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メト・デビューのローエングリン [PH]

情報をいただいて、メトロポリタン歌劇場デビューのローエングリンの録音を聴くことができました。プライベート録音でしょう。メト・デビューは1980.1.24で、出演は24日と28日。

Loh_met85.jpg(→右は、1985年の写真)
指揮:ジュゼッペ・パタネ
演出:アウグスト・エヴァーディング

ローエングリン:ペーター・ホフマン
エルザ:テレサ・ツリス=ガラ
オルトルート:ミニョン・ダン
テルラムント:ヴァーン・シナール(1936.06.22-  アメリカ)
ハインリッヒ王:ボナルド・ジャイオッティ(1932.12.25- イタリア)
伝令:アーサー・トンプソン

(3幕 O Elsa! Nur ein Jahr ....)

 ホフマンのメト・デビューについて、伝記には、
「ペーター・ホフマンは、1980年のニューヨーク、メトロポリタン歌劇場にローエングリンで、デビューし、マスコミによって、『メトの歴史上、最高の ローエングリン歌手』と呼ばれた。1980年1月25日付けのニューヨーク・ポストには『彼は夢の騎士だった』と書いてあり、デイリー・ニュースは、その 翌日、次のように書いた。

 『ホフマンが、全体として、今日、オペラの舞台で、最も騎士にふさわしい男であることは間違いない(若いころのエロール・フリンみたいだ)ところで、その 最高の気品と劇的効果を引き出すために、その圧倒的な身体的存在を利用している彼は、だれもが長い間夢見てきたワーグナーの演じ方を具現した』」とありま す。

 マリア女史の論文には、「1980年1月24日のメト・デビューに際して、ジェンキンズはニューヨーク・ポストに、ペーター・ホフマンはローエングリンと して印象的なデビューを果たした。彼の息をのむほど表現力にあふれた、「はるかな国に」、そして、非常に強い印象を与えたエルザとの別れ。その最後の高い Aの音は、最初のそれと同様に新鮮だった。と書いた。」とあります。

 ドナルド・キーンは、「ニューヨーク音楽日記 - 1980年春」に、
「日本からニューヨークに帰って最初に観たオペラは、1月24日メトロポリタン歌劇場で上演されたローエングリンである。この作品は、特に好きというわけ でもないし、昨年東京で観た二期会のローエングリンも、このオペラをもう一度観たいと思う気持にさせてくれなかった。しかし、その晩メトにデビューするこ とになっていたドイツのテノール、ペーター・ホフマンに関する好意的な記事を読んで、出かける気になった」と書いています。結果は期待に違わずすばらし く、「ローエングリン」に対する「信仰」を甦らせてくれ、ニューヨークで迎える春のさい先の良い年の初めとなったということです。尤もドナルド・キーンとしては、メルヒオールの方が遥かにいいそうです。(ついさきの歌声は ド ナルド・キーン著 中矢一義訳 中央公論社刊)

 ドナルド・キーン(1922年生)といえば、最近、日本への帰化手続きに入ったというニュースがありました。関係者によれば「東日本大震災で大変心を痛め、被災者との連帯を示すために永住への思いが固くなったようだ」とのことです。


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Alouette

マシュマロに包まれた様な、柔らかでまろやかな声が、堪らなく好きです。声のニュアンスも繊細で、目の前に姿が浮かび、まるでDVDを見て居る様な錯覚を覚えながら聴いて居ます。 ≫ 何時も素晴らしい資料を有難うございます。 ≫ ペーターが喋って居る様な、彼の性格其の侭が思い浮かぶ様な翻訳、何回も読み直しながら、返す返す、生を聴けなかった事を悔みます。 ≫ 昨年も書かせて頂きましたが、あの本は91年に ≪リング≫ のメイキングLDと一緒にバイロイトで入手して、写真だけ楽しんで居ました。 もっと早く、内容が解って居たら~と ≪ 失礼とは思いましたが、全てプリントさせて頂いて、枕元の側に置き、毎晩吹き出しながら~何度も読み直し~ やんちゃで無鉄砲~ 人懐っこく~意志の強いスター離れした、自然体で生きる人間味を感じています。 ≫≫ 目的に向かい、《思った事は絶対やる~》 と言う言葉に、40年前、日本を離陸した当時の自分を重ねて、理解を深めて居ります ≫≫ 改めて、機知に富んだ翻訳、費やされた時間に敬意を表すと共に感謝致します。 有難うございます。 
by Alouette (2011-05-30 17:55) 

euridice

Alouetteさん、コメントありがとうございます。誤訳の心配も当然ありの拙い訳で、心苦しいのですが、読んでくださる方がいらっしゃるのはうれしいです。まあ、だいたいのところは外れてないかと、希望的観測です。今後ともよろしくお願いします。
by euridice (2011-05-31 11:22) 

Alouette

euridiceさん ご存知でしたか?? Alexander氏が先週、84歳で亡くなられたそうですネ。 丁度、ウィーンを訪れて居た友人が、新聞の写真を見て購入したら、その記事だったそうです≫≫ “寂しいから~早く来ない~”ってペーターに呼ばれたかもネ~って話したのですが、、、≫≫二人で又、ギターつま弾きふざけて楽しんで居るかも~≫≫ “evergreen”と、デボラ夫人と3人の番組のDVD、是非市販して欲しいですネ。 すごく、自然な姿で大好きです。≪≪ 残念ながら、3人の方は消えた侭ですが。。。 ≫≫ euridiceさんの情報は何時も、≪お宝映像≫と呼んで居ます。 又、時々お邪魔させて頂きます。 其れでは又。。。  
by Alouette (2011-06-01 09:51) 

euridice

私はAlexander氏との映像など、全然知らなくて、第3ブログのほうに来てくださっているファンの方に教えていただきました。何人もの方のおかげで、情報、映像、録音などが、今も増えていっています。ずっとホフマンを聞き続けていく人たちは世界中にたくさんいらっしゃるのだと思います。

Alexander氏のユーチューブにたくさんあがっているのは、やはりお亡くなりになったためもあるのでしょうね。自然体で観客と一緒にほんとに楽しそうな映像ですネ。

では、また。
お待ちしています。




by euridice (2011-06-01 22:19) 

Alouette

度々お邪魔致します。 実は2003年4月出版~高額~でしたが衝動買い?? してしまいました。 思い掛けず中にペーターのサイン入りでビックリ、価格に納得!!~満足です。  

翻訳を読みながら是非欲しいと思って居たので、見付けた時は~価格的より先に欲しい!!~と。 以前は読めないのをずっと抱えて居りましたが、euridiceさんのお陰で、中身が良く解り、彼の話声が聞こえる様な感じで、向かい有って居ます。 本当に有難うごございます。 生前に読み始めて居れば~と、悔みながら~~ 

ロック・クラシックの成功何て、まるでハリウッド映画を見て居る様な夢物語。 同世代として≪プレスリー、ローリング・ストーン、サイモン&ガーファンクル、ウエスタン、ドリスディ、パットブーン、ピアフ~etc etc ≫ 
オペラと出会う前~あらゆる音楽が好きだったので、ホフマンの気持ちが手に取る様に解り 『そう~そう~』 と相槌しながら・・・ 楽しく読ませて頂いて居ります。 又、長くなり恐縮です。 感謝まで。。。

1988年5月のは、何でしょう??
by Alouette (2011-06-11 20:23) 

euridice

Alouetteさん
>1988年5月のは、何でしょう??
って、何でしょうか?
済みません。察しが悪くて・・

by euridice (2011-06-12 09:10) 

Alouette

失礼致しました。 本です~作者は一度目のMulle 女史の様ですが??

Produktinformation
Broschiert: 304 Seiten
Verlag: Luebbe Verlagsgruppe (Mai 1988)
と、出て居て~~ 年表に無かった為、≪何かな~??≫と言う~ 説明の抜けた~ 省略した文章で申し訳ございません。 失礼致しました。 悪しからず。。。

by Alouette (2011-06-13 23:43) 

euridice

Alouette さん
1983年出版の本は、後に(1985年と1988年)ペーパーバックとしても再販されたようです。中までは見たことはないのですが、そちらを入手したという方から聞きました。ハードカバーに載っていなかった写真を送ってくださいました。HPの↓に載せてあります。ここからその表紙もリンクしてあります。
http://www.geocities.jp/euridiceneedsahero/83pic97.html

「現在お取り扱いできません」ですが、アマゾンにも出ているんですね。
http://www.amazon.co.jp/Peter-Hofmann-Singen-ist-Fliegen/dp/3404106040/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1308007554&sr=8-2

by euridice (2011-06-14 08:31) 

Alouette

早速、情報を有難うございました。 結婚式の写真は1983年にも出て居ましたが、半分切った物でした。 でも、≪結婚式の為にお花を摘んで来た~≫何て、本当に自然の好きな優しい方でしたネ。 

最期の奥様との田舎での生活~ 何時も≪草原の輝き≫ の最期の場面、W.ビーティに逢いに来た、ナタリーウッド~を、思い出します。 二人は最期まで愛し有って居たけれど、都会派のデボラと自然界へ戻ったピーター、生活の歩調を合わせるのは無理でしたネ。。。 最期を看取った夫人への葬儀の時のデボラの優しい言葉も~~本や記事を読み返す度に色々想像が浮かび~ 映画のストーリーの様な一生を送った方ですネ、ピーターは~~♪♪♪  色々有難うございます。。。 では又。




by Alouette (2011-06-14 19:50) 

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