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ヴェルディ「アイーダ」モネ劇場2004年 [オペラ映像]

テレビのチャンネルを回していたら、たまたま・・・ やっていました。オペラらしいけど、なんだろうと思ってしばらく眺めていました。「アイーダ」だったから、さすがに音楽からすぐわかりました・・・ 

舞台装置はほとんど何もないのはいいとして、歌手の所作がなんともわざとらしい・・ 文楽の人形の動き、あるいは、タイやビルマの伝統舞踊のような手つきによる演技が、無意味で肩が凝る感じ・・ 東洋の伝統芸能の様式美にかなうはずもないし。
指揮者のせいか、演出のせいか、歌手のせいか? 全体的に、とにかくしんきくさい・・

それにしては、一通り見てしまったのは、ひとえに奇妙な所作が新奇だったからかしら。物語や音楽は全然印象に残らなかったみたいです。「アイーダ」というオペラを楽しんだという感じは皆無。

アイーダ役は新国立劇場の魅力的なトスカだったノルマ・ファンティーニだったのですが、全然気がつきませんでした。固まったような硬直した表情が異様でした。

ヴェルディ:アイーダ BS-hi深夜 DVD
ベルギー、王立モネ劇場 2004年
大野和士指揮、ロバート・ウィルソン演出

アイーダ:ノルマ・ファンティーニ
ラダメス:マルコ・ベルティ
アムネリス:イルディコ・コムローシ
アモナズロ:マーク・ドス

これを見たときは、そういえば、前に同じような「オルフェオとエウリディーチェ」を見たことがあると思っただけでしたが、昨年新国立劇場の「ホフマン物語」でホフマン役で注目されたテノール、クラウス・フロリアン・フォークトが、この5月メトロポリタン歌劇場にデビューした、1998年新演出の「ローエングリン」の同じような舞台写真を目にして、やっと演出家が気になったというわけです。

なんでもニューヨーク・タイムスに「実験演劇界にそびえ立つ塔のような存在」と評されている1941年アメリカはテキサス生まれの高名な天才的芸術家だと言うことです。建築と装飾を学び、1960年代後半にはマンハッタンの前衛演劇界で主導的存在だったそうです。オペラの演出は1987年ミラノ・スカラ座で「サロメ」、その後「パルジファル」「蝶々夫人」「魔笛」「ニーベルングの指環」など。このうち、「オルフェオとエウリディーチェ」「アイーダ」をたまたまテレビで見たわけです。「パルジファル」「蝶々夫人」「ローエングリン」は、舞台写真を見ました。どれも区別する必要もないほど同じに見えます。

おそらく自由で自然な動作ではないし、音楽と合っているようにも感じないので、歌手はきっとやりにくいに違いないと思いましたが、やはり、アイーダのノルマ・ファンティーニもローエングリンで国王役のルネ・パーぺも歌いにくいと言っています。以下、パーペのインタビューでの発言です。

インタビュアー:ロバート・ウィルソンの静的なことで有名なローエングリンで、1998年の新演出でも、今回の再演でも再び、歌っていらっしゃいますが、今回は何か変わりましたか。

パーペ:ボブ・ウィルソンのことはよく知っています。彼は天才です。ウィルソンの美術は大好きだし、舞台は美しいと思います。しかし、彼は私たち歌手がどれほど苦労することになるか考えていません。歌手の身体的限界を避けて通ることはできないのです。私たちは友だちですから、このことを話しました。長時間棒みたいに同じ姿勢を保つことがどんなに困難か、彼は分かっていないのです。もの凄い苦痛です。私としては彼の考えを実現するよう努力しましたが、私は歌うのが仕事です。ですから、今回は、私が変わりました。私はウィルソンの要求を私なりのやり方で果たしました。結局のところ、舞台監督の命令は無視したのです。私にとって、歌って、観客に音楽を伝え、観客を楽しませることこそが肝要です。ボブ・ウィルソンだろうが他の演出家だろうが関係ありません。観客を満足させたいのです。

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歌手対演出家 P.ホフマンが揉めた演出家


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keyaki

歌手は、まるでロボット。見てる方だって、あきあきしてくるわ。

>どれも区別する必要もないほど同じに見えます

こういうのを演出というのかも疑問ですが、評価している人の意見を伺いたいですね。天才のすることは天才じゃないとわからないんでしょうね。

納得できない演出をする演出家と話し合っても解決しない場合は、断る勇気も必要ではないですか。専属歌手なら、仕方がないでしょうけどね。
しかし、ドミンゴまで、やってるのよね.......
by keyaki (2006-05-14 22:09) 

Orfeo

評価している人の意見はorfeo.blogで読めます(爆)。
by Orfeo (2007-03-11 04:28) 

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