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アルフォンス・エーベルツ [オペラ歌手]

「魔弾の射手」のマックス役で新国立劇場初登場のテノール、アルフォンス・エーベルツについてネット検索で得た情報です。全然いいとは思えないテノールでした。全オペラ鑑賞体験の中でダントツのマイナス気分。声量だけは十二分。申し分のない大声でした。たしかに大声はオペラ歌手としての必要条件なのは間違いないところですが、事ワーグナーテノールに関しては、昨今あたかもこれが十分条件になってしまっているような感じさえします。

この声を初めて耳にしたのはバイロイト音楽祭2005年のネット放送。パルジファル(パルジファル)でした。その後、2006年にエリック(さまよえるオランダ人)と2006年と2007年にまたパルジファル(パルジファル)「魅力的な声ではない。パルジファルはなんだか変わった歌い方をする。繊細さや緻密さとは無縁。エンドリック・ヴォトリヒと同じような声」とのメモがあります。エンドリック・ヴォトリヒも嫌いな声です^^;  特にワーグナーは・・ このテノールも新国立劇場で出会いました。エリック(さまよえるオランダ人)でした。初ヴォトリッヒはタミーノ(魔笛 ベルリン国立劇場来日公演)のテレビ放送でした。
というわけで、エーベルツ氏は、声だけは嫌いながらおなじみさん。劇場ならいいかもしれないと思ったのですが、見ながら聴くと一層だめでした。

以下、ネット検索による情報です。主としてバイロイト音楽祭サイトのプロフィールと2006年2月に書かれたポートレートによります。

高等教育では数学、経済をまず学ぶ。その後、声楽をケルンの音楽大学で。
1983年、ヴュルツブルク市立劇場でオペラ歌手デビュー。1985年まで初心者契約で、ロドリゴ(オテロ)、第一のユダヤ人(サロメ)、こじき?(ムツェンスク郡のマクベス夫人)、パン(トゥーランドット)、ムスタファ(バグダッドの理髪師)など様々な役を担当。1シーズン、100公演以上に出演。それでも、いいように酷使されているとか、使い捨てにされるという思いは露ほども感じなかった。すばらしい毎日だった。

ヴュルツブルク市立劇場の後、生まれ故郷のヴェスターヴェルダー、ゲルゼンキルヒェンを経て、ライン・ドイツ・オペラ、そしてデュッセルドルフ、デュイスブルグへ。そこでは、ブッフォ、あるいは、キャラクターテノールの役を担当。平行して、とても小さい劇場で、少しずつ重い役もするようになった。演出家マンフレート・バイルハルツによってボンに呼ばれ、そこで、ローゲ、ローエングリン、ジークムント、ジークフリートなどのワーグナーの役をするようになる。

国際的に認められたのは。2004年2月のドレスデンでウィリー・デッカー演出の「ニーベルングの指環」でのジークフリート役。同年、バイロイト音楽祭にエリック(さまよえるオランダ人)でデビュー。今やめったにない幸運に恵まれ、次第に重い役で成功をおさめている。すでにタンホイザーを除くワーグナーの全ての役を、ボン、ドレスデン、ベルン、ヴィスバーデンなどで、制覇したが、「学ぶことに終わりなし」だと思っているよし。

現在もヴュルツブルクには感謝している。新たに設立されたワーグナー協会の最初の奨学生の一人だった。「今や伝説的な公演となったシェローのリングのチケットをもらいました」ということですから、遅くとも1980年には数学や経済専攻を終了し、声楽を勉強中だったということでしょう。

最終カーテンコールはオケピット越しに見ましたが、決して若くは見えませんでした。最近の傾向の例に漏れず、生年は未だに発見できません。若く見積もっても40代後半、経歴からして50〜55歳の間と見ていいのではないでしょうか・・ 現在の状況は「おまけ」だと言ってますし・・不安定さは年齢も一因かもしれません。だいたいもともと軽いテノールで、四、五十代になってからワーグナーテノールに転向(進出かな?)したどの声も私は好みじゃないです。例えば、軽いテノールがほれぼれするほど美しかったトーマス・モーザー、重い役では、影のない女の皇帝役が初めてだったと思いますが、これもその後のワーグナーテノール役もがっくり・・;; ちなみに、モーザーは新国(フロレスタン@フィデリオ)でした。

関連記事:新国立劇場 魔弾の射手

ヴュルツブルク:ドイツ、バイエルン州北部の都市。観光ルートのロマンティック街道の起点として、またフランケン・ワインの集積地として有名だそうです。
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コメント 8

keyaki

おっ、ハナミズキですね。武蔵野あたりでも、日当たりの良いところは、白やピンクのハナミズキが満開です。

エーベルツの略歴、なるほど、やっぱり....ですわ。
本人が「おまけ」と言ってますか.....正直な人ですね。
奥さんが日本人だそうですが、奥さんのお里帰りもかねて、とかなんとかで、度々来られても困るな....
タンホイザーのボンネマよりましとかひどいとかいろいろ言われていますが、私の意見は、ボンネマは、時々、音程が不安定というところがあったにしても、なかなか聞かせてくれた場面もありましたが、エーベルツのマックスは、ずーっと同じなんで、困っちゃうんです。前の記事でコロの歌をアップしてくださいましたが、あの有名な旋律も、ああいうふうには聞こえませんでしたからね。
せっかくの重唱も、彼が加わるとなんだかなぁ....でした。

私の鑑賞記事にTBして頂くと嬉しいです。よろしくお願いします。

by keyaki (2008-04-21 13:25) 

euridice

>奥さんのお里帰りもかねて、とかなんとかで、度々来られても
来シーズンのワルキューレが心配になってきました・・;;

>ボンネマは
予想外に気に入っちゃったんですよねぇ・・^^+
新国柿落としのローエングリンはつまらなかったけど
シュツットガルトのジークフリート@神々の黄昏(映像)は
けっさくでしたし〜

TBしましたので、よろしくお願いします。
by euridice (2008-04-21 22:43) 

ななこ

この歌手は聴いたことがないのですが、感想を伺ってるとマックスが何故ワーグナーテノールである必要があったのかと思います。
クライバーのCDが私にとっても最高なのですが、ここでのマックスはリリックテノールのシュライヤーで申し分ありません。
映像ではライナーゴールトベルクを聴いていますが、これも際だったヘルデンテノールとは思えません。
声量よりむしろ表現力の豊かな歌手が合っているように思います。
コロさんもさわやかに美しく歌い上げていますよね。
by ななこ (2008-04-22 21:29) 

euridice

ななこさん
ワーグナー作品の役も含めて、どの役であれ、
>声量よりむしろ表現力の豊かな歌手が合っている
と思います・・

>この歌手は聴いたことがない
お勧めはしませんが、↓でちょっとだけきけます・・^^;;
http://euridiceneeds.blog.so-net.ne.jp/2007-08-05
by euridice (2008-04-22 22:44) 

わびすけ

エーベルツ…見た目もダメだったんですね…。
あの気持ち悪いパルジファルはネットラジオだけで充分でしたが(笑)。
公演のお話、楽しく読ませていただきました。
by わびすけ (2008-04-23 16:25) 

euridice

わびすけさん
>エーベルツ…見た目もダメ
好みの問題は別として、
オペラ歌手としては良いほうと言えるのではないかと思います。
体格も良いし、肥満でもないし、目が大きくて少年顔。
テレビアニメの名探偵コナンというところでしょうか^^;
でも、なんというか、記事にも書きましたが、
精神がみえないんですよ〜〜でくの坊というか・・
要するに大根ですね。
体調不全とかなんとかで、やる気がなかったのかなぁ・・?

歌が良くて、もうちょっと心を表現できれば、
ジークフリートはいいかもしれません。


by euridice (2008-04-23 17:39) 

ななこ

>ワーグナー作品の役も含めて、どの役であれ
全くその通りです。
私がちょっと言葉足らずでした。

euridice さんのバイロイトのこの記事記憶ありました。
世も末・・ならぬバイロイトも末・・;;

とにかく、最近聴くワーグナーのテノールはどうしてこんなに下手なんでしょう?
これだけ声が出てるならもう少し心をこめて歌えばいいのに・・・
センスがなさすぎます。



by ななこ (2008-04-23 20:36) 

euridice

穴場狙いの世渡り上手なんて悪口を言いたくなります・・;;
「適性」+「心とセンス」があれば、それでいいんですけど・・

イェルザレムですけど、
最初のオーディションについてどこか(情報源を忘れてしまいました・・)で言ってました。
「オーディション用には、ローエングリンを2週間で準備。ワーグナーテノールは人手不足で、劇場は常に歌手探し状態だからというのが、選んだ理由。楽譜見てチョロイと思った」若いころは、ワーグナーは好きじゃなかったとの発言も。

また、1980年代には、こんな批評もなされています。
『ジークフリート・イェルザレムに、ローエングリンはおろか、ジークフリートにまでも需要があるという事実は、彼がこのほとんど消滅寸前の声種の特質を備えているというよりは、むしろワーグナーの英雄的テノール不足を示すものであると考えるほうが妥当である』


by euridice (2008-04-24 08:06) 

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