリスタ・ルートヴィヒ

関連記事:
ワーグナー「ワルキューレ」ホフマンのジークムントでの視聴

ペーター・ホフマンのジークムント@ワルキューレ、視聴できたものリスト
(2007年8月現在)

1976年 ラジオ放送バイロイト音楽祭ピエール・ブーレーズ指揮、パトリス・シェロー演出
1976年  パリ・オペラ座ゲオルグ・ショルティ指揮、クラウス=ミカエル・グリューバー演出
1978年 ラジオ放送バイロイト音楽祭ピエール・ブーレーズ指揮、パトリス・シェロー演出
1979年 ラジオ放送バイロイト音楽祭ピエール・ブーレーズ指揮、パトリス・シェロー演出
1979年 ラジオ放送アムステルダム コンセルトヘボウベルナルド・ハイティンク指揮
1幕のみの演奏会形式
1980年 正規ライブ録音、録画PHILIPS(現在CD、DVD発売中)バイロイト音楽祭ピエール・ブーレーズ指揮、パトリス・シェロー演出
1983年バルセロナ、リセウウーヴェ・ムント指揮
1984年   メトロポリタン歌劇場ジェイムズ・レヴァイン指揮、1幕のみ、リザネク・ガラ
1984年ベルリン・ドイツ・オペラヘスス・ロベス・コボス指揮、ゲッツ・フリードリヒ演出
1985年 正規ライブ録音CBS/SONYニューヨークズービン・メータ指揮、1幕のみの演奏会形式
1985年 非正規映像サンフランシスコ歌劇場エド・デ・ワールト指揮、ニコラウス・レーンホフ演出
1985年 ラジオ放送サンフランシスコ歌劇場エド・デ・ワールト指揮、ニコラウス・レーンホフ演出
1988年 ラジオ放送メトロポリタン歌劇場ジェイムズ・レヴァイン指揮、オットー・シェンク演出
1988年 ラジオ放送バイロイト音楽祭ダニエル・バレンボイム指揮、ハリー・クプファー演出
1989年 ラジオ放送バイロイト音楽祭ダニエル・バレンボイム指揮、ハリー・クプファー演出



nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 4

neveu

その当時のホフマンに否定的と言うのは、何か理由があるのでしょうかね?演出はともかく、演奏は素晴らしかったのではないでしょうか?
私は、実はデルネシュのジークリンデを聴いた事がありませんが、どうですか?

昔、ひとえにデルネシュのイゾルデが聴きたくて、カラヤン新盤を買い、ヴィッカーズのトリスタンで相当ブルーになった経験アリです(演奏も私は旧盤のバイロイトの方が好きですが、音が最悪)。得てして、自分が聴きたい歌手の相棒が相当酷くて、繰り返し聴くのを躊躇うケースは多いです。ポラスキvsトレレーヴェンにしろ、リゲンツァvsブリリオートにしろ・・・・特にここ十数年のテノールは・・・・

「組み合わせ」はその演奏全体の印象に大きな影響を及ぼすと思います。一人では何も成り立ちませんよね。
by neveu (2007-08-28 22:06) 

euridice

>デルネシュのジークリンデ
私もはじめて聴きました。
ホフマンも含めて、全体的に聞き惚れるというものではないですが、悪いということもないというところ^^;; 録音状態が・・ということもあると思います。ラジオ放送録音よりはやはり悪いと思います。

>理由
まあ劇場での生感想は、舞台の上も下もその時々で、条件が同じということはないのですから、様々でしょう・・ ファン心理でうがったことを言えば、この本の出版時には、ホフマンはすでに理由不明の不調、引退状態ですから、そういうことの影響ゼロとも言えないかも・・鑑賞当時、声楽家の観客としておそらく純粋によくないと感じたのだと思いますが、それを活字にしたことには影響している可能性はゼロではないかなぁ・・なんて思ったりします^^ 出版時も大活躍していたら、どうだったか? 逆にそうだったら、私もこんなことちらっとも思わなかったかも。(うれしくない文言、いくつも目にしてきましたから・・ね)

>「組み合わせ」
重要だと思います。

>イゾルデ
なかなかお似合いのトリスタンがいなくて残念です。
by euridice (2007-08-29 07:55) 

ななこ

euridice さんのご尽力によって、ペーターホフマンという不世出のテノールが歌った録音、舞台のタイムテーブルが一つ一つ駒を埋めていくように明らかにされていくのは単なるミーハーファンの私にとっても感動的です。
本当にありがとうございます。

ホフマンとしては同じ年のバイロイトやその後数年間のジークムントと比べると少々緊張気味というか硬い印象を受けます。
演出や指揮者の違いがあるのでしょうね?
デルネッシュは双子というよりかなりのお姉さん?

何とかかんとか言っても、ホフマンの録音と映像ははすべてその作品のベスト1ですね。


トリスタンもバーンスタインのが最高だと思います。
次はいろいろ迷うけれど、私はクライバーのスカラ座ライブと思います。
ヴェンコフのねくらな声にも実ははまっています^^
by ななこ (2007-08-29 12:40) 

euridice

ななこさん
どういたしまして。今の歌手のようにはいきませんけど、ラジオ放送などが聞けるのはやはりうれしいです。インターネットのお陰ですね。

>クライバーのスカラ座ライブ
聞きました。やはり録音状態がちょっとつらいです。
>ヴェンコフのねくらな声
バイロイトの映像で視聴したタンホイザーもいいし、けっこう好きです^^
by euridice (2007-08-30 06:47) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0