ワーグナー「神々の黄昏」バイロイト1980年 [オペラ映像]
「神々の黄昏」(パトリス・シェロー演出、ピエール・ブーレーズ指揮、バイロイト音楽祭1980年収録)ニーベルングの指環全曲&ドキュメンタリー
これも前半二作ほどではないですが、気に入ってます。とにかくギネス・ジョーンズのブリュンヒルデには惹き付けられます。頭空っぽ、なかなか色っぽいグートルーネも好きです。
新国立劇場の「神々の黄昏」は、非常に印象的でしたが、その最大の理由は、おそらく、グンターの飛び抜けた視覚的説得力ではなかったかと思います。それと対照的な強烈さでハーゲンが今も記憶のなかにイメージとして残っています。ショッキングピンクのミニスカート・スーツのグートルーネも魅力的でした。
単純に鑑賞する限りにおいて、あの強烈な存在感の美しいグンターに心を奪われなかった人はあまりいなかったのではないでしょうか。もちろん、それは演出に基づくもので、演出の説得力の延長線上にあるには違いないのですが、どんな歌手が演じても同じ効果があがるなどということはないでしょう。演じる人の総合的資質を無視したキャスティングがどれだけオペラの説得力を減じているか、それが、普通の感性を持った観客を遠ざけているに違いないと思います。(声、歌が魅力的というのは大前提です)
ワーグナー:神々の黄昏
ピエール・ブーレーズ指揮
パトリス・シェロー演出
バイロイト音楽祭1980年
ブリュンヒルデ:ギネス・ジョーンズ
ジークフリート:マンフレート・ユング
グンター :フランツ・マツーラ
ハーゲン:フリッツ・ヒューブナー
グートルーネ:ジャニーヌ・アルトマイヤー
アルベリッヒ:ヘルマン・ベヒト
ワルトラウテ:グウェンドリン・キルブルー
ノルンたち:オルトルン・ヴェンケル、ガブリエレ・シュナウト、ケイティ・クラーク
ラインの乙女:ノーマ・シャープ、イルゼ・グラマツキ、マルガ・シムル
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1976年プレミエで、ジークフリートを担当したのは、声楽を勉強中のペーター・ホフマンが「彼のようになりたい!」と憧れたジェス・トーマス(1927.08.04-1993.10.11 アメリカ)でした。
「黄昏」を映像で見る場合に気になるのが、長めの間奏曲(ジークフリートの旅立ち&葬送行進曲と、フィナーレ)の部分だと思います。
その辺り、流石にこの映像の処理は巧いですよね~~
劇と音楽が離れていないというのか…投げやりに、とってつけましたという印象を、全く受けませんものね。
客観的に見て、「映像で見るオペラ」の最上の作品ですよね、このシリーズ。
未だにこれを超えるものも、今後ここまで丁寧に作られる「映像作品」が出る可能性も薄そうですし(^^;
久しぶりのリング特集、ビデオクリップと共に楽しませて頂きました。ありがとうございます(b^ー゚)v
by ヴァラリン (2006-08-30 09:12)
こんばんは。
シェローの『指輪』は、本当に『映像』として見るオペラの楽しさを教えてくれる素晴らしい作品ですし、舞台を見ることができなかったことが残念です。
by あるべりっひ (2006-08-30 23:05)
お二人に同感です。
日本語字幕付きDVDも限定にしろ発売されたことですし、大勢に観てもらいたいですね....^^!
by euridice (2006-08-31 07:16)
私が指輪を初めてFMで聴いたのもテレビで見たのもこの80年のバイロイトの演奏でした。特に映像に関してはブライアン・ラージの影響も見逃せないと思います。70年代のテレビ中継はゼッフィレルリのように演出家自身が映像ディレクターを兼ねたりするケースも多かったのですがりこの作品以降「映像ディレクター」が独立した職業として重視されるようになったと思います。
この人の作品はちょっとアップが多いので4:3の画面の方が収まりがよく、最近のハイビジョン収録だと?という感じの作品もありますが(輸入DVDで出ているコンビチュニーのトリスタンなど)、それでもオペラの普及に大きな貢献をした人だと思っています。そう意味ではこの指輪はその後のオペラの映像化に大きな影響を与えた記念碑的な作品だと言えると思います。
by たか (2006-08-31 22:08)