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ワーグナー「ローエングリン」バーデンバーデン2006年 [オペラ映像]

こちらで話題のローエングリンの映像、発売されました。私が視聴した正規版のローエングリン映像としては五つ目です。白紙で鑑賞にこだわる向きは「続きを読む」は、クリックしないほうがいいかも・・・^〜^)}}}}
参考:ユーチューブ

DVDの画質は、さすがにうらやましいほどよろしいです。1幕、1枚の三枚組。厚手のパッケージは扱いにくいし場所ふさぎなので嫌ですね。最後のクレジットにNHKが入ってました。さっさと放送できないのかしら。DVD発売後とかなんとかって契約なのでしょうか。2007年8月に放送されました。

なにはともあれ画質、この夏やっとDVD化されたバイロイト音楽祭(1982年)の映像の画質の悪さがますます目立って悲しくなるほどいいです。

最近の傾向なのかしら、顔と楽器のいきなりアップが少々目障りです。オーケストラ団員の中にも、けっこう何度もアップになる人がいるし・・ 突如という感じの顔のアップはとってつけたようで流れを中断するし、画質良さが災いして、化粧の乗り具合やら、しみやらなんやらとか、演技だか歌うとそうなるのかわからないけど、美しくない表情を見せつけられることも少なくないし、なんだかね・・・です。ローエングリンは無表情、せいぜいどんぐりまなこが強調される程度、に徹しているので、お顔が崩れることはないです^^;; 意図的なんでしょうねぇ・・

オルトルート、全然歌わない一幕からぽこぽことアップ映像が多いですね。やっぱりマイアーが売りってことかも。二幕前半の彼女、美しいです。一幕と二幕後半は衣装と扮装が凝り過ぎであんまり似合わないのが残念です。

ローエングリンの登場は、意外感がなくて平凡。いきなり人ごみの中に立ってる方式。奇妙なおもちゃっぽい兜に剣を吊るした光る生地のスーツの上にやはり光り物の薄手のロングコートといういでたちは、いかにも子どもの遊びという感じ。これは演出なんでしょうねぇ・・・ センダックの絵本「怪獣たちのいるところ」のマックスくんを思い出してしまいます。概して老け顔のエルザも時に妙に子どもっぽい表情をとってつけたようにします。

歌も特に印象的ってことは全くない、単調な感じ。エルザとローエングリンに限らず、各歌手の歌い方がかなり違うような・・・。ローエングリンはほとんど鼻歌のようにすらすらと。めりはり、すなわち、切実感欠けると思うけど・・・ さすが若いですから、声は澄んで瑞々しいです。まあ、こういう、無表情な歌い方してれば、気楽に長持ちかも。伝令は伝令という役柄にしてはあいかわらず気張りすぎだわ。王様は最初は気品に欠けるような気がしましたけど、あったかいお父さんというところでした。三幕ではエルザは王様に頼りっぱなし。亡くなったお父さんと間違えてるんじゃないの・・・ まるで退行状態。王様のほうも、おお、おお、可愛そうに、酷い男と結婚してしまったのう、嬢や、という雰囲気。

一幕は、演説がキーワードらしく、演説台の前で発言、いちいち拍手が起こります。決闘は伝統的というより、かなりリアルにやってましたが、だからって別におもしろくもない・・・

一体何なの?というシーンがいくつかあります。たとえば、2幕。左奥をみつめてエルザの行列を待つ群衆。侍女やオルトルートは出て来ますが、エルザは舞台の前方に腰掛けているのです。いくら待ってもエルザは出てこない。結局、右手からすそのボリュームが半端じゃない、白鳥の羽を思わせるウェディングドレスにオルトルートに渡された特大ブーケを持って登場します。

そうそう、2幕、集まってきた人々が三々五々絵入り新聞を楽しんでるんですけど、何が書いてあるのかなあ・・って、のぞきたい気分になります。

3幕、花嫁の寝室の場は、ベッドではなくて、グランドピアノがあって、ローエングリンはピアノを弾きながら、花嫁のお相手などしたくもないという雰囲気で、作曲しています。これは、ずばりローエングリンは孤独で自己中の芸術家であるという説そのままの演出ということですけど。台本上、お相手しないわけにはいかないので、きちんとエルザと対話してます。多分ほんとは作曲に没頭したいんでしょうから、もっとそう見えるように演技してほしいわ。

スキンヘッドがふたつというのも、何か意味ありか?!ってことはなさそうですが、かなり気になります。悪者テルラムント伯はいいとして、伝令はなんとかしてほしかったわ。

フィナーレ、エルザの弟、ブラバントの跡継ぎ帰還。素っ裸(肉襦袢着てます)のちょっと小太りというか、まだ幼児体型の子どもが舞台中央に押し出されて、ぼーっと立っているうちに幕。う〜〜〜ん?!?

そして、ローエングリンの横顔がアップになるたびに、フォークトくん、貫禄がつきすぎたら、もうちょっとで、ザイフェルトになりそうな予感...... 

ワーグナー:ローエングリン
ケント・ナガノ指揮 
ベルリン・ドイツ交響楽団 マインツ・ヨーロッパ合唱協会
ニコラウス・レーンホフ演出
2006年6月、バーデンバーデン

ローエングリン:クラウス・フロリアン・フォークト
エルザ:ソルヴェイグ・クリンゲルボーン
オルトルート:ヴァルトラウト・マイアー
テルラムント:トム・フォックス
伝令:ロマン・トレケル
国王:ハンス・ペーター・ケーニヒ

※クラウス・フロリアン・フォークト ドイツ。1997/98年シーズンにフレンスブルクでオペラ歌手デビュー。音楽大学卒業後、1997年までハンブルクのオーケストラ(Philharmonischen Staatsorchester )メンバーでホルン担当。2007年バイロイト音楽祭にワルター@マイスタージンガーで出演。
※ソルヴェイグ・クリンゲルボーン ノルウェー、1987年スウェーデン王立歌劇場でオペラ歌手デビュー。チューリッヒ歌劇場2003年の映像、「タンホイザー」(タンホイザーはザイフェルト)でエルザだったのでした。

関連記事:
2006.5.12
2006.11.3
2005.12.7新国立劇場オペラ公演「ホフマン物語」


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keyaki

いろいろ想像しながら楽しく拝見。
作曲に夢中って、???
スキンヘッドが二人、テルラムントは、スキンヘッドのイメージですから、坊主頭のカツラをつけていただいてもいいくらいですけど、伝令は、トレーケルに新国の金髪のさらさら髪のカツラを進呈したいですね。
フォークトの素顔の写真、アラーニャ??とおもいました。新国のときは、二重あごではなかったですよね。
by keyaki (2006-12-05 10:42) 

オデュッセウス

まだ現物が届いていません。読んでいるうちに早く観たくなってきました(笑)。バイロイト/ホフマン『ローエングリン』DVDも購入したものの未視聴なのですが、やっぱ画像悪いですか……。メーカー名を見たときから心配だったのですが、残念です。違うメーカーから出たら購入し直しですね。
by オデュッセウス (2006-12-05 11:43) 

しば

TBありがとうございました。当方も・・・・すみません、何か妙な具合になってしまったので、お手数ですが最初のほうを削除可能であればお願いいたします。

>絵入り新聞

私も気になりましたので、想像してみました。
スポーツ新聞風だと「現れたなぞの男の正体は!?」「暴かれた伯爵の陰謀!」といった感じでしょうか?または「急募!高給優遇!君の力でドイツを守れ」という求人の見出しが躍っていたのかも?
by しば (2007-01-09 23:18) 

euridice

しばさん
>何か妙な具合
消し方が違ったみたいで、TB先のサイドバーしか表示されません。もう一度TBしてみてくださいませんか。
by euridice (2007-01-09 23:51) 

keyaki

RAI3で30日にミラノ・スカラ座のローエングリンの放送がありますが、どうやら30日はBキャストのようですから、フォークト君ですね。
彼の日に放送するって、人気があるってこと? それともたまたま?
マイヤーはAキャストなのにね。
http://www.radio.rai.it/radio3/opera/index.cfm

Aキャストのロバート・ディーン・スミスもクラウス・フロリアン・フォークトどっちも新国で歌っているって、いろんな面ですごくないですか。新国って、侮れないですね。
フラッカーロとパロンビは話題にもなりませんでしたが、彼らは、話題になりましたよね。(笑
by keyaki (2007-01-10 01:35) 

euridice

keyaki さん、情報、ありがとうございます。

>ロバート・ディーン・スミスとクラウス・フロリアン・フォークト
脳内にある印象は全然違うというか正反対なんですけど、素顔の写真はなんだか似てますねぇ、丸いところが・・・

>彼らは、話題になりました
ロバート・ディーン・スミスは、ワルキューレのジークムントのときはダブルキャストで両方観ましたが、別キャストのジークムントよりずっとよかったと思います。運命の力のアルヴァーロは、一段と似合ってると思いました。そこから想像するに、ローエングリンって雰囲気じゃないですけどね^^;

>クラウス・フロリアン・フォークト
ホフマン@ホフマン物語、新演出のときのいかにもベテランという雰囲気のスーパーマリオみたいなロトリッツおじさんもよかったけど、いかにも初々しいフォークとくんも、新鮮で印象的でしたね。

>フラッカーロとパロンビ
なぜか見事にはずして、見てませんけどね・・・

>ミラノ・スカラ座のローエングリン
といえば、1981年シーズン開幕公演は、前半コロ、後半ホフマンだったんですね・・・ もう一昔どころか二昔以上も前のことになってしまいました。
http://blog.so-net.ne.jp/euridiceneeds/2005-05-29

http://www.geocities.jp/euridiceplus/his81a.html

>しばさん
TB、お手数をおかけしました。ありがとうございます。
by euridice (2007-01-10 07:15) 

keyaki

先のコメントにAキャスト、Bキャストなんて書きましたが、ABだけじゃないし、現時点ではまったくどういう組み合わせかわからないようです。ということで、30日のキャストは未定ということです。いい加減なことを書いて申し訳ないです。

今頃気づいてなんなんですが、これって、バーデンバーデンとミラノ・スカラ座の共同製作なんですね。
by keyaki (2007-01-10 16:06) 

euridice

>バーデンバーデンとミラノ・スカラ座の共同製作
そういえばそんなことが書いてあったかも・・ってことは、当然DVDと同じ演出ということですね。
by euridice (2007-01-11 08:55) 

keyaki

30日のキャスト出ました。
ロバート・ディーン・スミス、マイヤーがプレミエ組で、30日もプレミエ組ですね。
聴き比べにいいかもです。
30 gennaio 2007
Hans Peter Koenig (Heinrich), Robert Dean Smith (Lohengrin), Anne Schwanewilms (Elsa), Tom Fox (Telramund), Waltraud Meier (Ortrud), Detlef Roth (Der Herrufer), Paolo Sala - Giuseppe Bellanca - Guillermo Esteban Bussolini - Lorenzo Cescotti (Vier brabantische Edle), Silvia Mapelli - Emilia Rosa Bertoncello - Kjersti Odegaard - Perla Viviana Cigolini (Vier Edelknaben);
by keyaki (2007-01-16 13:45) 

ユルシュール

edcさん、こちらではごぶさたしておりました。ユルシュールです。

弊ブログの記事へのトラックバック、ありがとうございます! 2006年の公演とは、本当につい最近ですよね。商品化されるのがずいぶん早い!
オルトルートの第2幕1場・2場の黒いドレス、本当に似合っていましたよね。
エルザはちょっと観た限りでは、何だか野暮ったいというかもっさりした田舎娘に見えました。声はうらはらに、線が細過ぎると感じたくらいなのですが……。
私は第2幕の半分弱だけ観て、睡魔に負けテレビ(衛星第2)を消してしまったのですが、テルラムント夫妻目当てに、いつか一度全体を通して観てみたいと思います。

こちらからも、トラックバック送らせていただきます。
by ユルシュール (2007-08-29 21:49) 

euridice

ユルシュールさん、こんにちは。TBありがとうございます。

>野暮ったい
たしかに。華奢な感じがほしいですね・・でも、タンホイザーのときよりは多少洗練されたように感じます。

>睡魔に負け
あの時間帯では、少なくとも私は、ずっとテレビの前に・・というのは難しいです。始まりの時間にもめったに起きてないし^^;;
by euridice (2007-08-30 06:53) 

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