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シチリアの夕べの祈り [オペラ]

ほんの一部だけが好きというオペラのひとつが、ヴェルディ作曲のこれです。日本語タイトル、他にシチリア島の夕べの祈り、シチリアの晩鐘などいくつか見かけます。

十三世紀後半、シチリアで起こった、フランス支配に対する、住民暴動と虐殺事件を扱ったものだそうで、夕べの祈りの時刻を知らせる教会の鐘に合わせて一斉に蜂起したことにより「シチリアの晩祷事件」と呼ばれるようです。
これは序曲をさんざん聞かされる羽目になったことがあったことから、まず序曲が好きになりました。チェロ、後ではバイオリンによっても、奏でられる旋律が印象的です。オペラは筋がかなり複雑に入り組んでいるようで、冗長な感じで好きではないのですが、この旋律が歌われる部分は、気持ちいいので、その部分ばかり繰り返したものです。

それは、長い間生き別れていた父と息子の再会場面です。ムーティ指揮のスカラ座の映像ですが、聞き惚れるとか見ほれると言った感じではないんですけど、息子の動揺振りが奇妙におもしろく、ここばかりは、旋律のすばらしさと相まって、退屈しません。フランス総督である父は、ジョルジュ・ザンカナロ(Br)、反フランスの息子は、クリス・メリット(T)です。このテノール氏は、先日上野の「エレクトラ」で、登場して、ちょっとだけ歌ってあっという間に殺されてしまうエギストでした。


ヴェルディ作曲 シチリアの夕べの祈り
リッカルド・ムーティ指揮    
ピエール・ルイジ・ピッツィ演出      
スカラ座  1989年   

video74.jpgアルリゴ:クリス・メリット
エレナ公女:シェリル・ステューダ
フランス総督:ジョルジュ・ザンカナロ
プロチダ :フェルッチョ・フルラネット



ほかの映像
video741.jpg1)シャイー 指揮 ロンコーニ演出 ボローニャ歌劇場 LD
アルリーゴ:ルケッティ、エレナ公女:スーザン・ダン、フランス総督:レオ・ヌッチ

2)ステファノ・ランザーニ指揮 アルトゥーロ・トスカニーニ財団管弦楽団&合唱団、ピエロ・ルイジ・ピッツィ演出 ブッセート、ジュゼッペ・ヴェルディ劇場 2003年1月 クラシカジャパン06.1.28
アルリーゴ:レンツォ・ズリアン、エレナ公女:アマリッリ・ニッツァ、フランス総督:ウラジミール・ストヤノフ、プローチダ:オルリアン・アナスタソフ

録音
cd741.jpgレヴァイン 指揮 ニューフィルハーモニア 1974
アルリーゴ:プラシド・ドミンゴ、エレナ公女:マルティナ・アロヨ、フランス総督:シェリル・ミルンズ、プロチダ:ルッジェーロ・ライモンディ、侍女:マリア・ユーイング、兵士:ジェームズ・モリス、ケネス・コリンズ
序曲が好きです。序曲にある好きな旋律が歌われるのがいいです。このCD、ちょい役の歌手まで、名前を知っています・・



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コメント 14

YUKI

本で読んだ情報ですが「シチリアの夕べの祈り」って「ドン・カルロ」と同じく確かオリジナルはフランス語ですよねぇ。
まだ全曲では聴いてないのですが、ストーリーが壮絶な雰囲気のあるものだった様な。。。
確かに日本語のタイトル・・・色々ありますねぇ。(^^;)
by YUKI (2005-04-27 11:32) 

euridice

うろおぼえですが、フランスに依頼されたグランド・オペラだとか?
序曲がよく演奏されたり、管弦楽集に入っていたりするみたいですね。生と言えば、某大学オケの演奏を聴きました。
by euridice (2005-04-27 14:35) 

keyaki

音だけよりビデオクリップの方が楽しめました。ありがとう!
序曲は、運動会でも耳にしたことがありますので、なんか聴いたことあるネという人が多いのではないかしら。
それにしてもなんでメリット起用なのか、私には七不思議のひとつです。
by keyaki (2005-04-27 15:55) 

YUKI

このオペラをミラノ・スカラ座でムーティ指揮でメリットが主役だった時に初日ではムーティもメリットもブーイングを浴びてしまった・・・って言うのを雑誌で読んだ事がありました。

メリットはロッシーニ・テノールとして有名ですから、どうやらロッシーニ風の軽い声質で歌ってしまったのが原因である様に書いてありました。
ビデオ・クリップを観させていただいた感じではメリットはザンカナーロの声に覆われた感じに思われましたが、なかなか堂々とした感じで良かったと思いますねぇ。(^o^)

「シチリアの夕べの祈り」に関して先程チラッと調べてみると・・・パリ・オペラ座からの依頼で作られたオペラ・・・との事でした。
by YUKI (2005-04-27 16:15) 

TARO

前にもちらっと書きましたが、この上演、実際に舞台を見ています。メリットは高音域は出るけれども、中低音域は厚みに欠けるので、いわゆるヴェルディ・ヴォイスじゃないということなんじゃないでしょうか。

ステューダー、メリット、ザンカナロはロッシーニの「ウィリアム・テル」で成功したメンバーなので、ムーティも再度このトリオでと思ったんでしょうけれど、ミラノの聴衆としたら、ロッシーニとヴェルディに同じ歌手つかうんじゃねえよ!という感じだったのかも。

80年代後半でスカラ座のシーズン・オープニングだったら、フレーニ、ドミンゴ、カップッチッリで飾っても、全然おかしくない時代でしたからねぇ。
by TARO (2005-04-27 23:48) 

keyaki

TAROさん、そうなんですか、たしかに同じキャストですね。
クリス・メリット自身「シチリア」を歌いたかったのかな? とちょっと疑問におもったわけです。
というのは、彼は、アバドの「ランスへの旅」の1985年ミラノと1988年ウィーンの公演に出演していて、1989年の東京公演にも当然連れて来てもらえると思って楽しみにしていたらしいんです。でも、来日公演はマッテウィツィになっちゃったわけですよね。
クリス・メリットは、シチリアのあともヴェルディを歌っていたのでしょうか? 今はドイツもののようですけど・・・・
by keyaki (2005-04-28 01:16) 

TARO

「もう二度とヴェルディは歌わない」と、このシチリアのあと宣言しました。無理して声に合わない役を歌ってもメリットがないと判断したのかも(すみません。オヤジギャグで・・・)。
ベルカントものは、このあとも歌ってましたね。

「ランス」の件については、どうして外されたのかは、分からないですね。

最初にドイツ物で名前を見かけてビックリしたのは、シェーンベルクの「モーゼスとアローン」でしたが。ブレーズ指揮だったかと(?)
by TARO (2005-04-28 02:40) 

keyaki

そうですか。
>「もう二度とヴェルディは歌わない」
泣けてきます。ムーティは罪なことをしたと思いますね。もちろん自己責任かもしれませんが、スカラ座の開幕公演に誘われれば断れないでしょう。
「シチリア」を歌う契約をしているのを知って、アバドが遠慮したかはずしたかな? と下司の勘ぐりです。
メリットもアバドのほうについていたほうがメリットがあったかもですね。東京に行くものと信じていたようですから、気の毒なかんじもしますね。
by keyaki (2005-04-28 03:44) 

euridice

結局のところ、歌手が一番弱い立場だってこと・・・同じことをしたって、周辺要素によって結果が全然違うというか〜〜

ど素人に言わせてもらえば、スカラ座、ムーティ指揮の「ウィリアム・テル」、序曲以外は、退屈で、ほとんど記憶にないけど、「シチリア・・」は、序曲と、あの場面はとってもおもしろいと思いました^^; メリットさん、存在感抜群?!ですしね。客のブーだって、ある意味、先入観とか固定観念に縛られてるだけみたいなところもあるんじゃないかしら。その他大勢はきっと楽しんだんじゃない?
by euridice (2005-04-28 05:58) 

TARO

固定観念に縛られてると言うのは、多かれ少なかれあるでしょうね。
ただロッシーニの声でヴェルディを歌っているということは事実なので、様式感に厳しいスカラの聴衆には、受け入れられないものはあったんじゃないでしょうか。スカラ座の聴衆というのは少なからず特殊だと言われてますし。

あと、スカラの初日はその時代のトップ・スターを使うのが習慣でしたけど、ムーティはそんなことを無視して、彼にいいなりのお気に入り歌手だけを使う傾向がありますよね。はやくもそのへんに対する反発が生まれていたかもしれません。
by TARO (2005-04-28 10:09) 

keyaki

>客のブーだって、ある意味、先入観とか固定観念に縛られてるだけ
その通りだと思いますが、客のブーはともかく、
メリット自身が「ヴェルディのかっこいい役もやってみたかったけど俺にはヤッパ向いてないよなぁ、そりゃ、体つきから言えばヴェルディだけどナ、ムーティ先生に乗せられちゃったかな」と思ったんでしょう。
向いてないとわかっても、突き進んで行く人もいれば、、無理しないで別の道を探すのも、歌手さん達の自由なわけで・・・
>「最初はモーツァルトとかロッシーニの軽いものから、ヴェルディに」
という通説?も、結局は、最初から、ヴェルディに向いてなければどうしようもないということではないでしょうかねぇ。
美しい表現力のある声を持っていても、オペラ歌手の場合は、ある程度の大きな声も必要なわけで、最初から、コンサート歌手をめざす人もいるわけですヨネ。

アバドが、メリットを「ランス」からあえてはずしたとすれば、スカラ座の開幕は12月であっても、初役ですから、準備は少なくとも半年前くらいからするわけですから、ロッシーニを途中で歌わせるのは酷という親心だった・・・・というのは深読みかしら。
ちなみに日本公演は10月でした。

自分のレパートリーであっても、どの演目をいつ歌うかの調整は重要で、そういうことも考慮に入れてスケジュールを組むことが、大切なようです。このへんは、ライモンディも言及していますヨ。
by keyaki (2005-04-28 10:33) 

keyaki

あれ、私のコメントはTAROさんのコメントをみないでつけたコメントなんですけど・・・

上の続きで言えば、ライモンディがいつ何を歌ったかというのを調べるとけっこうスジがとおっています。オファーがきたものを次々歌っている訳ではないんですね。
ですから、そういうことを知っていると素人の私から見ても、この歌手のスケジュールめちゃくちゃじゃないのかいな?というのがありますね、ほんとに。誰とはいいませんけど・・・
by keyaki (2005-04-28 10:41) 

サンフランシスコ人

「シチリアの夕べの祈り」をサンフランシスコで見ました!

http://archive.sfopera.com/reports/rptOpera-id405.pdf
by サンフランシスコ人 (2008-05-02 10:43) 

euridice

1993年、チャールズ・マッケラス指揮、クリストファー・オルデン演出
名前を知っている歌手は
キャロル・ヴァネス、クリス・メリット、ジェイムズ・モリス
ヴァネスは新国「西部の娘」の予定でしたけど、キャンセル。
メリットはエギスト(エレクトラ、小澤征爾指揮、カーセン演出、東京文化会館)、モリスは悪漢四役(ホフマン物語 新国)とヴォータン(メト来日 ワルキューレ NHKホール)でした。
by euridice (2008-05-03 06:25) 

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