ワーグナー「タンホイザー」バイエルン国立歌劇場1994年 [オペラ映像]
崩壊した奇妙な世界。タンホイザーは行方不明期間がやたら長いのか、それともいい年になってから行方不明になったのか、初老のうらぶれた男で、従ってエリザベトも、待ち続けたせいか、もともとの行き遅れか、すっかり老嬢。なぜか奇人変人ばかりの騎士たち、ひとりまともなヴォルフラムはトトロみたいに膨らんで、頬ヒゲがちょっとむさくるしい。ひとりヴェーヌスは妖艶に美しい。でも、老嬢エリザベトは清楚な気品とふとした表情や仕草に可愛らしさがあって素敵。
タンホイザーは声にも姿にも若々しさは当然ないけど、さすがに貫禄。だてにワグナー歌手のトップを長年維持してきたわけじゃないのだから当たり前でしょうか。ショルティ指揮の若いころの録音もいいですけど・・・
序曲の間中、舞台で繰り広げられる、ダリの絵を思わせる絵画的な奇妙な状景は目が離せませんし、序曲の気分とぴったり合って、何度見ても飽きません。
目下来日中のタンホイザー、同じデヴィッド・オールデン演出、指揮者も同じズービン・メータなんですね。
ズービン・メータ指揮 デヴィッド・オールデン演出
バイエルン国立歌劇場1994年 TV録画
タンホイザー：ルネ・コロ
エリザベト：ナディーヌ・セクンデ
ヴェーヌス：ワルトラウト・マイアー
ヴォルフラム：ベルント・ヴァイクル
ヘルマン：ヤン・ヘンドリフ・ロータリング
57歳のコロが、素顔（に見えます）で演じるこのタンホイザーを見るたびに、ホフマンもあの病気になっていなければ、きっとすばらしいタンホイザーの舞台を見せてくれたにちがいないと、夢想してしまいます。というわけで、続きがあります・・・
９８年(２月１４日）にルネ・コロの日本引退公演
ベルリン・ドイツ・オペラ「タンホイザー」観に行きました。
今回のものより更に四年後ですけど、声が直接身体に響くというか、
鳥肌が立つくらい素晴らしかったですね～。
ホフマンも病気さえなければ、
きっと魅力あるタンホイザーを歌っていただろうとわたしも思います。
というわけで続きも楽しみです、ハイ。
by ぴっぽ (2005-09-28 10:09)
奇遇です。私も行きました。１９９８/2/14のタンホイザー。
その予習の為に、上記の映像は録画して観たと思います。で、当時ティーレマンはまだ若くて、指揮的には映像で見たメータの方が良かったかも…などとメモってありました。
by わびすけ (2005-09-28 11:33)
euridiceさん、こんにちは。今度はこちらのほうからTBさせていただきます。
映像はともかく、音楽はしっかりしているなあ、という印象です。
by Orfeo (2005-09-28 18:21)
ぴっぽさん、わびすけさん
へ〜〜 いらしてたんですね。あのさよなら公演。
うらやましい・・・
私は2003年3月のガラコンサートで、ちょっとだけ・・ですが、
やはり貫禄でした^^!
Orfeoさん
TB ありがとうございます。
急にチケットが手に入ったので、急遽出かけました。
席が良くなかったせいもあるのでしょうか、特に序曲中の場面は、
映像の方が見ごたえがありました。他のところも、またあの映像見て、確かめようかな〜〜なんて思ってます。なにしろ絶対に見えない部分がある席でしたですから- -;
by euridice (2005-09-29 06:37)
TBありがとうございます！私のほうからもTBさせていただきますね。
>行方不明期間がやたら長いのか、それともいい年になってから行方不明になったのか
ふふふ（＾_＾）このツッコミおかしいです。う～んと、私は行方不明期間が長かったというほうに一票です。浦島太郎みたい（笑）映像と今回の来日の舞台で大きく変わっている部分もあってちょっと驚きましたけど、考えてみればもう１０年以上前の演出ですから、変わっていて当然ですね。そんな中で、騎士達のへんてこ衣装が変わってなかったのは嬉しかったです！（笑）
>絶対に見えない部分がある席
いわゆる「見切れ席」だったんですね。確かに、あの演出は奥行きを生かしたものだし、正面から見ないとその魅力が半減してしまうように思います。でも、ぜひ感想を記事にしてくださいね！今回の公演に対するeuridiceさんの意見もききたいです。
by Sardanapalus (2005-09-30 10:49)