ワーグナー「タンホイザー」チューリッヒ2003年 [オペラ映像]
ワーグナー：タンホイザー
フランツ・ウェザー・メスト指揮
イェンス・ダニエル・ヘルツォーク演出
チューリッヒ歌劇場2003年
タンホイザー：ペーター・ザイフェルト
エリザベト：ソルヴェイ・クリンゲルボルン
ヴォルフラム：ロマン・トレケル
ヴェーヌス：イザベル・カバトゥ
今までにずいぶんたくさんのオペラ映像を観ましたが、これほどしらけさせてくれたのは初めてかもしれません。目下、クラシカ・ジャパンで放送中です。
舞台上の物語に没入しかけると、手を変え品を変えて、現実に引き戻してくれます。あなたは劇場にいるのですよ、とばかり、オケピットのふかん図を見せてくれます。その音は、ここから出てるのよと言いたいのでしょうか、いきなりこの奇妙な物体はいったい何だろうと驚かせ、あ、オーボエだとか、チェロですね、とかの判断を強要します。
もうヴェーヌスが舞台にいるという演出なのかしら、タンホイザーが隠れているのかしら、それにしても、歌手はまるで日常的な顔しているじゃないかと思えば、舞台の袖で、出待ち中というわけです。
また、顔が画面からはみでるほどのアップの多用が異常に目立ちます。ほとんど全編ザイフェルトの巨大な顔を見せられたという気分。歌っている人ばかり映すのは芸がないし、確かに黙って拝聴中の相手役の表情にも興味はありますが、それがあまりにも極端です。ある場面など、ヴォルフラムが歌っているのに、映っているのは、九割がたタンホイザーの大粒の汗止めどもない顔のすさまじいアップです。舞台全体の様子が全然把握できない上、物語の展開さえ不明確になります。この作品になじみがない場合は、筋をつかむのさえ難しいかも知れません。
まるでメイキングも兼ねてしまったようで、楽屋の歌手、ペットボトル片手に通路を行く歌手、閉まった幕の中で、スタンバイしている歌手などが、序曲、前奏の間に挿入されます。
とにかく、舞台に引込まれないように一生懸命邪魔してますといった感じの映像です。もしかしたら、この映像監督さんのオペラの見方をそのまま映像にしたのかもしれませんが、舞台袖やら、幕が開く前の舞台、通路などは、願望実現？
さらにがっかりなことは、私にとって、新国立劇場の「神々の黄昏」でなんとも魅力的なグンターだったローマン・トレケルのヴォルフラムがお目当ての映像でしたが、百年の恋も冷める、まるで宇宙人？！ET、もっと言えば、映画「ロード・オブ・ザ・リング」の「愛しい人！」のゴラムみたいなヴォルフラムでした^^;
エリーザベトはなかなか可愛いですが、例えば、下着になって死出の旅のところ、脱ぎ方が美しくない・・・ まるで素人なのは興醒めです。
出た出た、チューリッヒ歌劇場製作、楽器当てクイズ版タンホイザー
あれま、この映像カメラマンっていうのかしら、不細工に撮る天才！
＞「愛しい人！」のゴラムみたいなヴォルフラム
ほんとだ！
by keyaki (2006-07-14 13:54)
オペラのライブ映像で楽屋の歌手の様子やメイキング映像っぽいものが挿入されているのって珍しいですねぇ。
大抵なら本編は本編でメイキングはメイキングで別に収録するものだと思うのですけど。。。(^^;)
確か・・・映画の「トスカ」も劇中にその様な雰囲気のスタジオの様子などが映し出されていたのを覚えています。
by YUKI (2006-07-14 17:28)
画像ありがとうございます！そう、まさにこの楽器のアップです～。
意味不明のピット俯瞰と共に、ものすごくイライラしました。
＞ゴラムみたいなヴォルフラム
爆笑！！笑いすぎて涙が…。
＞脱ぎ方が美しくない・・・
これもほんとに同感です。目に痛いです（笑）。
by わびすけ (2006-07-14 19:24)
お久しぶりです。オデュッセウスです。
そうそう、この映像は酷かったです！！話題の指揮者ウェルザー･メストのワーグナーを体験できるＤＶＤということで発売即購入即視聴しましたが、多分二度と観ることはないでしょう。最低の映像作品だと思います。
『マイスタージンガー』の方の映像はかなりマシでした。
by オデュッセウス (2006-07-15 22:19)
色々な理由でDVD買った人も少なくないでしょうね。開けてびっくりです。まだ、この映像が気に入ったという人には出会えません^^;
by euridice (2006-07-16 10:33)