体調不良と仕事 [PH]
伝記なんてものは都合のいいことしか書いてないと思うところもあるわけですが、P.ホフマンの伝記、けっこう正直なところがあるんじゃないかしら。例えば、キャンセルやら、体調不良について。
以下1983年の伝記から。
『キャンセルしたほうがいいんじゃないかなどと自問する日が幾日もある』とか、
「風邪の神は殴りかかる」の項はそんなこと満載です。一部引用します。
『奇妙なことだが、かつて、歌手になる前に、風邪をひいたことを思い出せない。しかし、だれでもちょっと咳をしたり、鼻風邪をひいたりするものだ。私は、インフルエンザにかかっても、気にしたことがない。今は、のどがちょっとかさついたり、熱っぽかったりすれば、あしたはいったいどうなるかと、もうパニックに陥る。その朝が来て、のどがちょっと変だとなれば、風邪だ。他の徴候には気がつかなくても、歌手は完全に落ち着かなくなる。歌手が陥るこういう「ヒステリー」を、大袈裟に取り上げるべきではない。いらいらに付き合う必要はない。劇場での公演に行かなければならない時間まで、息子のヨハンネスと一緒にジェットコースターに乗っていたとき、その夜の公演はすばらしかった。
軍隊では、毎朝、雨だろうが、雪だろうが、どんな天気でも、上半身裸で、体操をしなければならなかったが、風邪をひいた者はいなかった。（雪の中を転げ回っている半裸の歌手を今までに見たことがあるだろうか）それでは、歌手になってからの私は一体何なんだろうか。ほんとに小さな軽い咳、しゃっくり、咳ばらいなどでいちいち・・・・
ところで、これは、のちに、グスタフ・ナイトリンガーが私に教えてくれた話だ。グスタフは物凄いマインツ訛りで話した。「何が起っているのか、私には、全くわからない。きのうは、しっかり歌わなければならなかったとき、ちゃんと声があったのに、きょうは、歌わなければならないのに、全部なくなっている。四十年前からこうだ」
私の歌手生活一年目は、病気の連続で、決して最高のコンディションではなかった。私はいつも閉じこもっていた。とにかく、これを克服したのだ。タミーノとしての最初のプレミエが間近に迫っていたときのことだ。気管支炎になった。まるで喉にカエルがいるみたいに、絶えず咳払いばかりして、ひっきりなしの軽い咳のせいで、声もほとんどしゃがれ声だった。プレミエの前のこのつらい夜。私の声は傷み、そして、私はその声に苦しみ、さらに妻は私に同情して共に苦しんだ。咳、咳払い、喉のつかえ、そしてこれを、朝まで、はじめから同じように繰り返す。』
私は歌手ではないけど、仕事で喉を使います＾＾；慣れるまでは、しょっちゅう具合が悪かったような気がしますね〜〜風邪も喉とか鼻にまず来る。２年ぐらい咳が止まらなかった・・・ことも。歌手だったらアウトだったわ。
いきなり声が出なくなるってのも、たまに経験します。奇妙な感覚ですが、発声法が悪いのかも・・・発声練習なんかしたことないですもの。
関連記事：★★インフルエンザなのに拝み倒されて出演してとんだ目に遭った話など
以下1983年の伝記から。
『キャンセルしたほうがいいんじゃないかなどと自問する日が幾日もある』とか、
「風邪の神は殴りかかる」の項はそんなこと満載です。一部引用します。
『奇妙なことだが、かつて、歌手になる前に、風邪をひいたことを思い出せない。しかし、だれでもちょっと咳をしたり、鼻風邪をひいたりするものだ。私は、インフルエンザにかかっても、気にしたことがない。今は、のどがちょっとかさついたり、熱っぽかったりすれば、あしたはいったいどうなるかと、もうパニックに陥る。その朝が来て、のどがちょっと変だとなれば、風邪だ。他の徴候には気がつかなくても、歌手は完全に落ち着かなくなる。歌手が陥るこういう「ヒステリー」を、大袈裟に取り上げるべきではない。いらいらに付き合う必要はない。劇場での公演に行かなければならない時間まで、息子のヨハンネスと一緒にジェットコースターに乗っていたとき、その夜の公演はすばらしかった。
軍隊では、毎朝、雨だろうが、雪だろうが、どんな天気でも、上半身裸で、体操をしなければならなかったが、風邪をひいた者はいなかった。（雪の中を転げ回っている半裸の歌手を今までに見たことがあるだろうか）それでは、歌手になってからの私は一体何なんだろうか。ほんとに小さな軽い咳、しゃっくり、咳ばらいなどでいちいち・・・・
ところで、これは、のちに、グスタフ・ナイトリンガーが私に教えてくれた話だ。グスタフは物凄いマインツ訛りで話した。「何が起っているのか、私には、全くわからない。きのうは、しっかり歌わなければならなかったとき、ちゃんと声があったのに、きょうは、歌わなければならないのに、全部なくなっている。四十年前からこうだ」
私の歌手生活一年目は、病気の連続で、決して最高のコンディションではなかった。私はいつも閉じこもっていた。とにかく、これを克服したのだ。タミーノとしての最初のプレミエが間近に迫っていたときのことだ。気管支炎になった。まるで喉にカエルがいるみたいに、絶えず咳払いばかりして、ひっきりなしの軽い咳のせいで、声もほとんどしゃがれ声だった。プレミエの前のこのつらい夜。私の声は傷み、そして、私はその声に苦しみ、さらに妻は私に同情して共に苦しんだ。咳、咳払い、喉のつかえ、そしてこれを、朝まで、はじめから同じように繰り返す。』
私は歌手ではないけど、仕事で喉を使います＾＾；慣れるまでは、しょっちゅう具合が悪かったような気がしますね〜〜風邪も喉とか鼻にまず来る。２年ぐらい咳が止まらなかった・・・ことも。歌手だったらアウトだったわ。
いきなり声が出なくなるってのも、たまに経験します。奇妙な感覚ですが、発声法が悪いのかも・・・発声練習なんかしたことないですもの。
関連記事：★★インフルエンザなのに拝み倒されて出演してとんだ目に遭った話など
オペラ歌手って、風邪引いたり、体調が悪いと同情されるどころか、非難されますよね。
日本だけの傾向じゃないかともおもいますけど。
たとえば、ボローニャの来日公演で、ホセ・クーラが風邪を引いちゃいましたけど、オフの日にサッカー観戦に行ったからだとか非難されてました。
それから、私のブログに書きましたが、シコフは、オフの日にアメリカ人歌手さん達とゴルフに興じているのを目撃されてますね。日本だったら非難ごうごうだったかもしれません。
でも、体調を崩したのが、そのせいかどうかなんてわかりませんよね。
だけど、そのせいだ！みたいに言う人がいますけど、あれって、やな感じです。
すいません。自分の記事をトラックバックしようとしたのですが、間違えたみたいです。削除して下さい。
by keyaki (2005-01-26 01:51)
歌手も人間なんだから風邪くらいひく、というのを容認できない人もいるし、
「風邪」をキャンセルの言い訳にしてしまう歌手もいますから、
キャンセル後に遊んでいたらちょっとヤバかったかも？（^^;
「風邪は出された薬を全部飲んだら１週間で治る、全然飲まなかったら、
７日で治るよ」とはジェームス・モリスの義弟でお医者さんのお言葉です。
風邪ひきモリスはため息ついてました（爆）
by ふくろう (2005-01-26 02:06)
ふくろうさん、
euridice さんのところにいりびたっているkeyakiと申します。
バスとかバリトンが好きで、一応ルッジェーロ・ライモンディのファンということになってます。よろしくお願いします。
昔ですけどモリスとライモンディ、共演したことがございますのよ。ご存知ですか。
euridiceさんが私のブログもリンクしてくださってますので、よろしかったら覗いてやって下さい。
by keyaki (2005-01-27 02:55)
新国の来シーズンラインナップでました。
ふくろうさん、吃驚ですよ。
ホフマン物語にジェームス・モリスさんのお名前がありますけど、
ふくろうさんのジェームス・モリスさんかしら？
あとは全部日本人！なんですけど・・・
by keyaki (2005-01-28 23:51)
ｋａｙａｋｉさん、初めまして！
モリスも長いこと歌っていますから様々な歌手達と共演していると思います。
新国へは出稼ぎでしょうね（笑）
日本へは帰れそうにもありませんから残念です！
昨日、モリスがラジオ中継の合間の特集で、
ＭＥＴのプロンプターに関する話で面白いことを話していて、
笑いました。
by 私の・・・かな？ (2005-01-31 03:10)
ふくろうさんの・・・も、私の・・・も、ありふれた名前ですからね〜〜 (＾。^
でも、ふくろうさんのほうは、得意の役ですから、間違いないですね。それに新国立劇場ですから、しっかり確認できます。
プロンプターは「ライナスの毛布」ってお話ね＾＾
確かに、存在するだけで「安心感」があるのでしょう。
by euridice (2005-01-31 08:06)