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ローエングリン ミュンヘン音楽祭2009年 [オペラ]

以前ネット上で見たインタビュー記事によればワーグナーを避けていたドイツ人テノール、ヨナス・カウフマンが40歳が潮時なのか、いよいよ(とうとうかな?)ワーグナーに移行のようです。すでに、マイスタージンガー(ワルター・フォン・シュトルツィング、演奏会形式)、パルジファル(チューリヒ歌劇場)は、経験済みらしいです。しかし、いよいよ本格的にワーグナーテノールに転向というわけで、先日、ミュンヘンのオペラフェスティバル「ローエングリン」の新演出でローエングリンデビュー。来年2010年、ローエングリン(新演出)でバイロイトデビューも決定しているようです。同年メトの新演出リングでジークムントだそうです。いよいよワーグナーテノールとしてひっぱりだこ状態に突入というところ。思うに、トレレーベン、ギャンビル路線でしょう。ご本人もどうやらホフマンの後継などと言われたくないみたいですし・・;;

ワグネリアンとはとても言えませんけど、ペーター・ホフマンのファンとしては、ワーグナーテノールとなれば、無視できません。インターネットのおかげで、さっそく聴いてみました。

♪はるかな国に♪
(ちなみにホフマンの同じ歌はこちら ユーチューブです)

エルザは、新国立劇場「マイスタージンガー」のなかなか素敵なエーファだったソプラノでした。その時の記事はこちら 新国で見たときほどの印象はありませんでした。

ワーグナー:ローエングリン
ミュンヘンオペラ音楽祭2009年7月5日
ケント・ナガノ指揮
リチャード・ジョーンズ新演出
ラジオ放送
ローエングリン:ヨナス・カウフマン
エルザ:アニヤ・ハルテロス
国王:クリストフ・フィッシェッサー
テルラムント:ヴォルフガング・コッホ
オルトルート:ミヒャエラ・シュスター
伝令:エフゲニー・ニキティン
こちらに舞台写真が複数あります。

一幕。エルザの祈りと合唱で期待が高まって・・ローエングリンの第一声・・・・
???どんな具合に出現するのだろう???・・ 
しばらくすると、やっぱり国王との差別化が意識の中でふと困難になります。ローエングリンはとにもかくにも突出したヘルデンテノール声じゃなくちゃ・・私のワーグナーテノールではないです・・残念ながら・・ 
一幕終了。なかなか盛大なブーイングですね。演出も変ちくりんみたいですから、演出に対するものが大きいのかもしれませんけど・・
追記:ビデオクリップがありました。かなりサブ〜〜イ演出ですね。間違っているかもしれませんけど、なんだか強制収容所的雰囲気。レンガを積んでいるのですが、強制労働に見えます。エルザはかなり手荒く扱われてるし・・両手を縛られて台の上に立たせられてました・・  気分が悪くなりそうな演出のようです。そういうオペラじゃないだろ!と言いたいかも。気色悪かったせいで、ブックマークし忘れた・・

二幕。印象希薄
ブラバンドを守る決意は、ここだけ取り出して聴けば、なかなかしっかりと述べていますけど・・
終了。・・・ブーイング頑張ってます・・

三幕。う〜〜ん 迫りません。なんともかったるい白鳥の騎士・・・
終了・・拍手喝采より一瞬早くブ〜〜〜〜
私の感性にはやっぱり???!です

その後、ざっとネット検索したところでは、ロールデビューが「祝福された」ということと、彼の演奏に関する「紋切り型の賛辞」が目立ちます。激しいブーイングについては、新演出にはつきものだから驚くに値しないという感じ。ひとつ辛口というかマイナス評を見つけました。別に恨みがあるわけではないので、ここに書くには少々迷ったのですが、私が録音を聴いて感じたことをうまく説明しているように思うので、思い切って・・。演出(この間の新国「マクベス夫人」の演出家だったんですね・・)に関してはそれなりに、また演奏と歌手に関しても、肯定評価しているようですが、ローエングリンだけは・・

「この公演で、唯一がっかりだったのは、超誇大宣伝されたヨナス・カウフマンだった。最後の拍手喝采はほとんど不当だ。私は彼のすごいピアニッシモには拍手を送ろう。これはサスペンスに満ちた場面では非常に効果的だった。そして、高音ではハイバリトンを聞かせた。しかし英雄的テノールでは全くない。音質があまりにも一定でない。一連のフレーズのなかでさえ、連続すべき音が完全にばらばらの相反する響きだった。これらの中のひとつはことさらに不快だった。いわばピンチに陥った音で、このせいで、まるでスウェーデン語で歌っているように聞こえた」


各種様々のオペラアリアを集めたデビューCDも一応聴きました。私の耳には、全部同じ感じ。声量、ニュアンス、リズムが概して一定。時にあえて弱声にしてますが、必然性を感じさせてくれず、そこはかとなくわざとらしい。大声の一生懸命歌唱。一生懸命歌っているのが伝わってきます。ドイツ語で歌うのはネイティブでもむずかしいみたいな発言を小耳に挟んだような気がしますが、なるほどドイツ語は声がまっすぐ飛ばない、こもったような詰まったような感じ・・

ヴェルディ、プッチーニ、ビゼー、マスネ、グノー、ベルリーズ、ウェーバー、フロトウ、ワーグナー何でもあります的メニュー。どかこにマルチテノールという惹句がありましたが、こういう意味らしい。幕の内弁当的。とりあえず、いろいろあるんですけど、味は大して違わない・・ 質屋のショーウィンドウのようでもある。

生で聴かずに物をいうべきではないという意見もあるみたいですけど、音楽には様々な楽しみ方があるわけで、録音、映像で判断するのもありだと思います。録音、映像で心に響かないなら、恒常的ファンにはなれません。毎日劇場通いなんて不可能です。劇場鑑賞は場の雰囲気がありますから、それなりに楽しめます。どんな舞台でもそれぞれ様々な意味でおもしろいところがあるものです。録音、映像などの記録は、それほど簡単に楽しめるものではありません。よほど自分の心に訴えるものでなければ一度通すことさえ困難です。しかし、さらにこれらは繰り返しの鑑賞に耐えるものでなくてはならないと思います。そして、こういうことは結局のところ、個々人の趣味の問題でしょう。そして、同じ趣味の人に出会うのはうれしい。違う趣味の人の存在も当然のこと。それぞれ、ここが好きとか嫌いとか、いいとか良くないとか、言い合うのもまた楽しいことでしょう。


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コメント 6

ペーターのファンです。

アップしてくださったのを聞きましたが、これはいったい・・・。人手不足もここに極まるワーグナーテノールですから、とうとうバリトンを引っ張ってきてしまったんですねえ。国王と区別がつきません。歌舞伎の天地会でも参考にしたのか、脇役専門バリトンが主役のテノールに挑戦してみたとでも思えば・・・。
おそるおそる、懸命に譜面をはずさないようにはずさないように、しかし頑張って一応は声を張り上げてみましたの感じです。

>質屋のショーウィンドウ
これ、ぴったりです。「30代にして驚異のレパートリー」とかどこかにありましたが、良い歌唱は何一つなく、とりあえず譜面をそ~っとなぞる感じです。

私のワーグナーテノールはホフマン一人、他にはいないと確認させてくれただけでした。
by ペーターのファンです。 (2009-07-07 21:03) 

keyaki

いやはや、どこをどう聞けば、最高のテノールという褒め言葉が出てくるのか、全く分かりません。イタオペは、妙に力んだ歌い方ですが、ドイツ人としてはドイツものには緊張するんでしょうか....名付けてソットソット優柔不断歌唱....こうもスカッとしない歌唱は、疲れます。

それにしてもプレミエというのは、出演歌手に合わせた演出衣装となるわけで、つまり今回はタイトルロールのカウフマン仕様ということになりますが、演出家の創造力を喚起する魅力がないってことなんでしょうか。リハーサルの写真かと思いました。
ライモンディと共演している歌手なので応援してあげたい気持ちはあるのですが....40才の脱サラ独立は成功するんでしょうか.....
by keyaki (2009-07-07 21:25) 

euridice

ペーターのファンです。 さん
>私のワーグナーテノールはホフマン一人
そういうことですね。

それにしても宣伝、誇大過ぎるのでは?
いくら、まずはプロモーションとマーケティングあり、の時代とは言え・・


by euridice (2009-07-08 18:53) 

euridice

keyakiさん
イタオペがよくなくてもワーグナーなら・・なんてことは
やはりないと再認識しました。
結局、私の好みのテノールではありません。
by euridice (2009-07-08 18:57) 

kametaro07

私のブログにコメントいただき、トラックバックまでしていただいてありがとうございます。
なにせ初心者なものでお粗末なことしか書けなくてすみません。
ペーター・ホフマンはMET PLAYERでローエングリンを見ただけですが、歌唱もさることながら、その姿の神々しいことに圧倒されました。
1回見ただけでもそうなのですから、ドイツの人達にとってはヴァグナーといえばペーター・ホフマンであるのは当然のことだと思います。
彼が唄わなくなった今、ちょっと見栄えのするドイツ人のカウフマンがヴァグナーを唄うといえば、ペーター・ホフマンの名前が挙がるのは自然なことであって、おそらく実際にはホフマン以上の人はそうそうでることはなく・・・・・・何十年も?百年以上?こうしてホフマンの名は語り継がれていくのだろうと思います。
カウフマンのローエングリンは演出へのブーイングで、カウフマンを含め歌手の人達はブラボーだったようです。しかし、カウフマンの地元ミュンヘンですから。
バイロイトも地元のようなものですが、世界中から厳しいヴァグナリアンが集まります。真価が問われるのはバイロイト、そしてMETになるのではないでしょうか?
ところで私の読んでいるブログに登録させていただいてもよろしいでしょうか?
by kametaro07 (2009-07-08 20:15) 

euridice

kametaro07さん
わざわざお越しくださり、ありがとうございます。
>読んでいるブログに登録
もちろんかまいません。
こちらからも、させてください。
よろしくお願いします。

カウフマン、故郷で歓迎されたようでめでたいことです。
バリトン声という批判はやはりあるようですが、
それを除けばプラス評価という感じですね。
とりあえずご祝儀相場かな・・

by euridice (2009-07-08 22:04) 

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