単なるファン心理・・かな？ [PH]
かつてオペラに興味を持ちはじめたころ、気楽に参考にした本の中に講談社新書、「はじめてのオペラ」「ワーグナー」の２冊が含まれていました。
ペーター・ホフマンが、オペラ歌手として私の琴線に触れたのと、これらの本を読んだのと、どちらが先だったのかもう覚えていません。
「はじめてのオペラ」はこの歌手に関してその「職業に対する姿勢」を非難しています。読者としては、そういう見方もあるわけだ、「ワーグナー」の記述に関しても、著者は彼の舞台に沢山接していらっしゃるのだろうから、やはりそういう面のある歌手なのだろうと思いました。実際のところ、俳優とか演奏者の個人的なことにあまり興味がありません。ただそういう記述にはそこはかとない違和感を感じました。
しかし、この歌手の毀誉褒貶振りの激しさに、疑問の気持ちが次第に膨らみました。そして、悪い評判ばかりが増えていくように感じました。オペラはやめて、ポップスに転向したとか、もともと声楽の勉強さえしたことのない、ポップス歌手だったのだとか。ポップスのせいで声をだめにしたのだとか。基礎的勉強なしで間違った発声をしているから声が長持ちしなかったのだとか。楽譜も読めないのだとか。外見がいいというだけだとか。ワーグナーを早く歌ったせいで、あるいはワーグナーの歌いすぎで、声を失ったのだとか。云々、云々。
ポップスのレコードも気に入っていたので、本人がそっちが好きなら残念だけど、仕方がないなどと思ったりしていました。でも、いつかまたオペラに復帰もあるかもなどと淡い期待も。
1990年の初来日リサイタル、年末の来日演奏家紹介番組で、数分の放送を見ましたが、かなりのショック。異常なものを感じました。何というか不調などという生易しいものではない何かでした。
いつごろだったか、多分９０年代の終わり頃、難病らしいといううわさがあるのを知りました。その後しばらくして、パーキンソン病の公表というドイツの新聞記事を見つけました。その後パーキンソン病の啓蒙と研究支援のためのホームページ開設を知りました。2003年3月には２冊目の伝記が出版され、その少し前に、異常現象的出現？！を扱った最初の伝記(1983年刊）の古本も手に入りました。これでほぼ完全に疑問は氷解しました。
2004年夏上記講談社新書と同じ著者の新しい本が出版（音楽之友社）発売。
「オペラと40人のスターたち—歌手・指揮者・演出家、スターで愉しむオペラの目録」
他のオペラ歌手紹介のような本からもさっさと削除されていますから、ホフマンの記述はないだろうと予想してぱらぱらとめくってみたところ、ルネ・コロのローエングリンを取り上げた項に唖然とする記述が文脈的にも無意味に存在していました。
『ホフマンはあまりの人気で図に乗ってしまい、城に住んで無茶をした挙げ句、すぐに声を失い、ワーグナーのオペラから脱落してしまった。』
pp.148-149 そのまま引用。
まるでゴシップ雑誌の類と変わりません。気軽な読物だとしても、まっとうな書物に存在すべき文章でしょうか。過剰反応だと思う人もいるでしょうが、基本的に信頼して読む書物です。事実の裏付けは全く無い上、この文章、他者に対する尊敬と同情心が欠如している雰囲気を醸しているのが悲しいです。
下記を参照いただければ幸いです。
2003年3月発行の伝記「ペーター・ホフマン」
ペーター・ホフマン ホームページ ドイツ語
「ラッキーマン」Back to the Future で有名な映画俳優、
マイケル・J・フォックスの自伝。彼は、ホフマンよりもはるかに若くして、
パーキンソン病の自覚症状が出、この病気と診断されたということです。
オペラ歌手 私のホームページです。
えうりでぃちぇさん、こちらには初めて書き込ませていただきます。
今日の（もう昨日の、ですね。十二月十八日付の）私の弊Ｂｌｏｇに、えうりでぃちぇさんのＢｌｏｇもリンクさせていただきました。実は、どういうわけかこちらにはトラックバックできなくて……朝になってからやり直してみますね。ごめんなさい。
by ユルシュール (2004-12-19 01:09)
ユルシュールさん、いらっしゃいませ＾＾
なぜか何となく言いにくかったのですが、思い切って書きました。
同じような気持ちでいらしたとのこと、意を強くしました。
ユルシュールさんのＢｌｏｇを常駐させようとしたのですが、RSSが取得できない？というメッセージが出てできません。トラックバックはできたようです。
by euridice (2004-12-19 07:22)