カルメン コヴェントガーデン2006年 [オペラ映像]
2010.10.6:先月(9月)から、クラシカジャパンで放送中。本邦初放送とのことです。NHKが放送したチューリヒのより普通の「カルメン」でしょう。
関連記事:チューリヒのカルメン
2年ほどまえにインターネットからダウンロードした映像で視聴済みですけど、テレビで字幕付きは当然初めてなので、見てみました。
ビゼー:カルメン
アントニオ・パッパーノ指揮
フランチェスカ・ザンベッロ演出
コヴェントガーデン2006年
クラシカジャパン2010年9月〜日本初放送
カルメン:アンナ・カテリーナ・アントナッチ
ドン・ホセ:ヨナス・カウフマン
エスカミーリョ:イルデブランド・ダルカンジェロ
ミカエラ:ノラ・アンセレム
序曲の終わるあたりで、牢獄の処刑直前のドン・ホセが登場。こういう姿がそれらしい人によって演じられるを見ると、この物語のドン・ホセという若者に沿った形での悲劇性が伝わります。
ずっと古い映像で見たパリ・オペラ座と似ています。こちらは、幕間にも牢獄のドン・ホセが舞台に登場しますけど、私はなぜか何も感じなかったのでしたが・・。
カルメン:テレサ・ベルガンサ、ドン・ホセ:プラシド・ドミンゴ、エスカミーリョ:ルッジェーロ・ライモンディ、ミカエラ:カーチャ・リチャレッリという豪華配役です。でも、レーザーディスク(ソニー)時代から画質も音質も悪い。DVDにもなりましたが、改善されないらしい。それに、この演目、大人気のようで、次々と映像が出ますから、過去はあっという間に忘却の彼方というところかも。同じころにはドン・ホセとエスカミーリョは同じ歌手のオペラ映画(フランチェスコ・ロージ監督)もありますし。
コヴェントガーデン2006年に戻ります。
カルメンはやはり、特にホセを誘惑するところは、気持ち悪い。こんなのに陥落する男もいるのだから、コワイ。所詮そういうところのある男だということだとしても・・その他大勢の女たちもやたら巨大な胸が肉、肉って感じに強調されている。相当鮮明な大画面で見ると気色悪い。文化の違い・・?
主役はやっぱりドン・ホセかな。演じるはヨナス・カウフマン。37歳、まさに男盛り。似合ってます。これまで視聴した中でやっぱりこれが一番いいと思います。こもって聞こえるのが気になりがちな声ですが、この映像では全然気になりません。
これでカルメンが、私好みの可愛い女だったら、最高だったかも・・
2008年10月 インターネット視聴↓
一幕に可愛いロバ、二幕では闘牛士エスカミーリョが黒馬に乗って登場。ごちゃごちゃした舞台の後方にあって、この馬はあまり効果的ではなかった。エスカミーリョも馬に乗って颯爽と色男登場!という雰囲気ではない。でも、山中の決闘の場は迫真の立ち回りでよかった。だいたいぱっとしないエスカミーリョが多いことを思えば、相当に存在感のある『闘牛士」らしいエスカミーリョでした。
カルメンは新国立劇場の「ウェルテル」で印象が薄かったアントナッチ。映像で間近に見ると、全然美人じゃないし、可愛くもない。あれから6年、かなりおばさん化したことでしょうし。演出なのでしょうけど、自分に振りむかないちょっといい男を、自分の自尊心のためにだけ、ひっかけた悪女に見えます。こんなのにひっかかってしまうのは、やはり魔が差した、悪魔のいたずら、運命としかいいようがない感じがして、ホセにすっかり同情してしまいました。
多少カマトトっぽいにしても、清純で可愛く堅実なミカエラと結婚していれば、少々退屈かもしれないけど、平和な人生が送れたでしょうに・・年のせいか、こういうことはめったにない、お芝居的真実さが素直に伝わるテノールが演じているせいか、ドン・ホセに寄り添う心情に・・
で、思うのは、やっぱりカルメンは、若くて美人で可愛くなくちゃいけません。もしそんなカルメンだったら、以前に見た原作に忠実らしい映画「カルメン」にとてもよく似た雰囲気の演出のような気がします。ホセが主役と言えなくもない「カルメン」かも。ヨナス・カウフマンはドン・ホセ、ロールデビュー。まさしくドン・ホセでした。
☆関連記事:映画「カルメン』
関連記事:チューリヒのカルメン
2年ほどまえにインターネットからダウンロードした映像で視聴済みですけど、テレビで字幕付きは当然初めてなので、見てみました。
ビゼー:カルメン
アントニオ・パッパーノ指揮
フランチェスカ・ザンベッロ演出
コヴェントガーデン2006年
クラシカジャパン2010年9月〜日本初放送
カルメン:アンナ・カテリーナ・アントナッチ
ドン・ホセ:ヨナス・カウフマン
エスカミーリョ:イルデブランド・ダルカンジェロ
ミカエラ:ノラ・アンセレム
序曲の終わるあたりで、牢獄の処刑直前のドン・ホセが登場。こういう姿がそれらしい人によって演じられるを見ると、この物語のドン・ホセという若者に沿った形での悲劇性が伝わります。
ずっと古い映像で見たパリ・オペラ座と似ています。こちらは、幕間にも牢獄のドン・ホセが舞台に登場しますけど、私はなぜか何も感じなかったのでしたが・・。
カルメン:テレサ・ベルガンサ、ドン・ホセ:プラシド・ドミンゴ、エスカミーリョ:ルッジェーロ・ライモンディ、ミカエラ:カーチャ・リチャレッリという豪華配役です。でも、レーザーディスク(ソニー)時代から画質も音質も悪い。DVDにもなりましたが、改善されないらしい。それに、この演目、大人気のようで、次々と映像が出ますから、過去はあっという間に忘却の彼方というところかも。同じころにはドン・ホセとエスカミーリョは同じ歌手のオペラ映画(フランチェスコ・ロージ監督)もありますし。
コヴェントガーデン2006年に戻ります。
カルメンはやはり、特にホセを誘惑するところは、気持ち悪い。こんなのに陥落する男もいるのだから、コワイ。所詮そういうところのある男だということだとしても・・その他大勢の女たちもやたら巨大な胸が肉、肉って感じに強調されている。相当鮮明な大画面で見ると気色悪い。文化の違い・・?
主役はやっぱりドン・ホセかな。演じるはヨナス・カウフマン。37歳、まさに男盛り。似合ってます。これまで視聴した中でやっぱりこれが一番いいと思います。こもって聞こえるのが気になりがちな声ですが、この映像では全然気になりません。
これでカルメンが、私好みの可愛い女だったら、最高だったかも・・
2008年10月 インターネット視聴↓
一幕に可愛いロバ、二幕では闘牛士エスカミーリョが黒馬に乗って登場。ごちゃごちゃした舞台の後方にあって、この馬はあまり効果的ではなかった。エスカミーリョも馬に乗って颯爽と色男登場!という雰囲気ではない。でも、山中の決闘の場は迫真の立ち回りでよかった。だいたいぱっとしないエスカミーリョが多いことを思えば、相当に存在感のある『闘牛士」らしいエスカミーリョでした。
カルメンは新国立劇場の「ウェルテル」で印象が薄かったアントナッチ。映像で間近に見ると、全然美人じゃないし、可愛くもない。あれから6年、かなりおばさん化したことでしょうし。演出なのでしょうけど、自分に振りむかないちょっといい男を、自分の自尊心のためにだけ、ひっかけた悪女に見えます。こんなのにひっかかってしまうのは、やはり魔が差した、悪魔のいたずら、運命としかいいようがない感じがして、ホセにすっかり同情してしまいました。
多少カマトトっぽいにしても、清純で可愛く堅実なミカエラと結婚していれば、少々退屈かもしれないけど、平和な人生が送れたでしょうに・・年のせいか、こういうことはめったにない、お芝居的真実さが素直に伝わるテノールが演じているせいか、ドン・ホセに寄り添う心情に・・
で、思うのは、やっぱりカルメンは、若くて美人で可愛くなくちゃいけません。もしそんなカルメンだったら、以前に見た原作に忠実らしい映画「カルメン」にとてもよく似た雰囲気の演出のような気がします。ホセが主役と言えなくもない「カルメン」かも。ヨナス・カウフマンはドン・ホセ、ロールデビュー。まさしくドン・ホセでした。
☆関連記事:映画「カルメン』
写真を拝見して、カルメンに見えないと思ってしまいました。すみません・・・。
ずいぶん前になりますが、ワルトラウト・マイアーのカルメンが忘れられません。
声も姿も美しく、一見たおやかな雰囲気の美女ですが、シンが強くてコワい感じもありました。
ミカエラがアンジェラ・ゲオルギュー、指揮がドミンゴ、このどちらか目当てのキャン客がとても多かった記憶があります。
指揮には天井近くの席からブーも出ていましたが・・・。
私はひたすら、マイアーの声でカルメンが聴けるのがうれしかったです。
by ペーターのファンです。 (2008-10-30 17:42)
すみません。観客のはずがヘンな字になっています。
by ペーターのファンです。 (2008-10-30 17:44)
>カルメンに見えない
かなりつらいですね^^;
>ワルトラウト・マイアーのカルメン
メトの来日公演にいらっしゃったんですね。
マイアーも似合わないとか、主婦(マスコミの批評にわざわざドイツ語で書かれたらしい)だとか、いろいろ言われたみたいです。
映像を見ましたが、はるかにカルメンだと思います(雲泥の差^^++)
主婦だなどというのは様々な意味で偏見以外の何ものでもないのではないかと・・↓に関連記事があります。
http://euridiceneeds.blog.so-net.ne.jp/2007-09-23
by euridice (2008-10-31 06:30)
カウフマン、こちらがロールデビューだったのですか!
この年にチューリヒとかあちこちでこの役を違う演出で歌ったのですね・・
>巨大な胸が肉、肉
胸だけでなく太ももも・・・なんかムンムンって感じで嫌でした。
パリオペラ座のは市販のVHSテープで見ました。
あまりにノイズの多い酷い音質で聞けたものじゃありませんでした。
画質もいいはずがないのですが、淡い色彩で美しかったことだけ覚えています。
演出などは全く記憶がありません。
DVDでも画質など改善されなかったのですか・・
ロージー監督の映画(LD)を見てもうこれ以上のは望めないだろうと思いました。
ジュリアミゲネスみたいなカルメンだったら舞台としては最高だったのに残念です。
by ななこ (2010-10-06 21:39)
ななこさん
>ムンムンって感じ
ほんとに気持ち悪くなります〜〜
>ロールデビュー
ダウンロードしたファイルの説明にそのように書いてありました。2006年末から2007年にまたがっての公演だったそうです。
>あちこちで
いいとなるとあちこちから求められちゃうんですね〜〜
>カルメン
雰囲気じゃないのは、こちらの好みもあるのでしょうけど・・
思い出したのですけど、このメゾソプラノさん、林康子さんの蝶々夫人(スカラ座)ケイト役で登場しているんですよね〜〜 楚々とした感じでした。いくら年月を経たとはいえ、同一歌手とは思えないほどです。
このカルメン、かなり無理して作っているのかもしれません・・ 可愛い雰囲気も出せるのではないか???と思ったり・・つまり演出意図なのでしょうか・・ でも、その底流に可愛さを含めてもいいというか、演出家はそれを望んだけど、そこまではできなかったとか・・ スカラ座シェローの可憐なマイアーイゾルデを思ったりしてしまいました。
by euridice (2010-10-07 07:46)
ななこさん
でも〜、歌声だけでいえば、オペラ映画カルメンでのドミンゴホセの豊かで輝かしい声と歌い上げるというかそんな歌い方のほうがやっぱり好みです・・ ずいぶんと涙腺を刺激したものです。
by euridice (2010-10-07 09:56)
ありがとうございます。
いろいろ思い出しました。
アントナッチはケイト・・・充分に美しい方でしたよね。
20年以上の時がたった、とはいえこれは演出意図に無理があった・・・いや、やっぱり感じ方それぞれの問題だと最終的には思います。
カルメンだけでなくタバコ工場の女性みんなそうですから・・
歌が見かけほどにはあくが強くなかったから余計に気色悪さだけが強調されてしまったとも思います。
ヨナスカウフマンについてはテノールの華のある声というより、私は別の意味で最近魅力を感じるようになりました。
いいなんて全く思わなかったのに、ころっと印象が変わるのですから、好みって分かりません。
自分の中ですらこの状態ですから、それぞれごひいきの歌手があるのは当然ですね。
もちろんその声が聞こえてくれば幸せになれる自分にとって永遠不変の歌手はそれはそれで絶対ですけれど。
いっときの思い込みで閉ざさず、広くアンテナは広げてオペラを長く楽しんでいきたいと思うこの頃です。
by ななこ (2010-10-08 17:36)