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マイスタージンガー ウィーン2008年 [オペラ映像]

クラシカジャパンで放送中

ワーグナー:ニュルンベルクのマイスタージンガー
クリスティアン・ティーレマン指揮
ウィーン国立歌劇場2008年1月
オットー・シェンク演出

ザックス:ファルク・シュトゥルックマン
エヴァ:リカルダ・メルべート
ワルター:ヨハン・ボータ
ベックメッサー:アドリアン・エロード
ポーグナー:アイン・アンガー
ダーヴィット:ミヒャエル・シャーデ
マグダレーナ:ミカエラ・ゼリンガー
フォーゲルゲザング:アレクサンダー・カイムバッヒャー
コートナー:ヴォルフガング・コッホ

物語の時代と場所に従ったごく普通の舞台。全然いじってない演出ですから、落ち着いて鑑賞できます。

けど、注目のワルターは、台詞の描写と合っていない。ワルターはどちらかと言えば硬派の青年だと思いますが、軟派のなよなよ系に見えます。物語的にもワルターはもっといい男だと思いたいですが、典型的ステレオタイプのテノール歌手。しかも唯一単独肥満体。目立って満足? ついでに言ってしまえば、ひげずらがむさくるしい。それにしても、パヴァロッティとかマルセロ・アルバレスのような魅力は感じられません。なにかにつけ目を丸くしたり、うなずいたりする、いかにもの学芸会的演技もしらけます。しかも、その度にカメラがそれをうつしてくれます。見なければ、それなりに立派なテノールと言わざるをえないでしょう・・から、オペラ的には当然、外見には目をつぶってやりすごすべきということです。それでも、やっぱり・・物足りない・・。

このテノール氏は、ずっと前に、これもやはりウィーンの映像、奇妙な演出の「トゥーランドット(ベリオ補作版)」のカラフでした。同じ頃に視聴したスカラ座のは、超肥満姫でしたが、こっちは超肥満王子。別にこれだけのせいではないんですけど、以来、このテノール氏は、少なくともあえて見るのは、遠慮したいというところ。なかなか評判のテノール氏なので、アリア集も一通り聴きましたけど、特別の印象はなし・・。それに入っていた解説によれば、南アフリカ出身、1965年生れ。ヨーロッパでのキャリアは、オペラ劇場やバイロイトの合唱団員から。

エヴァは、新国立劇場の「コジ・ファン・トゥッテ」と「タンホイザー」に出演しました。「コジ・ファン・トゥッテ」のフィオルデリージは全然覚えていませんが、以前の感想記事に『フィオルディリージは魅力が感じられず、かなり興醒め』なんて書いていました。それに対して「タンホイザー」のエリーザベトは、今も聖画のような雰囲気が記憶に残っています。この映像のエヴァは、と言えば、違和感大。行き遅れのオールドミスということで、外見は許すとしても、歌う時の表情がとても気になります。「タンホイザー」の感想には『顔の微妙な表情が豊かで、しかも、歌うことで崩れることがなく、常に気品がありました』なんて書いています。オペラグラスでのぞかなかったはずはないし、一体どうなってるの?という感じ。この映像では、歌うとしかめっつらになって、表情崩れっぱなし〜〜 別人かと思ったりもしましたが、同じソプラノでしょう。全体的に、とにかく私のイメージのエヴァという感じじゃないです。新国で見たときは全然感じなかったのですが、けっこうな貫禄なのもエヴァに見えにくい一因かもしれません。歌わない横顔はちょっとベーレンスに似ていて、やはりなかなかの美人だと思います。

マグダレーナのほうがほっそりと華奢で可愛い感じ。三幕、パソコンで入力しながら眼鏡なしで見てたら、ダーヴィッドがマッダレーナを持ち上げてくるくる回っていたのですけど、一瞬ワルターとエヴァかと思ってしまいました。

ザックス。三幕、エヴァが靴を直してもらい、ワルターが部屋の入口で歌い、ついにザックスがエヴァをワルターの方に押しやって歌うとき、ザックスの気持ちがなんだか直裁に伝わってきて、ちょっと感傷的な気分になりました。ザックスのバリトン氏は、映像で「パルジファル」のアンフォルタスや「リング」のヴォータンを視聴していますが、特別にどうこう思ったことはありませんでした。

ダーヴィッド。粗野というか無骨というかの、いかつい徒弟。体格では親方を圧倒してます。明るく細めのテノール声に意外感。このテノール氏は、やはりウィーンの映像「皇帝ティートの慈悲」のちょっと異常な雰囲気の皇帝が印象的でした。

マイスターたち。皆さん、地味ですが、なかなか品が良い。
二幕で娘と並んで登場のポーグナー親方、姉弟に見えました。

久しぶりのマイスタージンガーの映像でした。何はともあれ、結構楽しめました。

関連記事:
コジ・ファン・トゥッテ@新国立劇場2006年
タンホイザー@新国立劇場2006年
マイスタージンガー@新国立劇場2005年

P.ホフマン@マイスタージンガー1988年バイロイト


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コメント 4

YUKI

お久しぶりです。^^;

オペラの場合は歌手によっては映像無しの録音だけで鑑賞したら素晴らしいけど映像になれば演出や歌手の容姿でガラリと印象が変わってしまう場合ありますよね。^^;
私も最近、You Tubeでそんな映像を見ました。
by YUKI (2009-10-17 11:06) 

kametaro07

この「マイスタージンガー」とチューリッヒの「ル・シッド」とどちらに行くか迷ったのですが、同行者が5時間半は無理と言うのでチューリッヒに行ったのです。
「ル・シッド」お目当てのクーラがお父上が亡くなりキャンセルでガッカリでしたが・・・・。
ティーレマンに興味があったので歌手陣はチェックしなかったのですが、スカラで来日したボータが出演していたとは知りませんでした。
>唯一単独肥満体
スカラ「アイーダ」ではお相手のウルマーナも大柄だったので目立ちませんでしたが、単独ではやはり気になりますね^^;
>何はともあれ、結構楽しめました。
ティーレマン指揮の演奏がなかなか良かったということでしょうか?
by kametaro07 (2009-10-17 12:45) 

euridice

YUKIさん、こちらこそ・・です。
>オペラの場合は
要素をばらばらに鑑賞なんてのは、私には無理です^^;
他にも多種多様、雑多な条件が加わりますし、
印象は必ずしも一定ではないです。


by euridice (2009-10-19 06:40) 

euridice

kametaroさん
>>何はともあれ、結構楽しめました。
何故かしら・・ 
前奏曲はなんとなくイメージ違いでした。

ワルターがイメージ違いだったのは
「肥満体」のせいだけではないと思います。
by euridice (2009-10-19 06:44) 

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