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二期会 ワルキューレ [オペラ映像]

NHK教育、芸術劇場でハイライト放送がありました。前奏曲の間、舞台ではなにやら無言劇が演じられています。お出かけになった方の記事によると、仲良く遊んでいるみたいなのは火の神ローゲと子どものブリュンヒルデ。ヴォータンも登場して見守っております。敗残兵と避難民みたいな一群が影絵的に横切って、いきなりジークリンデが舞台前面にふらふらと登場。ジークムントが現れて、オペラが始まります。(画像クリック→拡大)

舞台は概して暗く、色彩はくすんで、衣装、装置は時代不詳はいいのですが、テレビで見た限りにおいては、効果的ではなかった。もともと神話世界なのだから思いきってもっと日本の時代劇風にでもすれば良いのに・・ 登場人物全員日本人なのだから、そのほうが衣装も似合って、ジークムントももっとかっこよく見えたかもしれないなんて思ったりしますが、そうでもないのでしょうかねぇ・・ せっかく火の神ローゲを出演させても暗いのとわけのわからない衣装と所作のせいか、花咲かじじいみたいでした。

およそ2時間のハイライトですから、解説文が入って話が飛びます。最初の解説で、ジークムントがすべてジークフリートとなっていました。次の解説からは直ってました。なんとも不注意ですねぇ・・ 

ワーグナー:ワルキューレ
飯守泰次郎指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
ジョエル・ローウェルス演出
二期会 東京文化会館2008年2月23日
NHK教育芸術劇場ハイライト放送

ジークムント:成田勝美
ジークリンデ:橋爪ゆか
フンディンク:長谷川顯
ヴォータン :小森輝彦
フリッカ  :小山由美
ブリュンヒルデ:横山恵子

気に入ったというか、心地良く聴けたのは、フリッカ、そしてフンディング。どちらも新国のワルキューレで同じ役でしたし、他の公演にもたびたび出演しています。ジークムントの成田氏、新国のマイスタージンガーに出演なさってましたが、マイスターの一人ではあるし、全然記憶に残っていませんでした・・

三幕冒頭、ワルキューレの騎行の場面は、なかなかおもしろかったです。戦場での戦闘場面がスローモーション、ストップモーションで繰り広げられる中で、ワルキューレたちがワルハラに連れていく英雄を選んでいきます。ワルキューレたちは、カゲロウの羽ような薄い羽をつけています。ワルキューレと関連性があるらしいギリシャ神話の復讐の女神エリニュエスは集団で行動し「蝿」と表現されることもあるから、蝿の羽というべきかもしれません。

ジークムントの死の場面、胸に迫りました。ヴォータンの介入でフンディングの槍で胸を貫かれ、膝をついた瀕死のジークムントをヴォータンがしばし抱きしめ、ブリュンヒルデに対する怒りもあらわに立ち去った後、しばらく同じ姿勢のジークムントがどっと倒れる・・ぞくぞくっと戦慄が走りました。この場面、新国の演出もそうでしたが、フリッカもそこにいて一部始終を見ています。「フリッカの前にひざまずいて報告しろ」と命じられたフンディング、まさにフリッカの目の前に、ばったんと倒れて死ぬのですが、そのフンディングを見て、満足げに冷笑する小山フリッカ、凄かった・・


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ななこ

こういった公演は絶対的支持者(ファン)がいらっしゃるのでしょうね。
私にとっては見るのも聞くのも少々辛いことばかりでした。
(ぶつ切れのハイライトだけでの判断は軽率かもしれませんが)

歌手の声に集中の私でも最初からオケの音自体が全然違うと・・・

3幕冒頭の戦闘場面は歌舞伎の殺陣のスローモーションの型を取り入れていますね。

もう少し視覚的に楽しめる舞台ならそれなりの面白さはあったかもしれないけれど、そこかしこのやたらと細かい演出が換えってわざとらしいというか技におぼれるという感じでどうかと思いました。

ローゲはダンサーですよね?
音楽の集中力削がれます。

なんやかやいっても、海外のメジャーどころの公演は違うなあと感じ入ることしきりでした。
ペトレンコのフンディングを今更に思い出しています。

by ななこ (2008-04-08 12:11) 

euridice

このハイライト放送は、心地よく没入とはいきませんでした。
飛ばし見です^^;; 

演奏のレベル云々は置いておいて、なんというか不自然な感じがぬぐえません。ワーグナーのせいか、テレビ視聴のせいか・・多分両方だと思います。

二期会の公演はマイスタージンガーに行ったことがありますけど、舞台の進行につれて、似たような心地悪さを感じました。この時は演目のせいだと思いますが、舞台の上も下もほぼ100%日本人ってけっこう心理的に微妙。第三者的というか客観的に鑑賞しがたいというか・・

いわゆる市民オペラには誘われてけっこう行っていた時期があります。生だと場の雰囲気というものがあって、素直に楽しめました・・さすがにワーグナーはなかったですし。

>3幕冒頭の戦闘場面は歌舞伎の殺陣のスローモーションの型を取り入れていますね。
なるほど、そうなんですね。やはり多少中途半端というかごちゃごちゃしてわかりにくいというか・・ 
>やたらと細かい演出が換えってわざとらしい
完成度が低いというのかしら、こういうの。
by euridice (2008-04-08 23:37) 

ななこ

外から再びお邪魔します。
>いわゆる市民オペラ
主役クラスはプロでも知人がコーラスに加わっていたり、ピットはアマオケだったりしますが、それはそれで生の舞台として盛り上がり楽しいですよね。

二期会はプロ集団ですし、主役クラスは海外でも活躍してる方たちなのですが、このような舞台をどういった気持ちで鑑賞すればいいのかわかりません。
例えば、これが椿姫やボエームだったらこの心地悪さはないと思うのですが。
by ななこ (2008-04-09 15:27) 

euridice

やっぱりワーグナーが問題ということでしょうか^^;;
>海外でも活躍してる
といってもワーグナーの主役を張っている人はいないでしょう?
日本だからこその主役ということじゃないかと・・
いずれにしても、例えば宝塚のように独自の何かを目指すのなら
別ですが、普通に世界に通用するオペラを望むのであれば、
日本人という枠にこだわるのは良い環境ではないと思います。
どうしても内部研修発表会みたいになってしまうのではないかと・・。

>どういった気持ちで
市民オペラも、全く関わりのない観客はあまりいないのではないかと
思いますが、同様に、ある種の身内意識が必要なのかもしれません^^;

by euridice (2008-04-09 23:18) 

yokochan

こんばんは。ワーグナーの舞台上演が少なかった頃から、二期会のワーグナーにはお世話になってました。
日本初演もいくつか観てますので、新国や外来団体がさかんにワーグナーをやるようになっても、やはり思い入れがあって全部観てしまいます。
こちらの目も耳も肥えてきて、不満もありますが、日本人だけでこれだけやれば上等かと思います。

この演出は、実際に舞台で観て、ちょっとくどすぎる過剰演出に思いましたが、単独上演の完結感を初めて観る人にもわかりやすくするためだったのでしょう。
 ジークムントの死の場面は、私も目頭が熱くなりました。
ダブルキャストでのこの場面、片方はヴォータンがジークムントを抱こうと手を差し伸べましたが、拒絶され抱きしめはなし。
ジークムントは孤独に倒れました。
 もう一方は、テレビ放映のものです。
この日の小森氏によると、歌手からの提案を演出家が受け入れて、歌手の裁量にも委ねられた部分もあったそうです。
小山さんと、小森さん、この二人は素晴らしいワーグナー歌手です。
2公演分、TBさせていただきました。
by yokochan (2008-04-10 01:04) 

euridice

yokochanさん、TB、ありがとうございます。
>日本人だけでこれだけやれば上等
そういうことなんでしょうね^^;

>ジークムントの死の場面は、
映像でも迫るものがありましたから、劇場だったらなおさらでしょう。

>小山さんと、小森さん、
小山さんはおなじみですが、小森さんは初めてのような気がします。
外見も良い方ですし^^; ぜひ新国立劇場でお会いしたいです。
(出てらした公演、残念ながら外してるみたいです)


by euridice (2008-04-10 09:40) 

YUKI

これもNHKの地上波放送の方でやってたのですねぇ。(^^;)
また見落としていました。

しかし解説の字幕でジークムントがジークフリートってとんでもない間違いですよね?!(-_-")
まだ一回だけならミス入力って感じで済ませられますが、最初の解説全てでこれって不注意すぎますよね?
「ワルキューレ」はジークムントとジークリンデの物語でジークフリートが登場するのって確か次の「シークフリート」からでしたよね?
それを「ワルキューレ」でそういう間違いをするなんてねぇ。。。(-_-;)

瀕死のシークムントをヴォ-タンが抱きしめているのってこの公演も暖かみのある演出だったのですねぇ?!(^_^)
こういう演出って涙を誘われそうで良いですよね。(*^o^*)

by YUKI (2008-04-10 10:41) 

オデュッセウス

う~ん、あまり評判がよろしくないようですね……。
オデュッセウスは実演に接した時はそれはもう凄まじく感激しましたよ。オケや歌手にはもちろん不満もありましたが、指揮者と演出についてはこれまで観たワーグナー公演でも上位に入るものだと思いました。
ただ……、TVで聴いた演奏・舞台はよくなかったですね。特にオケにはかなりガッカリでしたね。
やはりTVで観て&聴いて感動できるのは相当レベルの高い上演なのでしょうね。また、照明などは映像収録用の特別バージョンでないとその効果は得られないのかもしれません。
by オデュッセウス (2008-04-10 21:06) 

euridice

YUKIさん
テレビは見逃すことが多いですね。

ジークムントとジークフリートはよく間違えられますね。
だからこそ注意してほしいものです。大きな人違いなんですものねぇ・・^^;;

NHKでもことば関連のミスが増えているような気がします。
先日はBShiのカラヤン特集、ばらの騎士(ザルツブルグ1960年)の
放送前の座談会で、若くて美しい知的な感じのお嬢さん(バイオリン奏者)が
「きだかい音楽・・」と言うので、なんだろうと思いました。
「気高い」と言いたかったんでしょうねぇ・・

済みません。脱線です・・;;
by euridice (2008-04-11 07:58) 

euridice

オデュッセウスさん
>TVで観て&聴いて感動できるのは相当レベルの高い上演
個々人のその時の状況、心理状態にも左右されると思いますけど、
概してそうなんだじゃないでしょうか。

劇場はやはり感動するため専用空間ですから、
これも個々の人の気分とかも影響しますけど、
一定以上の感動が得られる人が大半だろうと思います。

by euridice (2008-04-11 08:03) 

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