ディーリアス「村のロメオとジュリエット」映画 [オペラ映像]
あまり一般的に知られているとは言えないフレデリック・ディーリアス(1862-1934)という作曲家の名前を知ったのは、ジャクリーヌ・デュ・プレ演奏のチェロ協奏曲でした。エルガーのチェロ協奏曲とカップリングされていました。その後、いくつか管弦楽を聴きました。大好きということにはなりませんでしたが、聴けば心地よいです。あるべりっひさんのおんがくだいすきで取り上げられていたので、懐かしくなって、久しぶりにディーリアスの曲を取り出しました。
もうずいぶん前ですが、クラシカ・ジャパンでディーリアスのドキュメンタリーとオペラ「村のロメオとジュリエット」が放送されました。おなじみペーター・ヴェイグルの映像(1989年 チャールズ・マッケラス指揮 オーストリア放送管弦楽団)で、歌う人と演じる人は別人ですが、ひとりトーマス・ハンプソンだけ、「怪しいバイオリン弾き」の役で、両方を担当しています。
曲の印象は映画音楽的というところでしょうか。若い恋人が心中する経緯が、あまり説得力がないような、なんだか貧乏に絶望して心中するような感じがしましたが、改めて見ると、それ以前というか、生きるすべを知らない幼子。ヨーロッパの絵本で、相続争いで森に棄てられた幼い兄妹がなすすべもなく横たわって死んで行くというのがありましたが、そういう雰囲気。
歌は英語。本来作曲者自身のドイツ語台本で作曲されたのですが、英語版も本人が関与して作ったとのことです。「楽園への小道」として単独でも演奏されるらしい間奏曲など、ずいぶん長い歌なしの管弦楽部分が少なくありません。
物語はスイスの山村。土地争いから、憎み合うようになる農家。引き裂かれる幼なじみ。長い係争の末、破産する両家。争いの土地の本来的相続人である風来坊のバイオリン弾きが狂言回し的に、登場します。
この作曲家、私もそうでしたが、だいたいイギリス人だと思われているようです。でも、クラシカの番組によると、イギリス生まれですが、両親は羊毛業を手広く営むドイツ人で、本人もイギリスに特別の思いはなかったとか。一番長く住んで亡くなったのはフランス。アメリカ、ドイツ、ノルウェーなどにも足跡を残しています。ノルウェーの作曲家グリーグとドイツで知り合い、親しかったということです。途中失明したとき、大ファンがイギリスから訪れ、記譜の協力を申し出て、同居しながら、作曲を手伝ったそうですが、初対面のとき、どんな音楽が好きかと聞かれて、「イギリス音楽です」と答えたら、そんな音楽があったっけとか言われて、帰ろうと思ったけど、思いとどまったという話。二人のことを扱った映画もあるのだそうです。
この作品、実は大好きでして、ウチにも何種類か録音があります。どれだったか、CDのキャッチ・コピーに「気絶するぐらい美しい音楽」なんて書かれていたっけなあ。本当、眠くなる音楽ですよね(笑)。
by Orfeo (2007-08-31 11:40)
あたくしも一時期ディーリアンでした.
人生のミサ,好きです.
ケン・ラッセルのTVドラマにあったように,失明の原因は梅毒です..
by Esclarmonde (2007-08-31 23:19)
こんにちは。ディーリアスというと条件反射的に登場します。
ワーグナーとディーリアスが私の音楽生活の二本立てであります(笑)
私もこの映像を見ました。音だけなら、M・デイヴィス指揮のEMI盤が最高であります。
ディーリアスはひとり静かに、眠気に打ち勝ちながらこっそり聴くに限ります。
by yokochan (2007-08-31 23:48)
ディーリアス、やっぱり熱烈ファンがたくさん存在するんですね^^!
みなさんのコメント、とても納得です。
>失明の原因
ドキュメントの字幕は濁した表現でしたが、やっぱり・・
でも、失明で済んだのは幸運かも。
>人生のミサ
まだ聞いたことないですが、気になるタイトルです。
by euridice (2007-09-01 07:44)
euridice さん こんばんは。
TB ありがとうございます。
ディーリアス、自由奔放に生きた人のようで、世俗的な私にしてみれば『お金は?』などと考えてしまいます。
『村のロメオとジュリエット』は、私もyokochanさん同様に M・ディヴィス盤がもっとも好きです。『楽園への道』もこの演奏が一番雰囲気があるように思います。
>大ファンがイギリスから訪れ・・・。
彼が、フェンビー です。フェンビーは、晩年にディーリアスの多くの作品を録音しています。
by あるべりっひ (2007-09-02 00:01)
あるべりっひさん、おかげさまで、ひさしぶりにディーリアスをききました。
>M・ディヴィス盤
演奏の違いまでは、まだわかりませんが、機会があったらきいてみたいです。
>『お金は?』など
ドキュメントを見ると、生涯悠々自適という感じですね^^; 生家が非常に裕福なようですし、実業家としての側面もあったのではないかと思います。実業家としてはアメリカで成功しているのではないでしょうか。経済的に苦しかったことはなさそうです・・
by euridice (2007-09-02 09:13)
歌劇もあるんですね。
知りませんでしたが、耳に心地よい音楽と言うことでいくつか聞いたことがあります。
いきなりワーグナーのリングのライトモチーフみたいな旋律が出てきて驚いた記憶があります。
でも、おおよそ20世紀のクラシックの作曲家の音楽とは思えないeuridiceさんおっしゃるところの映画音楽的印象です。
by ななこ (2007-09-02 21:30)
>歌劇
これが一番有名らしいですが、他にもいくつかあるということです。
by euridice (2007-09-03 07:41)