SSブログ

6)ロリオ:ヴィッコ・フォン・ビューロウ [2012年刊:フリッツ・ホフマン著]

p.34ーp.38
ロリオ:ヴィッコ・フォン・ビューロウ 
(Loriot:本名Vicco von Bülow ドイツのコメディの大御所だそうです。ロリオは伝記にもその漫画が登場していますが、どういう人かは知らないし、よくわからないので、この章はおもしろくない・・・と思っていたのですが、なんと驚きの新事実?!が!!早速、改めて聴いてみました。昨日、新国で「タンホイザー」を鑑賞したばかりです。偶然ぴったりのタイミングでした。夕星の歌も聴きたかった〜〜)

 兄はバイロイトの初日の後、ヴィッコ・フォン・ビューロウ、通称ロリオをシェーンロイトに招待したことがあった。彼がレンジローバー(Range Rover)で門を入って来たとき、車の後ろの窓に何か看板のような物が見えた。トラックトレーラーを製造しているワーグナー社の看板をどこかで手に入れたのだった。だいたいナンバープレートぐらいの大きさだった。だから、彼の後ろを走っていれば、だれでもこの車に誰が乗っているのか、読み取れた。「ワーグナー・トレーラー」...そして彼の車のナンバー、TÖL ーPL…

 テラスで、母インゲご自慢のパスタサラダが出た。母はとてもたくさん用意したのだけど、いつものように全然残らなかった。私はロリオにパスタサラダにぴったりの質問をした。パスタを非常にうまく使った天才的なコントついてだ。彼は説明してくれた。撮影は容易ではなかったそうだ。本物のパスタは顔にくっつかなかった。そこで、湿らせた紙でパスタを作るという案が出た。この細工物の代用パスタはとても美味しいとは言えなかったが、顔の皮膚にはうまくくっついた。そうなったら「もう絶対に話さないでください」ということになる・・

 最後に、彼の寸劇にふさわしい、撮影中にできるだけ笑わないでいられる俳優を見つけるのがいかに難しいか話してくれた。
fh61.jpg

彼の完璧さの追求のせいで、撮影は際限ないものにならざるをえなかった。ハインツ・マイアーとイヴリン・ハーマンは実にふさわしかった。スクリーンでほぼ完璧に本気に見えた。だから、観客にとっては一層おもしろくなった。とにかく彼らはたくさんのコントにおいて理想的な配役だった。

 ロリオが、ペーターの所有地から数百メートルのところのヴァルデック城での仕事を計画していたことをこの時だれが考えただろうか。オーバープファルツ州立劇場の2011年の夏、チケット売り切れの城の舞台装置で彼の一番有名なコントが野外舞台で成功裏に上演された。

 いつだったかロリオがÖあるいはÜが入った名前を使うのが好きだと言ったことがある。Müller とかLüdenscheid, Pöhlmann, Plötzmann と言った名前だ。どうしてそういう名前が好みなのか私にはわからなかった。迫力があるとも思えない。

 CD「ペーター・ホフマン/ワーグナー」で、兄はオペラ「タンホイザー」の最後のアリア、「ローマ語り」を歌っている*註。 ヴォルフラムの短いフレーズを兄は自分で歌った。そして、この存在しない歌手に、ヴィクトル・ドルンベルガーという芸名をつけた。ペーターはこの名前をロリオのコントから採ったのだ。そこには、ヴィクトル・ドルンベルガー、短縮してヴィック・ドルンと呼ばれる世界的に有名なホラー俳優が存在している。

 アマーラントのヴィッコ・フォン・ビューロウ宅を訪問したとき、朝の4時まで彼の仕事のたくさんのビデオを一緒に見た。完璧に整理された保管場所から見たいビデオを取り出して再生するのに数秒しかかからなかった。忘れられない体験だった!

 兄のバイロイトのパルジファルの後、私たちはイヴリン・ハーマンとレストランで食事をした。そして、その後早朝までロリオの様々なコントを初めから終わりまでやった。出演者全員、そしてたまたまそこに居合わせた客たちも、大いに楽しんだ。

 私はヴィッコ・フォン・ビューロウはむしろ内気で生真面目なはにかみ屋だと思っている。そういう人は完璧を好むものだ。彼は浅薄なおもしろさにはほとんど興味をがなかった。彼は夫人と共にシェーンロイトのペーターのところに頻繁に訪れ、長期間滞在したが、私たち全員にとって、いつも心温まる心地よい体験となった。ペーターとロリオはしばしば何時間も音楽室にこもって、ワーグナーのオペラの古いレコードをかけていた。ロリオはいつもペーターに興味があったのだ。つまり、ワーグナーとロリオは実に最高に相性がよいということが明確に観察できるわけだ。

 兄と私は常に真のロリオファンだったし、今もそうだ。そしてまた、ヴィッコ・フォン・ビューロウは大のペーターホフマンファンだったと、良心に恥じる事なく断言できる。
fh62.jpg

*註:CD「ペーター・ホフマン/ワーグナー」で、兄はオペラ「ローエングリン」の最後のアリア、「聖杯物語」を歌っている。と書いてあるけど、間違いでしょう・・
* * *

参照ローマ語り〜タンホイザー/ワーグナーアリア集1983


目次
ヨッヘン・ロイシュナーによる序文
はじめに
ロンドン:魔弾の射手
バイロイト:ヴォルフガング・ワーグナー
パルジファル:ヘルベルト・フォン・カラヤン
ロリオ:ヴィッコ・フォン・ビューロウ
リヒャルト・ワーグナー:映画
シェーンロイト:城館
ペーターと広告
コルシカ:帆走
モスクワ:ローエングリン
ロック・クラシック:大成功
バイロイト:ノートゥング
ゆすり
FCヴァルハラ:サッカー
ドイツ:ツアー
パリ:ジェシー・ノーマン
ニューヨーク:デイヴィッド・ロックフェラー
ボルドー:大地の歌
アリゾナ:タンクヴェルデ牧場
ペーターのボリス:真っ白
ミスター・ソニー:アキオ・モリタ(盛田 昭夫)
ロサンゼルス:キャピトル・スタジオ
ハンブルク:オペラ座の怪人
ナッシュビル&グレイスランド
ナミビア:楽しい旅行
ペーター・ホフマンの部屋
ゲストブックから
表紙と目次
nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 4

ななこ

寒い1日でした。
出かける気にもならず家の中でのそのそと片付けして過ごしてたのですが、こちらの記事拝見して「嘘 嘘」「そんなことあり得ない」
一気に目がさめた気分です。

びっくりしました!!

驚くべき新事実というよりただ気がつかなかっただけと言えるような気もしますが^^

ローマ語りの最後の方は緊迫してヴォルフラムが割り込むようにほんのワンフレーズくらいずつですものね。
全く違和感なく聞いてたのだと思いましたが、改めてよく聞きますと確かにホフマンですね。
でも声をバリトンらしく押さえた響きにしてますね。

Victor Dornbergerときちんと書かれていますね!
まさかこれが架空の人物で正体はホフマンとは!!
ヴィック・ドルンなるホラー俳優は知りませんけれど楽しいお話をありがとうございました。

>夕星の歌も聴きたかった〜〜)
ですね^^




by ななこ (2013-02-06 17:57) 

euridice

道には雪が積もらなかったので助かりました。

>びっくりしました!!
思いもしませんでした。バリトンの名前まで書いてあるわけで、疑いなどみじんもなかったです。ヴォルフラムはほとんど瞬間的に短く入ってくるだけですから、声が似ているとも思いませんでした。意識して集中すると確かにホフマンですね。

ヴィクトル・ドルンベルガーの「夕星の歌」も入れてほしかったですが、これを入れてだますのは無理かな^^?

聴きながら、もうおとどしですが、イタリアで撮った写真に「ローマ語り」をつけました。リンクしてありますので、よろしければどうぞ!









by euridice (2013-02-08 08:42) 

yokochan

こんにちは。
驚きの情報ありがとうございました。
CDの記載されたヴィクトル・ドルンベルガーという名前は、わたしは勝手にピーター・ウィンベルガーと早合点してそう思いこんで、うん十年でした。
さきほど聴いてみました。
ややオフぎみに録られたウォルフラムは、たしかにペーター・ホフマンそのものでした。
先入観って恐ろしいものです。
初出購入以来30年ぶりに判明。30年ぶりのホフマンの新しい音源みたいにして聴きました。
by yokochan (2013-02-10 14:54) 

euridice

ほんとにびっくりしました。夢にも疑いませんでした。
ドルンベルガーってどういうバリトンなのだろう、シュツットガルト歌劇場の同僚なのだろうかなんて、思ってました。
>先入観って
ですね!

>ホフマンの新しい音源みたい
この本を知ったころ、TV出演のDVDのことも知りました。花の歌@カルメンが入っていました。
http://euridiceneeds.blog.so-net.ne.jp/2012-11-11
に載せておきましたので、どうぞ。

by euridice (2013-02-11 16:04) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0