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バーンスタイン「キャンディード」 [雑談]

2012.1.3 NHKの恒例ニューイヤーオペラコンサート。
バーンスタイン作曲の「キャンディード」から2曲歌われたのには、ちょっとびっくりしました。ヒロインの歌はソプラノの幸田浩子さん、そして、フィナーレの合唱です。このミュージカルの原作が1755年に起こったリスボン大地震がきっかけで書かれたというのが理由のようでした。

ホフマンの1993年アンナマリア・カウフマンとのミュージカルツアーのビデオに同じ曲があったのを思い出しました。

Glitter and Be Gay(ヒロイン、グネゴンドの歌)


Make Our Garden Grow(フィナーレの二重唱)


バーンスタイン作曲の「キャンディード」は、自作自演のコンサート映像をざっと視聴したことがあります。交流ブログで話題なので、この映像のことと、ペーター・ホフマンが「オペラ座の怪人」の相手役だったアンナ・マリア・カウフマンと共ににおこなったミュージカルツアー(1993年秋)のライブビデオに2曲入っていたのを思い出しました。

関連記事:アンナ・マリア・カウフマン
(すべての山に登れ〜サウンド・オブ・ミュージックのクリップがあります)

このツアーは翌年1994年春に再演ツアーを行いました。伝記(2003年刊)に
「1994年のミュージカル・クラシック・ツアーのときにはすでに、手が相当にふるえていて、隠せないこともあった。集中するのが困難だった。腕が何となく自分のものではないような感じが続いて、それに対して為す術がなかった.....」
とあります。1993年の秋に収録されたこのビデオでも、知っているからかもしれないとも思いますが、やはりそこはかとない固さが感じられます。そして、1995年春のカントリーロード・ツアーでは誰の目にもはっきりと異常がわかるという事態を迎えることになります。この時のことを、こんなふうに言っています。
「私自身でさえ、一体何が起っているのかわからなかったのだから、コンサートの客は当然なおさらのこと理解に苦しんだに違いない。『何故、彼は動かないのだろうか。何故、彼はこわばったような顔をしているのだろうか。何故、サインしないのだろうか』その通りだった。手が震えて書くことができなかったのだが、このことは特に誤解を招いた。そして、ますますうわさと憶測が広がっていった・・・もうそのころには、大勢の医者に診てもらっていたし、可能なかぎり、ありとあらゆる自然療法も試してみた。」
最後のオペラ出演が1992年2月ですから、(1987年ごろから体調不良が目立つようになったと言いますから、はじまりはもうちょっと前でしょう。特有の症状発現までおよそ10年ということですから・・)1980年代半ばごろから潜行を開始した病気の進行は間違いないところで、そういう状況を長年不安のうちに過ごしていただろうことを思うと、胸が痛みます。若年性パーキンソンの認知度は当然低く、初老期にも達しない年齢の場合、診断されにくい時代だったようですから、明確な診断が相当遅れたと思われます。

さて、バーンスタインの『キャンディード』自作自演は全曲演奏ですが、コンサートなので、物語が自然にわかるというわけにはいきません。しかも、以前は日本語字幕付きのLDが出ていたのですが、今は外国版のDVDだけです。
Candide (Sub Ac3 Dol Dts)レナード・バーンスタイン:キャンディード
レナード・バーンスタイン指揮 1989年
ロンドン交響楽団&ロンドン交響合唱団

キャンディード:ジェリー・ハドレー
キャンディードの恋人、クネゴンデ:ジューン・アンダーソン
オールド・レディー:クリスタ・ルートヴィヒ
パングロス博士/ヴォルテール:アドルフ・グリーン
総督/ヴァンデルデンドゥール/ラゴツキー公爵:ニコライ・ゲッダ
パケット:デッラ・ジョーンズ
マクミリアン(グネゴンデの兄)/船長:カート・オルマン
熊使い/裁判官/ツァー・イワン:クライヴ・ベイリー
化粧品売り/裁判官/チャールズ・エドワード:ニール・ジェンキンズ
医者/裁判官/スタニスラス:リンゼイ・ベンソン
ジャンク屋/裁判官/ヘルマン・アウグストゥス王:リチャード・スアート
練金術師/裁判官/サルタン・アクメット:ジョン・トレレーヴェン

バーンスタイン自作指揮の「ウェストサイドストーリー」と同様、主要キャストには有名どころのオペラ歌手を揃えてあります。そのせいかどうか、印象はちょっと共通していたように思います。だれと言ってすっかりはまって乗ってますという印象が希薄です。たとえば、クリスタ・ルートヴィヒなど、一生懸命に軽快に楽しそうにやってます。偏見かもしれませんけど、そういう感じを受けてしまう。どちらかと言えば芸達者なオペラ歌手なのでしょうけど、芸の種類が違うんじゃないかしら・・

今年の3月ごろNHK-Biで放送したのは残念ながら見逃しました。こちらもオペラ歌手、ミュージカル歌手入り交じっての公演だったようです。ユーチューブでちょっとみました。バーンスタイン自作自演コンサートと違って、ちゃんと衣装もつけのお芝居でおもしろそうです。語り役はトーマス・アレン。私としては、アドルフ・グリーンさんよりはるかにおもしろく、魅力的な語りと感じます。再放送ないのかしら・・ まじめにチェックしていないから、また見逃したか、見逃しそうです・・けど。



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コメント 13

hasida

同じものかどうか分かりませんが、
秘密の番号#34503 でアレンが語りをやっているのがあります。
勿論字幕なしで、私は早々に諦めました。
by hasida (2008-11-10 23:10) 

しま

どうも……キャンディード繋がりで、しゃしゃり出てきてしまいました。
ホフマンなら何らかの形で歌っているのではないかと思っていましたが、やはり…。彼の声で聴くMake Our Garden Grow、新鮮ですが、この歌唱の背景にそんな悲劇があったと知るととても複雑な気持ちになります。

バーンスタインの自作自演盤。キャンディードとは何ぞやと知りたくてゲットした最初のCDです。ニコライ・ゲッダが目当てだったんですが。DVDはまだ観てないんですけどねぇ。
「芸の種類が違う」というのは、何となく理解できます(笑)

>hasidaさん
初めまして。横レス失礼いたします。「アレンの語り」となると、どうしても素通りができないのです(笑)
現在把握している限りでは、アレンが語りをやっているもので映像化されているのはNHKで放送されたNY版のみなのですが、hasidaさんがご覧になったのはどのようなものでしたか? もしや、新たな映像が……??
by しま (2008-11-11 01:25) 

euridice

hasidaさん、ありがとうございます。
英語のものは字幕がないことが多いですね・・
これもやっぱり・・ですから、きつい〜〜・・;
テレビ放送はみそこねたので正確なところはわかりませんが、
おそらく同じ公演です。ユーチューブに複数あがっています。

パリのシャトレ座のカーセン演出の映像も、やっぱり字幕が・・
by euridice (2008-11-11 05:56) 

euridice

しまさん
しまさんのキャンディードつながりで、思い出し記事です。
TBしましたので、よろしくお願いします。

>バーンスタインの自作自演盤。
LDがけっこうなお値段でヤフオクに出てます・・

>>hasidaさんのおっしゃってるのは、十中八九
>NHKで放送されたNY版です。

カーセン演出のはボルテールだけがフランス語で、
これには英語字幕がついています。
歌は英語で字幕なし。


by euridice (2008-11-11 06:09) 

ななこ

ミュージカルを映像でまともに楽しめたのはエヴリーフィッシャーホールの「キャンディード」が初めてだったと思います。
ちょうどサントリーホールのホールオペラみたいにオーケストラを舞台中心に据えてその周りを縦横無尽に使い切っていましたね。

バーンスタインの自作自演コンサートー形式は知りませんが、ミュージカルのスタイルで上演してこその価値があるのではないかと思います。
バーンスタインはそこまで考えていなかったのかも知れないけれど。
作品は上演を繰り返すことによって進化してくるものと思います。

もちろんコロラトゥーラの大歌手のクネゴンデのアリアはそれだけで聴き応え充分ですが、チェノウェスの歌って踊っての舞台を見ると全く別物という感じがします。
ひょっとしたらデセイなら舞台で演じることができそうですね。
カウフマンの音声クリップ聴かせていただきましたが、声はミュージカル歌手なのに動きが感じられなくて楽しさが感じられないと思います。

ホフマンはよくこの時期にキャンディードを歌いましたね。
コンサートだからということなのでしょうけれど、体調を考えたら残酷な気持ちが強いです。
ロックの方が瞬間の集中力で乗り切れるように思います。

アレン卿の語りから見事に惹きつけられました。
再放送、あるいは字幕付きDVDがあるといいですね。
楽しいから見てしまいますが、一度見ただけでは「わけわからん」面があり私ももう一度見たいと思っています。

by ななこ (2008-11-12 13:10) 

hasida

アレン出演分のデータです。
Leonard Bernstein
Candide

New York Philharmonic
Avery Fisher Hall, Lincoln Center
for the Performing Arts

Conductor: Marin Alsop
Candide: Paul Groves
Cunegonde: Kristin Chenowith
The Old Lady: Patti LuPone
Dr. Pangloss: Sir Thomas Allen
Maximillian: Jeff Blumenkrantz
Paquette: Janine Lamona

tv broadcast 2007

by hasida (2008-11-12 22:45) 

euridice

ななこさん
>自作自演コンサートー形式
正装してオーケストラの前に並ぶというものだったと思います。
役柄のイメージなんてできませんでした。


by euridice (2008-11-13 09:14) 

euridice

hasidaさん
ありがとうございます!
by euridice (2008-11-13 09:16) 

しま

hasidaさん>
ありがとうございます。YouTubeの映像と同じものなんですね。
こちらのものは芝居の部分もちゃんとあって、アメリカらしいおフザケ満載なので、けっこう気に入っています。
by しま (2008-11-13 22:09) 

euridice

しまさん
なんとか一通り観ました。
アレンはもちろんですが、
クネゴンデの兄がケッサクですね^^+
by euridice (2008-11-14 07:53) 

keyaki

グリゴーロ君三役のキャンディードのライブ録音が手に入りました。
歌の部分以外は、グリゴーロとわかないくらい面白いです。
TBしますので承認お願いします。
by keyaki (2008-11-23 08:28) 

ななこ

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
ニューイヤーコンサートは早送りしながら録画を見ました。
キャンディードの原作がリスボン大地震をきっかけにということに私も驚きました。
大災害の歴史は世界どこにもあるのだなあと。。。
恙ない1年であることを祈らざるを得ません。

コンサートはう~ん・・・
妻屋さん大健闘だったと思います。
藤村さんがデリラではなくもっとイメージに合った曲を歌われたらよかったのにとちょっと残念でした。
でもさすがの貫禄だったと思います。


by ななこ (2012-01-04 12:06) 

euridice

ななこさん、あけましておめでとうございます。
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。

>コンサート
やっぱり新国でのおなじみさんには注目しますし、なんとなく
ひいき目(耳)になります。

妻屋さん、もちろん歌は大健闘ですけど、舞台演出はちょっと・・違うものをイメージしちゃいそうでした。

藤村さん、同感です。





by euridice (2012-01-04 13:33) 

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