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ゲイル・ギルモア +「パルジファル」メトロポリタン歌劇場1986年 [オペラ歌手2]

ゲイル・ギルモア(メゾソプラノ→ソプラノ、1950.9.21-  アメリカ)は、1983年、イタリアはヴェネチア、フェニーチェ座でワーグナー没後百年記念の「パルジファル」で魔性の美女クンドリーとして、パルジファルのP.ホフマンと共演したという記述が伝記(1983年刊)にあります。非常に魅力的なクンドリーとして、歌手の記憶に残っているそうです。舞台写真も数枚あって、なかなか妖艶で美しいクンドリーに見えます。これについてはこちらの記事をお読みください。

ネット検索による簡単な経歴です。ワシントンD.C.生まれ、バージニア州ニューオリンズ育ち。二つの大学で音楽の修士を取得。ドイツでオペラ歌手としてのキャリアを開始。1983年にはフェニーチェ(クンドリー@パルジファル)とヴェローナ(アムネリス@アイーダ)にデビュー。その後、カルメン(ヴェローナ)、ヴェーヌス@タンホイザー(ミラノ スカラ座)、1986年にはクンドリー@パルジファルでニューヨーク、メトロポリタン歌劇場デビュー、続いて同劇場で、ヴェーヌス@タンホイザー、作曲家@ナクソス島のアリアドネ、フリッカ@ワルキューレ(メトロポリタン歌劇場)その後、サロメ、トスカ、エレクトラ、トゥーランドットなどのソプラノの役もするように。コンサート、黒人霊歌でも活躍。

1983年のフェニーチェの後、1986年メトロポリタン歌劇場「パルジファル」でもP.ホフマンと共演しました。後者の放送録音を聞いたところでは、このクンドリー、好きなタイプの声と歌唱ではないですけど、写真を見るととても美しいので、舞台の映像を見てみたいものです。特にヴェネチアの公演はおもしろそうです。

1986年のラジオ放送録音、音質はそこそこですけど、なんというかバランスがあんまり良くないように感じます。歌も、他の役もぱっとしないですし、パルジファルも最善ではないです。最高の時の調子ではないですね・・。メトでのパルジファルはもうひとつ1982年公演のラジオ放送録音を聴きました。それぞれ複数聴いたバイロイト、ザルツブルグのほうが全体もホフマンもはるかにいいと思います。

愛の破片ゲイル・ギルモアはなんだかよくわからないドキュメンタリー風の映画「愛の破片」(ウェルナー・シュレーター監督1996年)にも登場しています。オルトルート@ローエングリンを歌っていたと思いますが、もう若くないということもあるのでしょう、いいと思わなかったし、ほとんど印象に残りませんでした。




上)2幕クンドリー
下)3幕フィナーレより
ワーグナー:パルジファル
ジェイムズ・レヴァイン指揮
ナタニエル・メリル演出
メトロポリタン歌劇場 
1986年4月19日ラジオ放送

パルジファル:ペーター・ホフマン
アンフォルタス:リチャード・J.クラーク
クンドリー:ゲイル・ギルモア
グルネマンツ:マルッティ・タルヴェラ
クリングゾール:フランツ・マツーラ
ティトゥレル:ジュリアン・ロビンズ

タグ:P.ホフマン
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コメント 4

ななこ

ゲイル・ギルモア・・独特な声ですね。
暗くビブラートがかかって、ちょっとジェシーノーマンを思い出してしまいましたが、少なくともクンドリーのイメージではないですね。


>愛の破片
見ました。
この映画の中でアニタ・チェルケッティに興味持って、(多分)映画館で買ったCDを持っています。
素晴らしいです。
ゲイルギルモアが出てたことは全く記憶がありません。

カラヤンのスタジオ録音以外のホフマンのパルジファルはその時の体調によって微妙な危うさを感じます。
でも、その芸術性と声そのものが絶対的に好きなので、危うさも魅力と思っています。
そのあやうい魅力が悲劇的ショックに変わったのがNHKホールでの公演です。
この時のことは私にとってはタブーなのですが・・
辛いです。
by ななこ (2008-05-01 23:33) 

euridice

>ちょっとジェシーノーマンを思い出してしまいました
実は私も同じです。どこかで聴いた感じが・・
すぐに、ジェシー・ノーマンに似ていると思いました。

>NHKホールでの公演
あれはやっぱり行かなくて正解だったのでしょう。
数分のテレビ放送だけでも十分ショックで辛かったです・・
録画してましたから、何回か確認しましたが
絶対普通じゃないと感じました。
(そのビデオいつの間にか行方不明です・・)

パーキンソンと診断がつくのが、あれから4、5年後なのですから、
その間、本人は本当に大変だっただろうと思います。
ああいう状態に断続的に襲われていたのでしょうから・・
あの後の「オペラ座の怪人」もいい時の方が多かったのかもしれませんけど、
けっこうな酷評も目にしましたし・・相当の不調のときもあったに違いないと
思います。オペラ出演は1992年が最後ですね。

>その芸術性と声そのものが絶対的に好き
あれほどの芸術性と声を備えたオペラ歌手はめったにいないという
思いは強まるばかりです。
by euridice (2008-05-02 00:27) 

ペーターのファンです。

ゲイル・ギルモアは初めて聞きました。
暗めの声はともかくとして、歌唱が私の好みとは違います。

そして、好みの違い以上に声と歌っている役との違和感を強く感じます。
他の役(たとえばトゥーランドットあたり)はまだしも、クンドリーとアムネリスは
もっと性格的な表現のできる歌手でければ、無理が大きいと思います。

1986年のパルジファルは、レヴァインの遅めの指揮を差し引いても
不安定な印象ですが、声の魅力は何の変わりもありません。

ホフマンの歌唱は、良くないときをあげつらう評論家が多いのでしょうか。
指揮者の意図を汲んで表現する実力は、カラヤン指揮のパルジファル、
バーンスタイン指揮のトリスタンでも十二分に発揮されていますのに。
by ペーターのファンです。 (2008-05-03 00:23) 

euridice

>良くないときをあげつらう評論家が多い
専門家に関しては多いかどうかはわかりませんけど、
視聴前から酷評することに決めているような人もいたみたいですね。

1990年代後半、インターネットで米国の投稿サイトなどは
極端な書き込みのほうが大勢を占めていたという印象があります。

キャリアの初期からたたかれやすい状況だったことは間違いないようです。
伝記(1983年刊)に「批評というものは、巧妙に操ることができるものだ。期待外れの時に、よい扱いをうける仲間がいる。同じへまでも私の場合はこっぴどく非難されるということがとてもよくわかる。おかしな話だ。しかし、こういうことには慣れるしかない。」という下りがあります。
by euridice (2008-05-03 06:54) 

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