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ワーグナー「ジークフリート」バイロイト1992年 [オペラ映像]

ワーグナー「ニーベルングの指環」四部作のうち第三話「ジークフリート」(ハリー・クプファー演出、ダニエル・バレンボイム指揮、バイロイト音楽祭1992年収録)クラシカ・ジャパンで放送中です。今月中、一週間ずつ四作品が順次放送されます。国内版DVDも「ワルキューレ」から順次発売中。あらすじなどは、こちら、Orfeoさんのオペラ・レヴューを参照してください。

舞台は瓦礫の山というところ。ミーメのお家は機関車の残骸みたい。竜に化けたファーフナーの住処も破壊された都会の瓦礫の隙間のようです。無機質的な荒れ果てた世界。登場人物たちは、ここでもひたすら駆け回り、駆け去り、駆け寄り、駆け上がり、駆け下ります。それがなんとなく落ち着かないというか、不自然というか、わざとらしい。

大評判のミーメ・クラーク、実際に劇場で見ればほどよいのでしょうけど、テレビだと、ちょっと「うざい」です^^; クプファーのオランダ人で舵取りがお初だったと思いますが、わざとらしくやってるって思いました。そのときは全然知らない歌手でしたけど・・・ メトの「ベルサイユの幽霊」の、変な虫男も凄いです。シェローの「ヴォツェック」でも大尉役でしたけど、もうどれも同じでちょっと食傷気味...... (もちろん、すべてテレビ鑑賞です)

ジークフリート、遠目で静止しているとなかなかそれらしく見えるのですが、動くと手をぷらぷらさせるのが目障りでしらけます。アップになると、ジークフリートにはあるはずもない、分別顔。声のほうは、ほれぼれとはいきませんが、なかなかよいです。歌い方もジークムント(1983年)よりはずっといいです。一番上の画像は、一番かっこよく見えた場面です^^!

ワーグナー:ジークフリート
ダニエル・バレンボイム指揮
ハリー・クプファー演出
バイロイト音楽祭1992年

ジークフリート:ジークフリート・イェルザレム
ミーメ:グレアム・クラーク
ヴォータン:ジョン・トムリンソン
ブリュンヒルデ:アン・エヴァンス
アルベリヒ:ギュンターフォン・カンネン
ファフナー:フィリップ・カン
エルダ:ビルギッタ・スヴェンデン
森の小鳥:ヒルデ・ライトランド

ところで、このジークフリートこそが、ワーグナー「ニーベルングの指環」四部作の主人公。「太陽のように美しい」、伝説の英雄です。子ども向け「ニーベルンゲンの歌」を読んだのが初対面でした。子ども心に、はるかに遠い世界の不思議な感覚にわくわくしたものです。こういう気持ちを刺激してくれるジークフリートにはオペラの映像や舞台ではまだ出会えません。と、ここで、またぁ〜〜と思われるのを承知で臆面もなく言わせてもらえば、ペーター・ホフマンのジークフリートが見たかった、聴きたかった。ドイツでは、ジークフリートをまだ舞台でやってもいないのに、「若きジークフリート」と騒がれたらしい。ヴォルフガング・ワーグナーは、彼にはジークムントのほうがはるかに似合うと言ってますけど・・・

「ホフマンはジークフリートを歌っていなかったのに、『絵本から抜け出たようなジークフリート』とよばれたものだ。しかも、いたるところでそう書かれた。しかし、おそらく、ホフマンにはジークフリートよりもジークムントのほうがはるかに似合う役だ。事実が流布されないというのは、全くもっておかしなことだ。想像と現実の区別がつかなくなってしまうのだろう。」(ヴォルフガング・ワーグナー)


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コメント 6

Orfeo

edcさん、こんにちは。TBありがとうございました。
リングの中では、この《ジークフリート》が一番苦手、です。
という、どうでもいい話はさておき、TB返しさせていただきました。
ところで、
>一番かっこよく見えた場面です
で、爆笑させていただきました^^;;
by Orfeo (2006-08-24 10:32) 

ヴァラリン

おおーっ、イェル君もこうやって厳選?!して鑑賞すると、なかなかカッコいいじゃないですか(^^!
私もOrfeoさん同様
>リングの中では、この《ジークフリート》が一番苦手
なんですけど、久々にワクワクしました。バレンボイム、当たった時はいいんですよねぇぇぇ…

でも、おまけがいっちばん、ワクワクしますne(^^!
by ヴァラリン (2006-08-24 16:43) 

euridice

>>リングの中では《ジークフリート》が一番苦手
同じくです^^;
音だけなんてとても持ちません・・

>こうやって厳選?!して鑑賞
がんばっていいとこ探したつもりです.... なんて^^!
まあ、鍛冶の場はけっこうよくできてると思います。
by euridice (2006-08-24 21:22) 

たか

>ジークフリートよりもジークムントのほうがはるかに似合う
実は私もそう思います。ホフマンのやや哀愁を帯びた声は、恐れを知らない英雄ジークフリートよりも妹を愛してしまう悩める英雄ジークムントの方に天性の適性があると思います。もちろんジークフリートを聞いてみたかったのは山々ですが。
逆にコロの明るい声はジークムントよりジークフリートの方が向いていると思います。40年代や50年代にはジークムントとジークフリートを同じ歌手が歌うこともありましたがこの2役はキャラクターがかなり違うので同じ歌手が歌うのはどうかと思います。
by たか (2006-08-24 21:29) 

euridice

たかさん、こんばんは。
今回は、ご意見に同感です^^。
by euridice (2006-08-24 21:39) 

euridice

そうそう、コロのジークフリート、フリードリヒ演出のをメイキングで見ましたが、あれ、好きです。全部見たいものです。
by euridice (2006-08-24 21:54) 

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