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コンサート@パリ1979年 [PH]

HPで一部紹介しているマリア女史の著書に1979年4月28日のパリでのORTFの演奏会でのマックス@「魔弾の射手」を聴いたことが書かれています。彼女からのカセットにこれがありました。マレク・ヤノフスキ指揮、ジャニーヌ・アルトマイヤーとのコンサートで、演奏曲目は「魔弾の射手」「タンホイザー」「ローエングリン」「ワルキューレ」からの抜粋。そして、びっくり仰天。日本語の解説の断片が聞こえます。おそらくこれはNHKの放送を録音したものです。日時は不明ですが、おそらくNHKのFM放送と考えられます。彼女がどのようにこれを入手したのかは不明ですが、音源が日本だったとは驚きです。

「 ホフマンは魔弾の射手(ウェーバー)のマックスを、そのキャリアの前半に、頻繁に歌ったが、今もなおこの役は彼のレパートリーに含まれている。あの事故のあとの1978年、この役でコヴェントガーデンに復帰したとき、アラン・ブリスはこう書いた。彼は本物のヘルデン・テノールの音質を披露した・・・  文句のつけようのない賞賛に値するのは、彼の旋律線を浮き立たせるすばらしい感性だ。 
 マックスのDurch die Waelder(森を抜けて)の流麗な旋律の進行におけるベル・カント的心地よさは1979年4月28日のパリでのORTFの演奏会のアリアで聴くことができる。ホフマンは装飾音を柔軟に心地よく処理すると同時に英雄的な高らかな響きを加えている。Lebt ein Gott?(神はいるのか)をカバレッタで仕上げるとき、このフレーズは神の沈黙に対して怒りの拳を振るうような激しさを示す。このアリアはホフマンの描くマックス像の特徴である失望と落胆の落ち着かないマックスの気分をとらえている。そこにいるのは、若くて、情熱的な猟師だ。抑え難い激しい愛に駆り立てられて、衝動的な行動をとる若い猟師。彼にとって射撃競技の出来事は全てが悪夢だ。最終的にアガーテへの誠実な深い愛情によって救われる若い猟師。ホフマンは国民的人物像を、生き生きと目の当たりに見せる。
 絵画のように見えることを要求された、アヒム・フレイヤー によるシュツットガルトの公演の静的な演出によってさえ、抑えられないほど、まるで電気を帯びているかのように生き生きとぞくぞくさせられる。ホフマンのマックスは説得力がある。揺れ動く気持ちと憂うつな気分に支配されているのを納得させられる。そして、そういう暗さにもかかわらず、ロマンチックな情熱を備えた、観客の同情を呼ぶ魅力的な人物にすることに成功している。 
 〜Carla Maria Verdino-Suellwold "WE NEED A HERO"1989」

伝記から
「もう絶対、何かアリアを歌いたい」と先生に迫ったとき、次の週末までに、魔弾の射手のマックスのアリアを練習してくることを、やっとのことで、許してもらえた。それを先生の前で歌ってきかせたとき、先生はなんとも言えない目をして、ピアノのふたをぱたんと閉めてしまった。私は、恐ろしいことになったと思った。 私は、声だけでなく表現も、完全に間違っていた。もちろんこのアリアは時期尚早だった。それは難しい種類のアリアというのではなく、生命を吹き込むように歌うことが難しいのだと、先生は教えてくれた。・・・魔弾の射手のマックスのアリアは、例えば、職人的な人々が、歌って、大成功できる。ただ、なんとなく良くないという感じが残る。・・」

♪森を抜けて♪


マックスのアリア、♪森を抜け野を越えて・・♪と歌うことぐらいしか知らず、どんな内容か特に注意したことがありませんでした。そこで、今回いつものように字幕を付けてみました。なんだか人生についていろいろ考えさせられてしまう、けっこう奥の深〜い歌詞でした・・・


魔弾の射手以外もなかなか聞きごたえがあります。魔弾の射手は他に序曲とソプラノのアリア、タンホイザーはソプラノだけですが、ローエングリンは、名乗りの歌と3幕の一部、ワルキューレも1幕がかなりたっぷりと演奏されています。


関連記事:
魔弾の射手
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魔弾の射手の映像@ドレスデン
新国 魔弾の射手(ここに、ルネ・コロの♪森を抜け♪の音声ファイルがあります)




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コメント 2

ななこ

ありがとうございます!!!
聞かせていただきました!

>まるで電気を帯びているかのように生き生きとぞくぞくさせられる
ほんとうにドイツロマン派らしい直情的な情熱的なマックスですね!
ワーグナーの諸役とは異なったホフマンの別の顔というか魅力を感じます。
とっても熱く歌ってるのが伝わってきて聞いてるほうもワクワクしてきます。
この曲は結構いろいろ聞いてますが、みんななんかもうちょっと もっともらしくというかしんねりした曲という感じだったような気がします。

>絵画のように見えることを要求された
というシュツットガルトの公演の静的な演出の舞台でホフマンが弾けるようなマックスを演じてる姿を想像して嬉しくなります。

by ななこ (2012-02-24 18:05) 

euridice

>この曲は結構いろいろ聞いてますが、みんななんかもうちょっと 
そうですね。こんなに「生き生きとぞくぞくさせられる」のは初めてのように思います。ほんとに聴けてうれしいです。


by euridice (2012-02-26 20:25) 

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