ある女性評論家のホフマン@タミーノ論あるいは讃 [PH]
おなじみマリア女史の論評です。1978年のレコードを聴いたずっとあとになって読んだわけですが、私の感想を代弁してくださっているという感じ......で、私としては、納得、納得です^^!
このレコードが手に入ったときはどきどきしました..... およそ十年前、インターネットに接続しはじめて間もなくでした。配役を見ると、当時はともかく、今では有名な歌手が参加しています。CDで再発売はないのかしら・・・
.......ペーター・ホフマンが主として貢献してきたのは、ドイツ物のレパートリーだ。彼は、声楽の先生の言葉に従って、モーツァルト歌手としてキャリアを始め、ヴィントガッセン同様、モーツァルトも演奏できるということをはっきりと示した。声楽の先生が言ったように、大概の人々はヘルデン・テノールというのはただ大声で怒鳴ることができるだけだと考えているのだから、そうでないことを立証した。 ペーター・ホフマンはリューベックの専属時代に、非常に難しい装飾歌唱のイドメネオ(モーツァルト「イドメネオ」)を歌ったし、同様に1972年から1980年の間に頻繁にタミーノ(モーツァルト「魔笛」)を演じている。 1974年にペーター・ダンネンベルクはホフマンのリューベックでのタミーノをこう評した。この役に関して問題なのは、英雄的かつ抒情的なテノールを見つけることだ。ペーター・ホフマンはとにかく傑出していた。 また、シュトゥットガルト・ニュースはペーター・ホフマンがいかにヴォルフガング・ヴィントガッセンの後継者としてふさわしいかというコメントの中で、1976年11月の公演について、ペーター・ホフマンの声はモーツァルト歌手としても十分な柔軟性がある・・・ ペーター・ホフマンは精神的表現と身体的表現の調和によって納得させる。と述べた。 アラン・ロンバール指揮、キリ・テ・カナワのパミーナ、フィリップ・フッテンロッハーのパパゲーノ、ジョゼ・ヴァン・ダムの弁者などと共演した、ホフマンの最初の商業録音である、バークレイのレコードは、(これは合衆国での入手は難しい) ぞくぞくするような聴覚的体験をさせてくれる。ホフマンは欠点のない旋律線、明瞭な発声法を示し、隠された演劇的意味を感じさせる。 ペーター・ダンネンベルクが観察しているように、ホフマンのタミーノは英雄的歌唱と抒情的歌唱の適切な融合を明確に表わしている。ヘルデン・テノールの重量感、ドイツ人の言うKraftが、極めて微妙な技術的熟練の基礎を形成しているのが感じられる。豪華絢爛、官能的な音色、力強い響き、しなやかさ、感銘を与える堂々とした声の規模、端正なフレージングとレガート、演劇的な説得力。 ホフマンはまた、このキャストのなかで、気取ることのないごく自然な対話、欠点のない発声と豊かで多様な音色をもった話し方などによって、自分を明確に特徴づける。 ホフマンのタミーノは個性的で、感傷に陥らない。彼はこの役を若さ、優しさ、そして本物の王子らしさで満たす。また、タミーノを強い恋愛感情と情熱的な理想主義の持ち主として表現し、物語の人物を血の通った若者に変貌させる。 この演奏の最高にすばらしい部分としては、「この絵姿」の喜びにあふれた英雄的な歌唱、タミーノのきっぱりとした勇敢さを明らかにする弁者との力強い対話の場面などが挙げられる。 ホフマンのタミーノに耳を傾ける時、モーツァルトの非常に深い演劇的な意図を示す、表面的なものを超える精神的な気高さに気がつく。(1989年刊) |
ついでに、マリア女史は何も言ってないようですが、こちらは、買ったまま放置。なんとなく配役をながめてびっくりしたCDです。こういうびっくりは楽しいですが、めったにないですね。
ハイティンク指揮 バイエルン放送交響楽団1981年 EMI、パパゲーノ:ヴォルフガング・ブレンデル、パパゲーナ:ブリギッテ・リンダー、タミーノ:ジークフリート・イェルザレム、パミーナ:ルチア・ポップ、夜の女王:エディタ・グルベローヴァ、 ザラストロ:ローランド・ブラハト、モノスタトス:ハインツ・ツエドニク、弁者:ノーマン・ベーリー、武装した男:ペーター・ホフマン、オーゲ・ハウグランド、 侍女:ドリス・ゾッフェル、オルトン・ウンケル |
関連記事:
キリ・テ・カナワ♪♪
モーツァルト
初録音
役についての歌手のコメント集
魔笛
デビュー
以前'Wie stark...'のアリアをリクエストしたことを思い出しました!かっこいいタミーノですよね~。他の部分も聞けて嬉しいです♪
タミーノって、
>血の通った若者
にするのが本当に難しい役だと思います。パパゲーノみたいに3枚目になっちゃ駄目だし、言動は幼稚な部分もあるし(笑)映像でも色々見ましたけど、これ!という人がいないんですよね~。
by Sardanapalus (2005-12-29 07:39)
Sardanapalusさん、こんにちは
>Wie stark...'のアリアをリクエスト
そうでしたよね!覚えてます・・
また聴いてくださってうれしいです。
イギリスの年末、楽しんでいらっしゃいますね^^!
レコード屋さん巡り、私もかつてはね・・ なんて、懐かしい気持ちになりながら、読んでます。
>これ!という人がいないんですよね~。
映像(生の舞台一度)、山ほど見ましたけど、未だに、これ!という人に出会えませんねぇ・・ 来1月末、新国立劇場で見る予定ですが、さあて・・ 予定の歌手さん(ライナー・トロースト)
キャンセルなしで願いたいですが、どうでしょうか。
>かっこいいタミーノですよね~
私もそう思います・・ けどね。
感性いろいろで、
こんなタミーノ激しく許せない<|( ̄0 ̄)o>
なんて人もいらっしゃいます・・^^!
by euridice (2005-12-29 08:05)
庭仕事の合間にPC立ち上げてeuridice さんのブログにお邪魔してて偶然このページに出会えました。
ホフマンのタミーノは私の「魔笛」のイメージを変えてしまいました。
「魔笛」ってなんだ?
結局のところ夜の女王とザラストロの確執?
じゃあパパゲーノ達は?
そんな思いが一気に解決する英雄タミーノ像の確立です。
タミーノはかなり歌うのが厳しい役だと思っていました。
だから抒情的で技巧的なテノール(シュライヤーとか)が順当だと思うのですが、そうすると役柄的に弱い存在になって、全体的にも魅力がいまいちです。
タミーノは意外に強く重い声が歌うといいのかも・・?
でも、3つめのクリップ(Wie stark・・)は技巧的にちょっと厳しい面がなきにしもあらず・・・
欲張りすぎでしょうか?
by ななこ (2008-04-01 12:16)
ななこさん、古い記事を読んでくださって、ありがとうございます。
>ホフマンのタミーノは私の「魔笛」のイメージを変えてしまいました。
私も同じようでした。
それまでは、それこそ、夜の女王とパパゲーノの歌だけというところでした。
ホフマン後、やっとオペラとしてもおもしろいかな・・と感じるようになりました。
声楽の技巧的なことはわかりませんけど、あの演技性は希有のものだと思います。
by euridice (2008-04-02 07:35)