モーツァルト「フィガロの結婚」新国立劇場 [劇場通い]
2003年10月新演出、2005年4月と2007年10月の再演、そして今回の再々再演。4シーズン、全部行きました。まるで惰性がついてしまったみたい。過去の記事をリンクします。新演出のときはブログをやってませんでした。2005年/2007年/2010年新国HP舞台写真
ダンボールとタンスとはしごだけの舞台装置。これはこれでとっても良い。演奏とお芝居が問題です。舞台装置が観客の心を奪えない分、引き込まれるかどうかは、歌手とオーケストラと、後は観客個々の状況に全てがかかっていると言えるでしょう。
再演にも出かけたのは、やはり新演出で、気に入ったことが最も大きな理由だと思います。それと、このオペラ、たまには聴きたいと思うところがあるようです。通して聴くなら、劇場鑑賞が一番です。どこからどこまで全て大満足ということはめったにないどころか、この演出に関していえば、一度もないのですけど、再演にでかける推進力になったのですから、総合的にはやはり新演出が最高だったと言えるでしょう。なんと言っても、ケルビーノとバルバリーナ。それまでに、映像視聴は山ほどだったのですけど、バルバリーナに注目させられたのは初めてでした。「なくしてしまった」の悲しさとその意味がはじめてわかった。この演出は今回まできちんと受け継がれていて、今回も一番印象に残る場面でした。
本質的に文句言いなので、不満を並べます。新演出:フィガロと伯爵。再演は、指揮(オーケストラ)。再々演は、1階前方の席を希望したのに2階席になってしまったことと、伯爵がちょっと。
ついでに気に入ったことも。新演出:ケルビーノとバルバリーナ。演出。再演:伯爵と伯爵夫人。再々演:伯爵以外の登場人物が全体として。今回:ケルビーノが窓から飛び降りる場面。奈落に落ちて行くのがばっちり見えました。落ち方がとっても素敵で最高でした!視界もよかった。2階のS席はほとんど客がいなかったし、私の後ろもほぼ全て空席で、姿勢に遠慮なし。1階は満席のようでした。
今回、乗れないというか、何やってるのかわからなかった。長かった・・・ 終幕、夜の庭での混乱場面は、本当に混乱。気分ががっらと変わってほしい伯爵の謝罪と伯爵夫人の許しまで一緒くた。若くて見栄えが良い歌手をそろえていましたが、それが効果的というより、未熟のほうに転んだ感じ。存在感、完璧欠如。人物の相関が伝わってこない。研修発表会の雰囲気かな。脇の日本人歌手たちのほうがずっとよかった。それでも、女声は皆さん実に美しい声でした。でも、表現力が今ひとつなのでしょうか、おもしろくない。それに、美しいのはいいけど、声質が似すぎていて、区別がつきにくいのは疲れます。区別がつきにくいのは男声主要キャストも同様。際立つ個性がないというところでしょうか。レシタティーヴォが、美しくない。心地よくない。動きもこなれてないというか、自然さ不足で見ていて疲れます。傾斜舞台が大変そうに見えたのははじめて。最初、脚けがしてるのかと思ってしまった。
このオペラ、伯爵夫妻がむしろ物語の主人公かもしれませんけど、狂言まわしはフィガロでしょう。終始一貫フィガロが存在しなくちゃいけない。今まで劇場であれ、映像であれ、そんなの当然でしたが、今回は・・なんか違った。それがただごちゃごちゃ動いて勝手に歌ってのつまらなさの最大要因ではないかと思います。
もうひとつ、オーケストラは元気がないというか、鳴らないというか、だるいというか、冴えなかった・・。終わりごろはいらいらしてきた・・
劇場鑑賞では、たいていは、なんらかの高揚感が得られるものですけど、今回はだめでした。むしろ私のほうに原因があったのかもしれませんが、「アラベラ」のほうが、全てはるかによかった。「フィガロ」は、余程注目の歌手さんが出演しない限り、もう行かないわ〜〜と思っています。
モーツァルト:フィガロの結婚
アンドレアス・ホモキ演出
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場2003年〜2010年
ダンボールとタンスとはしごだけの舞台装置。これはこれでとっても良い。演奏とお芝居が問題です。舞台装置が観客の心を奪えない分、引き込まれるかどうかは、歌手とオーケストラと、後は観客個々の状況に全てがかかっていると言えるでしょう。
再演にも出かけたのは、やはり新演出で、気に入ったことが最も大きな理由だと思います。それと、このオペラ、たまには聴きたいと思うところがあるようです。通して聴くなら、劇場鑑賞が一番です。どこからどこまで全て大満足ということはめったにないどころか、この演出に関していえば、一度もないのですけど、再演にでかける推進力になったのですから、総合的にはやはり新演出が最高だったと言えるでしょう。なんと言っても、ケルビーノとバルバリーナ。それまでに、映像視聴は山ほどだったのですけど、バルバリーナに注目させられたのは初めてでした。「なくしてしまった」の悲しさとその意味がはじめてわかった。この演出は今回まできちんと受け継がれていて、今回も一番印象に残る場面でした。
本質的に文句言いなので、不満を並べます。新演出:フィガロと伯爵。再演は、指揮(オーケストラ)。再々演は、1階前方の席を希望したのに2階席になってしまったことと、伯爵がちょっと。
ついでに気に入ったことも。新演出:ケルビーノとバルバリーナ。演出。再演:伯爵と伯爵夫人。再々演:伯爵以外の登場人物が全体として。今回:ケルビーノが窓から飛び降りる場面。奈落に落ちて行くのがばっちり見えました。落ち方がとっても素敵で最高でした!視界もよかった。2階のS席はほとんど客がいなかったし、私の後ろもほぼ全て空席で、姿勢に遠慮なし。1階は満席のようでした。
今回、乗れないというか、何やってるのかわからなかった。長かった・・・ 終幕、夜の庭での混乱場面は、本当に混乱。気分ががっらと変わってほしい伯爵の謝罪と伯爵夫人の許しまで一緒くた。若くて見栄えが良い歌手をそろえていましたが、それが効果的というより、未熟のほうに転んだ感じ。存在感、完璧欠如。人物の相関が伝わってこない。研修発表会の雰囲気かな。脇の日本人歌手たちのほうがずっとよかった。それでも、女声は皆さん実に美しい声でした。でも、表現力が今ひとつなのでしょうか、おもしろくない。それに、美しいのはいいけど、声質が似すぎていて、区別がつきにくいのは疲れます。区別がつきにくいのは男声主要キャストも同様。際立つ個性がないというところでしょうか。レシタティーヴォが、美しくない。心地よくない。動きもこなれてないというか、自然さ不足で見ていて疲れます。傾斜舞台が大変そうに見えたのははじめて。最初、脚けがしてるのかと思ってしまった。
このオペラ、伯爵夫妻がむしろ物語の主人公かもしれませんけど、狂言まわしはフィガロでしょう。終始一貫フィガロが存在しなくちゃいけない。今まで劇場であれ、映像であれ、そんなの当然でしたが、今回は・・なんか違った。それがただごちゃごちゃ動いて勝手に歌ってのつまらなさの最大要因ではないかと思います。
もうひとつ、オーケストラは元気がないというか、鳴らないというか、だるいというか、冴えなかった・・。終わりごろはいらいらしてきた・・
劇場鑑賞では、たいていは、なんらかの高揚感が得られるものですけど、今回はだめでした。むしろ私のほうに原因があったのかもしれませんが、「アラベラ」のほうが、全てはるかによかった。「フィガロ」は、余程注目の歌手さんが出演しない限り、もう行かないわ〜〜と思っています。
モーツァルト:フィガロの結婚
アンドレアス・ホモキ演出
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場2003年〜2010年
2003年10月 新演出 1階4列中央 |
2005年4月 2階2列中央 |
2007年10月 2階2列 多少左寄り |
2010年10月 2階3列 多少左寄り |
|
指揮 | ウルフ・シルマー | 平井秀明 | 沼尻 竜典 | ミヒャエル・ギュットラー |
フィガロ | ペテリス・エグリーティス | マウリツィオ・ムラーロ | ロレンツォ・レガッツォ | アレクサンダー・ヴィノグラードフ |
スザンナ | 中嶋 彰子 | 松原有奈 | 中村 絵里 | エレナ・ゴルシュノヴァ |
伯爵 | クリストファー・ロバートソン | ヴォルフガング・ブレンデル | デトレフ・ロート | ロレンツォ・レガッツォ |
伯爵夫人 | ジャニス・ワトソン | エミリー・マギー | マイヤ・コヴァレヴスカ | ミルト・パパタナシュ |
ケルビーノ | エレナ・ツィトコーワ | ミシェル・ブリート | 林 美智子 | ミヒャエラ・ゼーリンガー |
バルバリーナ | 中村 絵里 | 中村 絵里 | 國光 ともこ | 九嶋香奈枝 |
バルトロ | シャオリャン・リー | 妻屋秀和 | 佐藤 泰弘 | 佐藤 泰弘 |
マルチェリーナ | 小山 由実 | 竹本節子 | 森山 京子 | 森山 京子 |
バジリオ | 大野光彦 | 大野光彦 | 望月 哲也 | 大野光彦 |
ドン・クルツィオ | 藤木大地 | 中原雅彦 | 加茂下 稔 | 加茂下 稔 |
アントーニオ | 晴雅彦 | 晴雅彦 | 志村 文彦 | 志村 文彦 |
こんばんは。
私は、1階中央で観ることができましたが、イケメン指揮者の真正面で、その指揮ぶりをじっくり観察してました(笑)
これで、4つとも全部行かれたのですね。
過去のキャストを拝見すると、なかなかのビックネームや、いまが旬の人などが出演してますね。
そう考えると、今回は小粒で若手ばかり。
初観劇のわたくしは、演出を主体に喜々として観ることができました。
でも、聴衆はちょっと静かめでしたね。
たぶん、これで終了でしょうか。
by yokochan (2010-10-21 21:50)
>たぶん、これで終了でしょうか。
この演出はこれで終わりといううわさです。
どの演出でもそうなのかもしれませんけど、
初めての観劇がやはり、新鮮で衝撃的ですね。
だから、満足の程度は半分以上、個々の観客に
かかっているのではないかと思います。
>なかなかのビックネーム
ビッグネームにはやはりそれなりのものがありますね。
余裕があるというか、間の取り方が巧いというか。
再演はほんとに指揮が奇妙だったんですけど、
それをいなす力が歌手にあるのが伝わりました。
>いまが旬の人
これも客席に伝わりますね。
こういうのって、やはり伊達じゃないと思います。
今回はそれがなかった・・・そして「間」が・・
でも、今回が初見だったら、新鮮だったでしょう。
ケルビーノにもっと魅力を感じた可能性大です。
伯爵もフィガロも新演出の時より、ダントツカッコいいし
伯爵夫人もスザンナも可愛い
(中島スザンナは姐御的で、おっかなかったですよ〜〜
存在感抜群でしたけど。スザンナは中村さんがよかった記憶)
by euridice (2010-10-22 09:22)