SSブログ

ドニゼッティ「ロベルト・デヴリュー」ミュンヘン2004年 [オペラ映像]

ドニゼッティの歴史物オペラ。音楽は全然と言っていいほど、耳に残らないし、好みではないのですが、物語や小説であれ、映画であれ、漫画であれ、とにかく歴史物は昔から大好きです。今までにドニゼッティのオペラで歴史物に入るものとしては、「ルクレチア・ボルジア」「アンナ・ボレーナ」「マリア・ストゥアルダ」の映像を見たことがあります。イギリスの王室関連で、王妃や女王が重要な役どころで登場するものが三っつあるということで、ヘンリー八世の王妃アン・ブリーン(エリザベス一世の母ですね・・)の「アンナ・ボレーナ」、スコットランドの女王メアリー・スチュワートとイングランドのエリザベス一世登場の「マリア・ストゥアルダ」そして今回見た「ロベルト・デヴリュー」は、またエリザベス一世がむしろ主人公。睡魔に襲われて、行きつ戻りつ、やっとこ、最後まで鑑賞。

「時代を現代に移し、女王ならぬ女性実業家の悲劇に置き換えた」ということですが、当然ながら、歌詞(字幕)はそのままなわけで、違和感はぬぐえず、落ち着きません。頑張って納得するとして、せいぜい、奇妙な閉鎖社会、巨大マフィアか、怪しげな大企業で、女王様だの伯爵、公爵だのと呼び合って、内規違反者をリンチにかけているというところ。むしろそのままもともとの物語だと思ったほうがすんなり納得できるかもしれないと思ったりもしましたけど、それもやはり視覚的なもののせいでしょうか、落ち着きません。どうしたって時代性というものから完全に自由になれる話じゃないというところでしょうか。どうしてももやもや感があります。

フィナーレで、突如ぞ〜〜と涼しくなるのは、この猛暑にふさわしい物語でした。可愛さあまって憎さ百倍の恋人を永遠に失った女王様狂乱で波打つ豊かな髪、かつらだったわけですが、をいきなりむしりとると、ほとんどはげかけの白髪頭に・・。いきなり寒気が襲う怪談話かホラーか。そして、悲劇が喜劇に。もうちょっと遅いけど、眠気もどこへやら・・・そういえば、ずっとなんとなく喜劇っぽいし、ホラーサスペンス、スリラーっぽかったのです。暴力、スプラッタ(と言うのは大げさですが)もありますし・・。大歌手グルベローヴァもやりますね!アップになると特に気になる口元の老婆ぶりも意図的のようです。それにしても、一度見たぐらいでは、わけがわからない部分も少なくない感じで、誤解もありそうですが、初老の権力女と中年女と中年男たちの身勝手で薄汚いどろどろ愛憎劇に見えてしまう傾向、大という感じでした。

ドニゼッティ:ロベルト・デヴリュー
2004年バイエルン国立歌劇場
フリードリッヒ・ハイダー指揮
バイエルン国立歌劇場管弦楽団及び合唱団
クリストフ・ロイ演出

エリザベス一世:エディタ・グルベローヴァ
エセックス伯ロベルト・デヴリュー:ロベルト・アロニカ
ノッティンガム公爵:アルベルト・シャギドゥリン
ノッティンガム公爵夫人でエリザベスの女官サラ:ジャンヌ・ピランド

クラシカ・ジャパンで放送


nice!(0)  コメント(5)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 5

keyaki

うゎゎゎゎ...
天下のグルベローヴァさまご乱心
なんか、ムンクの叫びのように、顔を歪めてゆぅらゆぅら、妖怪白髪禿げに変身
面白くて何度も見ちゃいました。
ジャコモは普通の演出でも出てくるのかしら? 役者?ダンサー?
by keyaki (2007-08-19 03:43) 

euridice

>面白くて
おもしろいでしょ^^

>天下のグルベローヴァさま
さすがです!

>ジャコモ
ずっと女王の若いお相手かと思ってました・・^^;;
王子さまだったとは?!
(スコットランドの女王メアリー・スチュワートの息子、ジェームズ一世ってことですよね・・)
>普通の演出でも出てくるのかしら?
ね?
>役者?ダンサー?
踊らないから、役者さんじゃないでしょうか?
by euridice (2007-08-19 10:09) 

ななこ

これぞ狂乱の場 @@@

2000年のウィーン国立のライブ録音があります。
何となく聴いていましたが、こちらのビデオクリップ見せていただいてようやく雰囲気つかめました^^

こういったオペラで狂乱するのはまずその場に居合わせた幸運な観客ですね。
映像化される場合は視聴者の眼も惹きつけなくてはならない。
で、グルベローヴァ様の妖怪演出、ハンサムボーイの登場。

ストーリーってあまり考えなくていいのでは?と思ってしまいます。

ウィーンのではデヴリューをあのメットのレンスキーことヴァルガスが歌っていて全体に聴けるオペラに仕上がっていました。

公の場では王侯貴族はみなカツラでしたね。
今のような優秀なカツラではなかったでしょうから地の髪は実際ひどいものだったのでしょうね?
by ななこ (2007-08-19 12:30) 

euridice

>狂乱の場
狂っているようには見えない、よくて上手に狂乱してますねぇ・・ぐらいのことが多いと思いますが、これはほんとにご乱心の呈。目が覚めました^^;;

>ハンサムボーイの登場
最初から目を引く、気になる存在でした。カメラ効果もあるにしても
大半のオペラ歌手とは違う何かを出せるんですねぇ・・役者さんは・・
歌手さんは、歌うまで、その立場というか、重要度が少なくともピンとは来ませんでした。グルベローヴァは知っているからか、存在感大きいのか、すぐわかりましたけど。

>カツラ
日本などより湿度は低いようですが、むれるかもしれませんね。
そうなると、ハゲ隠しどころか、ハゲ促進でしょう。
ああいうふうにはずされたカツラって、不潔感があって気色悪さ効果倍増です^^;;
by euridice (2007-08-20 06:43) 

サンフランシスコ人

「ロベルト・デヴリュー」........サンフランシスコでも1979年に、モンセラート・カバリエで公演....

http://archive.sfopera.com/reports/rptOpera-id713.pdf
by サンフランシスコ人 (2008-05-28 06:24) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0