SSブログ

カラン・アームストロング [オペラ歌手2]

カラン・アームストロング(1941.12.14-  アメリカ)と言えば、1982年バイロイト音楽祭「ローエングリン」のレーザーディスクで出会ったエルザ姫です。この公演はゲッツ・フリードリヒの新演出として1979年にはじまり1982年まで毎夏上演されました。カラン・アームストロングは、このころ、この演出家と結婚したようです。

少なくともこの映像で見る彼女、どんな姿勢でも、どんな動きでも、そして顔の表情も、実に美しく、それが、そのまま音楽のようで、本当にほれぼれします。この演出は、ペーター・ホフマンのローエングリン、カラン・アームストロングのエルザにあつらえられたものでしょう。

この映像のローエングリン登場場面は何度見ても非常に美しいです。合唱がローエングリンへの期待感を高めます。そして、期待を裏切ることのない実際に美しいローエングリンが現れるのですから、オペラではめったにかなわない夢がかなうというわけです。実際の舞台はきっともっと幻想的だったのではないかしら・・・(ビデオ・クリップ:左)

伝記の中で、カラン・アームストロングは「ペーター・ホフマンは、とってもすばらしい共演者であるばかりでなく、人々が夢のうちに思い描く英雄の姿に視覚的にもぴったり合っていました」と語っています。

それから、
「....題名の英雄役、ペーター・ホフマンが演じたのは、従来通りの天から遣わされた奇跡の人ではなく、男性的な大天使ミカエルだった。彼は、『異質』の人間であるエルザが驚きながら手で触って調べるに任せる......」(オルフェウス 1979年10月号)ここも、特に強い印象を残す場面だと思います・・・(ビデオ・クリップ:右)

   


カラン・アームストロングには、上野でのガラ・コンサートと、新国立劇場「エレクトラ」の母王妃役で実際に出会えました。コンサートでの雰囲気は、ふくよかで、優しい感じでした。

王妃クリテムネストラでは、フリードリヒ演出の映画版の王妃(アストリッド・ヴァルナイ)のような強烈な灰汁の強さはなかったけど、本来的には深い母性的な人格が紆余曲折を経て崩壊し、苦しんでいる様子が自ずと伝わっていました。険悪ながらも切れることのない母と娘の自然な関係を感じました。二人のずれた対話の中にはある種のユーモアがあって、客席からふっと笑いが起こったりもしていました。やはり本当の意味でお芝居の巧い歌手だと思います。

関連記事:
出会い〜ローエングリン(2)
ゲッツ・フリードリヒ
役についての歌手のコメント集[4]ローエングリン
なんとも魅力的なローエングリン

他の映像:
Falstaffヴェルディ ファルスタッフ
ゲオルグ・ショルティ指揮、ゲッツ・フリードリッヒ演出
ウイーン・フィル  映画版1979年
ファルスタッフ:ガブリエル・バキエ
アリーチェ:カラン・アームストロング
フォード氏:リチャード・スティルウェル
はじめてのファルスタッフの映像でしたが、ちょっと退屈でした・・・

コルンゴルト 死の都
ハインリヒ・ホルライザー指揮、ゲッツ・フリードリヒ演出
ベルリン・ドイツ・オペラ1983年
マリエッタ:カラン・アームストロング
パウル :ジェイムズ・キング


nice!(0)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 6

助六

アームストロングは「練習中意見の違いでフリードリッヒとは喧嘩し通しだったけど、終わった時にプロポーズされた」とかインタビューで語ってましたね。83年に聴いたサロメがスリムな舞台姿含め美しかったです。あとご主人の演出でやった「カーチャ・カバノヴァ」が清冽で素晴らしかった。確かに演出に良く対応した演技でしたね。残念ながらヴァーグナーは聴けませんでした。
ホフマンのローエングリンとの組み合わせ、良かったでしょうね。私がスカラで聴いた時は、相手役は予定されてたM・プライスに替わってハースでした。でもクリップの録音は、あの日の彼の歌いだしを如実に思い出させてくれました。記憶って不思議。
by 助六 (2005-12-23 09:39) 

佐々木真樹

実はホフマンのローエングリンは初めて聴きます。
映像もついていて,一足早いクリスマスプレゼント♪
いつもありがとうございます。
by 佐々木真樹 (2005-12-23 14:57) 

TARO

カランは女優ですねぇ。
何度か聞いているような気がするのですが、一番凄かったのはクレーマー演出の「マクロプーロス」。おそらくソプラノとしては、声楽的には完全にピークを過ぎた時期だったんでしょうけども、白塗りですさまじい迫力でした。
by TARO (2005-12-23 17:40) 

euridice

助六さん
>フリードリッヒとは
雨降って地固まるというところかしら・・
ホフマンもフリードリッヒとは相当衝突したようです。

真樹さん
こちらこそ、いつもありがとうございます。
聞いて(見て)いただいてうれしいです。

TAROさん
助六さんもですが、ほんとうに、たくさんの舞台をいろいろと見ていらっしゃるんですね・・・
by euridice (2005-12-24 08:04) 

佐々木真樹

ホフマンの「忠実な白鳥よ」が脳内でエンドレス再生されてます。
Amazon.comのマーケットプレイスで,「ホフマン ワグナーを歌う」を見つけてつい「ぽちっ」・・・・・
今年最後の散財(←と何回自分に言い聞かせたことやら。)
by 佐々木真樹 (2005-12-27 18:22) 

euridice

>「ホフマン ワグナーを歌う」
あら、出てましたか。それは、それは....
>散財
^^!お安いものでしょ?

>「忠実な白鳥よ」が脳内でエンドレス再生
別れのときの歌もまた微妙に違って、耳に残るんですよね・・・
by euridice (2005-12-27 21:03) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0