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ザンドナイ作曲 フランチェスカ・ダ・リミニ 1984年 メトロポリタン歌劇場 [オペラ映像]

ザンドナイ: 歌劇「フランチェスカ・ダ・リミニ」全曲いつも読んでいるTARO'S CAFEに興味深い記事が載ったので、ずっとむかし一、二度観たきりの映像を引っ張り出しました。

このテーマは、ダンテの神曲にも短い挿話がありますし、ヨーロッパ人の想像力をずいぶんと刺激して、いろいろな芸術の対象になっているようです。

ダンテの神曲では地獄編に(ジャンニ・スキッキも)この物語があります。リミニのフランチェスカは不貞の罪で地獄にいるわけです。

チャイコフスキー作曲の幻想曲(Francesca da Rimini, op.32)も劇的で美しいです。

このメトの映像、とにかく舞台美術・衣装がすばらしいと思っていましたが、TARO'S CAFEの記事で納得です。

物語はちょっとトリスタンとイゾルデに似ています。政略結婚を画策するフランチェスカの兄。相手がひどい醜男なので、結婚の使者として訪れた美男の弟パオロが相手だと妹に思い込ませて、結婚を承諾させます。

一幕。お互いにひと目惚れ。誤解とは夢にも思わず、喜びでいっぱいのフランチェスカ。事態がのみこめないまま、暗い恋に陥るパオロ・・・ 

二幕。戦闘場面。フランチェスカはマラテスタ家の長男ジャンチョットことジョヴァンニの奥方。帰国したパオロと再会。恋の炎が燃え上がります。舞台はまるで映画のような迫力。フランチェスカは、一幕の夢見る乙女から、憂うつな人妻へとすっかり変身していて、暗い美しさが際立ちます。パオロは一幕も二幕も、申し分のない美男ぶり。マラテスタ家の長男と末の弟は、絵に描いたような粗野で、荒々しい貴族振り。ここで、全員が同じ杯からぶどう酒を飲むのですが、トリスタンとイゾルデと同じように、逃れられない恋へ突き進むきっかけです。

三幕。フランチェスカの部屋。侍女たちが春を祝って歌ったり踊ったり。その陰でフランチェスカは、パオロの帰国の知らせを受け、二人はたぶん二度目の再会。騎士ランスロットと王妃グィネヴィアの恋物語を共に読み、同じことを、つまり、最初のキスをかわします。そして、パオロが発する「フランチェスカ!」は、トリスタンとイゾルデの三幕、トリスタンが絶命の瞬間に発する「イゾルデ・・」にそっくり・・・ フランチェスカの「あ!」はそこでイゾルデの発するため息と同じ。


四幕。
1)フランチェスカに横恋慕する末弟。次兄と義姉の想いに気づいている。長兄ジョヴァンニに問いつめられて、二人が逢い引きしていることを白状。ジョヴァンニは今夜、出かける予定を変更して、現場を押さえようと決心。
2)うなされるフランチェスカ。運命を受け入れようと決心。駆けつけるパオロ。トリスタンとイゾルデの二幕、二人の密会の場を意識しているに違いないけど、あっという間に夫に踏み込まれる、あちらに比べればものすごく短い逢瀬。いきなり切り掛かる夫。パオロをかばって刺されるフランチェスカ。パオロも兄に刺されて、二人とも無言のまま絶命。やけにあっけなく幕。

このオペラが「パオロとフランチェスカ」ではないことは間違いないところ。フランチェスカのスコット、すばらしいです。全幕、音楽的にも演劇的にも緊張感あふれた舞台。出演者は全員、その役の人物を納得の歌役者ぶりです。私のオペラ映像鑑賞力(?)も相当増したみたい・・・

リッカルド・ザンドナイ作曲:フランチェスカ・ダ・リミニ
ジェイムズ・レヴァイン指揮
ピエロ・ファジョーニ演出
メトロポリタン歌劇場 1984年

フランチェスカ:レナータ・スコット 
パオロ・マラテスタ:プラシド・ドミンゴ
パオロの兄、フランチェスカの夫、ジャンチョット:コーネル・マックニール
パオロの弟、マラテスティーノ:ウィリアム・ルイス
召使い、スマラグディ:イゾラ・ジョーンズ


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あやかしのとら

面白い物を紹介して頂いて有難うございます!(・∀・)

ドレ以外にこの絵を起した人って結構いたような・・・
探してみますね。
by あやかしのとら (2005-11-17 15:04) 

TARO

euridiceさん、TBありがとうございました。こちらからもTBさせていただきました。

このパオロとフランチェスカの話は史実にもとづいてるのですが、実際にはこの不倫事件は、結婚後13年後だか14年後だかに起きた話らしいですね。

結婚の使者としてパオロが行って一目ぼれというのは、ダヌンツィオの創作らしいです。でもこの方が有機的だし、オペラ的でもありますね。(ダヌンツィオもザンドナイも当然トリスタンは意識していたでしょうし。)

全体が素晴らしいと思いますが、中でも二幕の長大な二重唱でのスコット&ドミンゴ、すこぶる感動的です。
by TARO (2005-11-17 20:35) 

euridice

とらさん、こんにちは。
>ドレ
この人の絵、どんなのですか。

TAROさん、こちらこそ、ありがとうございます。
>結婚後13年後だか14年後
だと、やはりお芝居するには間が抜けちゃうんでしょうね。
またワーグナーですが、ローエングリンとエルザも伝説では、7年だか、かなりの年月一緒に過ごしたあと、悲劇が起こるらしいですし。

>中でも二幕の長大な二重唱
この映像も、何と言っても二幕が、白眉というところです。
確かに、ここの二重唱は緊迫感があふれていると思います。
by euridice (2005-11-17 23:58) 

あやかしのとら

今手持ちの版画の画像サイズが1Mちょっとという途轍もなく大きいもので3~4枚ほど在りますが、アップロードできる物をアップしました。
是です。
油絵の方ですが・・・
http://tinyurl.com/ccee5
もうちょっとサイズダウンした版画の方を後でうpしますね。
by あやかしのとら (2005-11-20 10:27) 

euridice

あやかしのとらさん
ありがとうございます。
この暗い朱色は地獄の炎?
by euridice (2005-11-20 13:52) 

あやかしのとら

一枚目
http://tinyurl.com/ajvoh
二枚目
http://tinyurl.com/8zrc4
三枚目
http://tinyurl.com/al73s
このシーンが殺される直前の所です。
四枚目
http://tinyurl.com/bomnl
以上で版画は終了です。
後の油絵一枚は某所でうpしますね。
by あやかしのとら (2005-11-23 08:57) 

euridice

とらさん
ありがとうございます。

>殺される直前
まさに問答無用、重ねて四つの世界?
by euridice (2005-11-23 13:13) 

yokochan

こんばんは。
横浜での日本初演を観劇しました。
部分的には聴いてましたが、濃厚かつ充実の2時間30分のオペラでした。
まさに、トリスタンの世界ですね。
日本人だけの上演でしたが、驚くほどハイレベルでした。

スコットもドミンゴも若くて、このオペラにぴったりですね。
写実的な演出も相応しいものに思います。
デッシーの夫婦映像もじっくり観てみたいと思ってます。

by yokochan (2010-09-08 00:30) 

euridice

yokochan さん

絵のリンクが切れていて済みません。

>デッシーの夫婦映像
知りませんでした。DVD出ているんですね。
とりあえずユーチューブで見てみます。


by euridice (2010-09-08 08:20) 

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