SSブログ

ジャニーヌ・アルトマイヤー [オペラ歌手2]

ジャニーヌ・アルトマイヤーは、アメリカ人のソプラノ(1948年生まれ)で、ペーター・ホフマンとは、「ワルキューレ」のジークリンデ、「トリスタンとイゾルデ」のイゾルデなどで、頻繁に共演しています。

ヴォルフガング・ワーグナーは、こんなことを言っています。

「ジークリンデ役は、まず、ハネローレ・ボーデ、その後、ジャニーヌ・アルトマイヤーと契約した。アルトマイヤーは1975年にすでにシュトゥットガルトの舞台でペーター・ホフマンとウェルズングの双児の兄妹として共演していた。二人はとても似ているので、実際に兄妹だと思った人もいたのではなかろうか。」(ペーター・ホフマンの伝記2003年刊より)

共演はおそらく1987年11月14日メトロポリタン歌劇場でのワルキューレで、ホフマンはジークムント、アルトマイヤーはブリュンヒルデが最後だったのではないでしょうか。メトのデータベースは便利ですね。そして、2000年に久しぶりの再会を果たしたということです。


 2000年のバイロイト音楽祭の練習期間中に、1970年代と1980年代を通して、たくさんの公演でジークリンデやイゾルデとして、ペーター・ホフマンの相手役だったジャニーヌ・アルトマイヤーが、ひさしぶりにバイロイトを再訪した。最初の心のこもった出会いで、二人は間近に迫った『神々の黄昏』のゲネプロに一緒に行くことに決めた。

フリッツ・ホフマンは、兄に、サインカードを何枚か持って行くように助言した。ペーター・ホフマンとしては、さしあたりそんなことは全く余計なことだと思っていたのだが、それでも、結局のところ、弟の忠告に従った。十倍のカードを持ったほうがよかったかもしれなかった。というのは、昔の『ウェルズング・ペア』は、祝祭劇場に入るや否や、感激した大勢の人々に取り囲まれ、地元の新聞は、大見出しでこの出来事を伝えないわけにはいかないと感じたほどだったからだ。

この二人のペアはオペラの歴史に残っている。シェロー演出のリングは、とっくの昔に『歴史的演出』のレッテルを貼られていて、このころにはバイロイト音楽祭開始に続く『はじめの』百年の里程標としての評価がすっかり定着していたにちがいなかった。南ドイツ新聞に載ったある『ワルキューレ』公演に関する記事を以下に紹介しよう。

 「この『ワルキューレ』に、音楽的にも演劇的にも、全体的雰囲気として、欠けているのは、興奮である。抱擁の陶酔もなければ、身振りやしぐさと感情の混沌として分かち難い結びつきもない。そう感じた瞬間、シェロー演出の天才的な『リング』におけるジャニーヌ・アルトマイヤーとペーター・ホフマンの記憶が、我知らず、強烈に甦る」


 ジャニーヌ・アルトマイヤーは、バイロイト音楽祭での再会のあと、ペーター・ホフマンとの感動に満ちた共演について、次のように語ってくれた。

 「ペーターと私は、いっしょにすばらしい仕事をしてきました。私たちはものすごく調和がとれていました。いつもよく理解しあっていました。だから、あのころはすばらしかったです。私たちは二人ともまだとても若かったけど、あんなに素敵な共演は二度と経験できませんでした。ぺーターは今でも私にとって最愛の同僚です」(ペーター・ホフマンの伝記2003年刊より)


アルトマイヤーは、1980年のバイロイト音楽祭「ニーベルングの指環」映像メイキングでこの公演の最年少ソリストとしてインタビューされていますが、とても雰囲気のある魅力的な人です。
関連記事:ワーグナー:楽劇《ニーベルングの指環》全曲DVD

  


nice!(0)  コメント(7)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 7

助六

今や二人は、歴史的なヴェルズング・カップルになりつつあるのかも知れませんね。
88年にオランジュでヤノフスキの指揮で彼女のジークリンデを聴いたことがあります。当時のフランスでもあのシェローのジークリンデの復帰という感じで待たれていました。まだまだ瑞々しい声も、遠目には若くスリムで美しく見える舞台姿もヴィデオと全く変わっていませんでした。南仏の強風に白い衣装をなびかせる裸の肩が美しかったのを憶えています。打ち震える感動が瑞々しく伸びる声を運んでいくような彼女の歌唱は、ヴァラディと並んで小生が接した最高のジークリンデでした。その後聴いたマイヤーもマッティラも及ばないと思います。私には彼女はブリュンヒルデでもイゾルデでもなく、ジークリンデの化身ですね。
by 助六 (2005-11-30 08:43) 

TARO

あ、ジャニーヌ・アルトマイアーってアメリカ人だったんですか。ジャニーヌってフランス人ぽいし、アルトマイアーはドイツ人の名前だしと思ってて、、、、(Jeannine Altmeyer)

残念ながらジャニーヌは一度も舞台で聞くことは出来ませんでした。役作りの上では助六さんもおっしゃってるヴァラディが私にとって忘れられないジークリンデです。(美しさという意味ではカルメン・レッペルのジークリンデも忘れられないですが。シェロー・リングでフライアを歌っている人。)
by TARO (2005-11-30 12:34) 

助六

>父はドイツ系
米人音楽家、特に歌手は独系姓の人が珍しくないですよね。Vnのヒラリー・ハーンHilary Hahn、シカゴ生まれのソプラノ・ヨハンナ・マイヤーJohanna Meier、クルト・シュトライトKurt Streitなんかはドイツ系らしいけれど、フォン・シュターデFrederica von Stadeなんかはどうなんでしょう。
ヴァラリンさん、上に記した終わりの3人やアルトマイヤーは米ではどう発音されているのでしょうか。
フランスでは外国系姓は、1)強引にフランス読みするか、2)原語式に読むか、3)両方ゴチャ混ぜかで、正しい発音は本人がどう発音しているかという問題になりますが、本人に訊くと「どちらでも良い」とか返事が返ってきたりして。
by 助六 (2005-12-01 10:12) 

TARO

ええっ、ヨハンナ・マイヤーもアメリカ人なんですか!
超ショック、、、いえ、別にアメリカ人だからどうってことじゃないんですけど、ドイツ人だと思ってた自分の無知に。。。
(たしかにジョアンナなんて名前だったらイゾルデやブリュンヒルデは聞くきにならないかもしれない・・・)
by TARO (2005-12-01 13:04) 

Sardanapalus

素敵な方ですね~。確かに、ホフマン氏と似てる顔立ちに思います。

本文とは関係ないんですけど、私も気になる「歌手の名前の呼び方」。イギリスでは結構原語発音(の真似)が多いんです。例えば、Waltraud Meierはヴァルトラウト・マイアーという感じの発音ですし、今コヴェント・ガーデンで若手アーティストプログラムに参加しているVan Kootenさんはアメリカ人なのでヴァン・クーテンという発音です。でも、ドイツ系、オランダ系の'v'は濁らないんですよね(von Otterとか)。面白いのは、Michael Schadeですね。彼、カナダ人だからマイケル・シャーデなのかと思いきや、人によってミヒャエルだったりマイケルだったりバラバラなんです。ドイツ語のオペラで有名になったからかなぁ?アメリカだとどうなんでしょう?
by Sardanapalus (2005-12-01 20:29) 

TARO

そういえば前にギルバート&サリヴァンのCDで、
Michael Shade という名前を見かけたことがありますが、こちらはさすがにマイケル・シェイドと発音するんでしょうね?
by TARO (2005-12-01 20:49) 

euridice

>Michael Schade
まあ、ドイツ&カナダ育ちだそうです。本人も臨機応変につか分けてるんじゃないでしょうかね^^;
by euridice (2005-12-01 23:55) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0