プッチーニ「西部の娘」スカラ座 [オペラ映像]
新国の舞台稽古鑑賞、わけがわからん状態で、落ちつかないので、映像を見てみようとさがしたところ、とりあえずスカラ座公演のテレビ録画が見つかりました。
メトの映像は全部観た記憶があるのですが、これは一幕の途中までしか見たことがなかったようです。
正統派の演出で、舞台装置はきわめて写実的だし、お話はとてもよくわかりました。恋と愛と憎しみ、嫉妬、そして友情と許す心。この人間にとって普遍的なテーマが伝わってきます。大勢登場する脇役の男たちも、とても丁寧に描かれていて、単なるその他大勢になっていません。
父の強盗団を相続せざるを得なかった男、本邦時代劇にも、まあ、現代やくざ映画にもありそうな設定ですが、このディック・ジョンソン役、メトの映像でもそうですが、ドミンゴはぴったりはまってさすがです。歌も心に響きます。そりゃあ、新国のジョンソンくん、足下にも及ばないってところです。ミニー、一幕ではあんまり良いと思わないのですが、特に二幕は、彼女の激しく狂おしい必死の思いが伝わってきました。
ものすごくおもしろいオペラだとは、やはり思えませんが、演奏が良ければ、そして舞台で起こっていることが、すっと伝わってくれば、けっこう楽しめるお芝居には違いありません。
プッチーニ：西部の娘
ミラノ、スカラ座1991年
ロリン・マゼール指揮
ジョナサン・ミラー演出
ミニー：マーラ・ザンピエーリ
ディック・ジョンソン：プラシド・ドミンゴ
保安官ジャック・ランス：ファン・ポンス
ニック：セルジョ・ベルトッキ
運送会社社長アシュビー：ルイジ・ローニ
ソノーラ：アントニオ・サルヴァドーリ
どこかできいた、主にプッチーニの他の作品のメロディーが断片的にいろいろときこえてきますが、「オペラ座の怪人」のよく似たメロディーも出てくるんですね。もちろん、こちらが先ですから、ロイド・ウェッバーが拝借したわけですけど。
おもしろくてためになる詳細はいつものようにOrfeoさんのオペラ・レビューをどうぞ！
メトロポリタン歌劇場1992年
ネロン・サンティ指揮 ピエロ・ファジョーニ演出 コヴェントガーデン LD★
ミニー：キャロル・ネブレット、ジョンソン：プラシド・ドミンゴ、保安官：シルヴァーノ・カローリ
>ドミンゴはぴったりはまってさすが
そうですね。映像はすべてドミンゴですものね。
新国の演出でもドミンゴが歌えば、納得させられるのかしら？？
by keyaki (2007-04-15 09:25)
＞ドミンゴが歌えば、納得させられるのかしら？？
今はどうだかですが、かつての壮年ドミンゴなら、
そりゃ存在感で圧倒の可能性ありでしょ^^!
by euridice (2007-04-15 17:30)
プッチーニの作品の中ではマイナーだと思いますが、ドミンゴは好きなようですね。
思うに演技力で惹きつける要素が強いから？
ファッジョーニの演出が好きで特にコヴェントガーデンのケン・アダム（ジェームズボンド映画の仕事で有名）の舞台がお気に入りだったとか。
私も結局この映像だけは演劇的興味にかられて何度かみました。
3幕の「やがて来る自由の日」のアリアはドミンゴはリサイタルでも度々取り上げていますし、素敵な歌だと思います。
by ななこ (2007-04-15 20:26)
私は'95のスカラ座引越し公演の「西部の娘」に行きましたが、ムーティの意向とかで字幕なしというのもあってか、正直、入り込めませんでした。
ところが、その後で、上記ドミンゴ主演の映像をBSで観て、同じプロダクションなのに、ずっと面白かったです。
テレビ放送は字幕アリというのも大きかったでしょうが、やっぱりドミンゴ！でした。
昔は、デル・モナコが得意役だったそうですが、このオペラ、ディック・ジョンソンにスター・テノールを配さなければ、光らないのかも。
by なつ (2007-04-15 21:57)
edcさん、こんばんは。リンク、ありがとうございます。
TB、はじいてしまいました？
どうもすいません。。。
「蝶々夫人」は日本、「トゥーランドット」は中国、そして「西部の娘」はアメリカと、お国ものシリーズを比較してみると、一番問題なく構成が取れているのはこの「西部の娘」のような気がします。でも、一番マイナー（笑）。オペラって、分からないものですね。思うに、オペラで西部劇なんか、見たくないよ、という心理的要因が一番大きいのかもしれませんね。アメリカって、人気なさそうだし・・・（爆）。
by Orfeo (2007-04-15 22:06)
こんばんは。
『西部の娘』なにか映像を見た記憶があるのですが・・・。ディック・ジョンソンはドミンゴでは無かったと思います。
プッチーニの音楽は好きでよく聴くのですが『西部の娘』は、実まだ聞いたことが無いのです。初期の『エドガー』とかはあるのに。
しかもレコードは持っているんです、マタチッチ指揮のスカラ座盤です。ミニーをニルソンが歌ってる録音です。メロディーメーカーのプッチーニのこと早速聞きいてみます。
by あるべりっひ (2007-04-15 23:36)
ななこさん
＞ドミンゴは好き
テノールには魅力なのかもしれませんね。ホフマンの伝記に、デル・モナコとの思い出に出てくるのが「西部の娘のアリア」なんですが、どのアリアでしょう？響かせると気分のいい高音があるみたい。
＞3幕の「やがて来る自由の日」でしょうか。
『デル・モナコは、私と一緒に歌うのを楽しんだ。例えば、私たちは彼の友だちのところで一緒にプッチーニの『西部の娘』のアリアで、力いっぱい高いＢを響かせたりしたものだ。』
by euridice (2007-04-16 09:03)
なつさん
＞ムーティの意向とかで字幕なし
そういう話を聞きました。オペラを管弦楽のように受け止めてほしいのかしらね。やはり歌詞の意味は感動の度合いに大いに影響すると思いますけどねぇ・・・ 映像でも相当慣れるまではやはり日本語字幕がほしいです。
オペラは、終局的には歌手で光るんじゃないかと思います。
by euridice (2007-04-16 09:14)
Orfeoさん
＞オペラで西部劇なんか、見たくない
そうかもしれません。アメリカにはイタリア移民も多いのに、あの男たちの口からイタリア語のあのメロディーが出て来ると、なぜか違和感が・・ 不思議ですが、こういうのが御し難い偏見というものかも・・なんて思ったりします。
マカロニウェスタンってのもありましたが、あれは英語ですものねぇ^^;
by euridice (2007-04-16 09:19)
あるべりっひさん
ドミンゴじゃないディック・ジョンソンの映像、だれかしら？
デル・モナコとか....
＞ミニーをニルソンが歌ってる録音
トゥーランドットは有名だし、ミニーってけっこう姐御肌だし、似合うかも。
＞メロディーメーカー
なんですけど、トスカ、ボエーム、蝶々夫人、トゥーランドットのようには、メロディーがすんなり覚えられないというか、頭の中で鳴り響かないです・・・ まだ、マノン・レスコーのほうが、耳について離れないところがあります。
by euridice (2007-04-16 09:26)
のこのこ出てきました。
聞きなれてしまったので、このOperaけっこう好きです・・・。
ハッピーエンドなのが珍しいですしね。
オペラ座の怪人に出てくるメロディーは肝ですよね（笑）
２００８/９シーズンにはROHでケン・アダムの西部の娘が再演されるそうです。
＞響かせると気分のいい高音・・・
2幕の「ひとこと言わせてくれ」っていうアリアかもしれません。
mia vergogna!ってB（シ♭）で張り上げるところがあります。
http://www.dlib.indiana.edu/variations/scores/afg2057/large/sco20198.html#209
（↑スコア。該当箇所は217ページ）
それから、
http://blog.so-net.ne.jp/tra-voi-belle/2005-09-28
この記事自体はどうでもいいのですが（笑）、リンクしてる方の記事なんかがお役に立てたらとおもいまして。よかったらどうぞ・・・。音声リンクもあります。ので。
by (2007-04-17 12:57)
あ、
3幕のCh'ella di creda...
にもBありました。2箇所。
http://www.dlib.indiana.edu/variations/scores/afg2057/large/sco30301.html#306
306ページ3段目と307ページ2段目です。
フェルマータがついてるから、こっちも気分いいかもしれませんね。
それと、1幕の小アリアQuello che taceteにもカッコイイBがあります。
http://www.dlib.indiana.edu/variations/scores/afg2057/large/sco10117.html#133
133ページ練習番号104のところのアリアで次のページの一番上、
nuova paceでBを張り上げます。
ホフマンは、オペラ座の怪人を歌うとき、間違いなくこの小アリア思い出したでしょうね＾＾・・・
by (2007-04-17 13:28)
りょーさん、ありがとうございます。
Bの音があちこちにあるんですね。
まだ音楽が全然ピンときてないので、
ちょっとまじめに聴いてみようかと思ってます。
by euridice (2007-04-17 23:41)