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「マエストロに乾杯」の文庫化 [PH]

大分以前に、単行本(1994年共同通信社)を読みました。雑誌に連載されたインタビュー記事をまとめたものだそうです。
ゴシップ雑誌さながらの章タイトルの付け方、軽薄な語り口の訳文がちょっと不愉快でした。
昨夏(2004年)、光文社知恵の森文庫の一冊として芸術家たちの現況を加筆して再版。筆者自身、前書きに、『あれから幾星霜を経て、マエストロたちの身辺にもかなりの変化が起きている。(略)最後に新たな注を付け加えて、その後のマエストロたちの近況をご報告することにさせていただいた。』とあり、誠実なことと感心しました。
続けて『この十年で世界の音楽界にも大きな変化が起きている。(略)登場していただいた四十人のマエストロたちのなかで、すでに六人の方が鬼籍に入られたし、突然、楽壇から姿をくらませた方もいる。』とあります。
他の芸術家たちのことはいざ知らず、突然、楽壇から姿をくらませた方と言われた人と思われるP.ホフマンについては現況不明のまま。ファンとしては、なぜ?!というわけで、2004年夏出版・発売の「オペラと40人のスターたち—歌手・指揮者・演出家、スターで愉しむオペラの目録」の件の問い合わせに対する音楽之友社の黙殺にも懲りず、出版社に疑問を呈することに。なんと、こちらは、感想、ご意見をどうぞのメールアドレスがあったのです。しかし、やはりというか、約一ヶ月、なしのつぶて。昨日朝、再送信、なんと吃驚仰天昨夕には、とにもかくにも、返信が。

『このたびは小社刊「マエストロに乾杯」(石戸谷結子著)をお読みいただき、ご感想をお寄せくださいまして、まことにありがとうございました。
昨年の12月22日にメールをいただきながら、ご返事がたいへん遅くなりまして申し訳ありません。

さて、インタビューの相手により記述の印象が異なること、また、文庫版に際して加筆した「現況」に関して、ネット等で検索すれば知りうる事実に誤記が見られるとのご指摘、その通りでありました。
さらに、ペーター・ホフマンの「1990年以降」に関しまして、著者が意識的に事実を伏せたのでは? とのご指摘は、あらためて石戸谷さんに確認をしてみたいと思います。ただ、新たな「註」の原稿を依頼した際には、そのようなお話はありませんでしたので、「意識的」であったとは考えられませんが……。
いずれにいたしましても、その他の誤記等も含め、著者に確認のうえ、同書再版の折に、訂正・加筆すべきは正したいと存じます。

貴重なご指摘、ありがとうございました。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。

光文社・知恵の森文庫編集部
(編集者の名前)』

『タイトル:知恵の森文庫「マエストロに乾杯」について(再)
前略
昨年末( Wed, 22 Dec 2004 21:01:29 +0900 (JST)、
下記のメールを送信しました。
お読みいただけたでしょうか。
ご迷惑とは存じますが、もう一度送らせていただきます。

はじめまして。最近、貴社発行の下記の文庫本を読ませていただきました。

石戸谷結子 「マエストロに乾杯」 2004年7月15日発行 

これは単行本の文庫化だそうですが、すでに単行本の時に読みました。文庫本化され、とりあげられている芸術家たちの現況が加筆されていると聞き、改めて手に取った次第です。こういう再版のやり方は、前の版をそのまま、誤字脱字、事実違いな
どの訂正さえすることなくただ印刷するものが多いように思っていますので、非常に良心的な姿勢であると感心した次第です。

奥付の裏に、感想をどうぞとあるのは、意外な喜びでした。最近は単行本でさえ、読者カードもなく、読者からのフィードバックは望まないといった出版社の姿勢を感じていたからです。

最近、音楽関連で、貴社発行ではありませんが、「オペラと40人のスターたち―歌手・指揮者・演出家、スターで愉しむオペラの目録」 を読み、非常に驚かされる記述に出遭ったので、そのことについての疑問を封書にして編集者あて郵送しました
が、お返事がいただけないので、思い切って電話したところ、読者からの手紙の類いは読まないとはっきり言われ、再度、驚いたばかりです。この本はもちろん読者カードなしでした。

さて、石戸谷結子 「マエストロに乾杯」 2004年7月15日発行 の感想です。人によって、かなり軽薄な印象を与える文体になっているのが、気になります。通訳を介してのインタビューとのことですが、やはり誠実な印象を与える美しい日本語での記述を望みます。

もうひとつ非常に残念なことは、せっかく芸術家たちの現況を加筆なさったのにちょっと調べればわかることがわからないことになっていることです。(もしかしたら、意図的に無視または伏せたのかもしれませんけど、どちらにしても納得できま
せん) また、このことは、たまたま私が知っていることだったというわけですが、
そのため他の部分に関しても、どこまで本当なのだろうという気持ちになります。

それは、ペーター・ホフマンに関してです。誕生日も間違っています。8月12日ではなくて、8月22日です。(こんな小さなことはどうでもいいとお思いでしょうか?)
2001年からネット上にホームページがあり、誕生日には必ずそのことが掲載されますから、間違いありません。例えば、今年は60歳の節目だったからでしょうか、有名な歌手や演出家などからの、お祝いのメールや便りも掲載されました。また、ホフマンが1990年ごろから、オペラに出なくなった経緯に関しては、単行本発行時には、不明だったわけですから、仕方がないのですが、少なくとも今回文庫化の時点では、インターネットをちょっと検索するだけで、わかることなのです。執筆者にとってそのようなことはする必要がないことなのでしょうか。私はファンですから、彼がオペラに出なくなった経緯はほんとうに不思議でしたので、ずっと気にして、ネット上などで、折に触れて調べていました。 その結果1990年代の終わりごろには、海外の掲示板などで、不確実なうわさを目にし、2000年ごろには、ドイツの新聞記事を見つけ、だいたいのことがわかりましたが、確信は持てませんでした。しかし、2001年のホームページ開設で、疑いようのない事実を知りましたし、2003年3月には、二冊目の伝記(最初の伝記は1983年発行)が出版されました。(活字メディアは役に立ちませんでした) と、ここまで書いて、やはりプロの音楽ジャーナリストが知らないなどということはないのではないか、わざと伏せたのではないかと疑ってきました。そうだとすれば、なぜ伏せなければならないのでしょうか? どちらにしても、不可解です。

下記はペーター・ホフマンの公式ホームページです。
http://www.peterhofmann.com/

奥付裏の記述を頼りにメールを差し上げました。お読みいただければ、そして、さらに、お返事をいただければ、幸いです。

名前 年齢  職業』


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なつ

ミーハーの私が言うのも何ですが、「あの著者」のミーハーそのものの文体と内容は、すごいですよねー。
フランコ・コレッリに関しても、あることないこと(ほとんど「ないこと」?)書かれた挙句に、その中には、デル・モナコのエピソードまで混じってました。
何事かを成した芸術家に対するリスペクトがない人の辞書には、「「調べる」という言葉はないのかもしれませんね。

それにしても、「オペラと40人のスターたち」の著者といい、文体に妙な癖がある人多いですね!
by なつ (2005-01-19 01:16) 

euridice

>フランコ・コレッリに関しても
そうなんですね。
読者側に知識がなければ、判断ができないのですから、
そこが彼らが堂々と存在できる所以なのでしょう。

>文体に妙な癖がある
音楽関係の本を読むようになってから、感じました。
ほんとに違和感がありましたし、
その表現、文体が移るような気がしたものです。

音楽を言葉で表現するのは至難の技だと思います。
話題のお二人の本に関してはそのレベルでもないですけど。
いい加減なゴシップネタを教養書の装丁で書いてるだけ。
by euridice (2005-01-19 09:19) 

ふくろう

これで日本の定価の2・5倍も出して、
下らない本を買うという愚を犯さずに済みます。
ありがとうございま~す!
馬鹿馬鹿しい伝聞を読まされたらファンとしては怒らずにいられません。
この著者には尊敬や感謝の気持ちというものがないのでしょうね!
by ふくろう (2005-01-19 12:43) 

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